あらすじ・概要
ある事件によって一線を退いた警察官のアスガーは、緊急ダイヤルのオペレーターとして働いている。そんな中、自動車内の女性から電話が来た。どうやら彼女は誘拐されているらしい。アスガーは、自分が室内から動けない中女性を助けようと努力するが……。
ネタバレなしで見ることで価値観を揺るがされる
ネタバレが致命的な作品なので、感想を読む前に視聴してください。
あと会話劇なので、吹き替えの方が見やすいと思います。吹き替え声優の面目躍如。
序盤は「有能な警察官が事件を解決する話なのかな」と思っていました。それを表現するために周りを馬鹿にするのはどうなの? とも、女性を助けるために奔走するアスガーに対して、他の警察官たちはアスガーの思うようには動きません。酔っぱらっていたり、アスガーの指示に従わなかったり。
ひとりの賢い人間とその他大勢の馬鹿の話なら嫌だなあと。
しかし終盤にある事実が明らかになったとき、オセロがひっくり返るようにこの作品への認識が変わります。
この作品にはヒーローはいなかったんだよ……。
そしてアスガーが一線から退いた理由が同時に明かされた時点で、『ギルティ』という作品には加害者と被害者、犯罪を取り締まる側と取り締まられる側の境界線などないことがわかります。
あるのは弱さを抱えた人間と人間のやりとりだけ。
視聴者の「当然こうなるだろう」という予想を裏切ることによって、「あなたは人間を『都合のいい物語』として解釈していないだろうか?」と問いかけて来ます。メッセージの伝え方がめちゃくちゃスマート。
そういう意味で、ネタバレを見ないで見るのと見てから見るのでは全然違う映画なんですよね……。えええ!? とならないとメッセージの実感が強くなりません。だからなるべく事前情報を調べずに見てほしいです。(この感想を読んでる時点で先入観与えてしまっていますが……)