ブックワームのひとりごと

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ファミリーレストランの歴史から見る日本の家族と外食の関係―今柊二『ファミリーレストラン 「外食」の近現代史』

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ファミリーレストラン~「外食」の近現代史~ (光文社新書)

 

あらすじ・概要

日本各地にあるファミリーレストラン。それらはどこから来たのか。明治初期のデパートの食堂から始まって、郊外の路面店やショッピングモールに入るまで、ファミリーレストランの歴史を追っていく。そこには、日本における家族と外食の関係が表されていた。

 

日本って貧しくなっちゃったなと悲しくなった

最初はファミリーレストランの興隆にわくわくしながら読み進めていましたが、最後の方になると「日本って貧しくなってしまったんだな……」という気持ちになってしまって悲しかったです。

不景気に伴い、ファミリーレストランも低価格路線を取らざるをえなくなったり、深夜疲れた雰囲気の家族が食事をしに来たり、物悲しい内容になっていきます。つらい。

序盤の外国文化へのあこがれや、「外でご飯を食べる」という非日常感があったからこそ、終盤の悲しさは増しました。

 

サクサク読めるし面白いですが、ところどころ「これは著者が想像で話しているなあ」という部分もあり、専門書というより気安い読み物として受け取った方がいいと思います。

巻末に参考文献がたくさん載っているので、この本を読んで興味を持った人はそちらで内容を確かめてみるといいでしょう。

 

ただ、本文は真面目な文章なのにコラムで唐突に「食べログおじさん」みたいな文体になるのに笑ってしまいました。

ファミリーレストランに行ったときの食べ物のレビューを書いているんですが、唐突な自分語り、おちゃらけた語尾、しょうもないジョーク。

飲食に興味のある人でそれなりの年代だとこの文体になってしまう呪いでもあるんですか!?

食べログおじさん構文地雷な人にはおすすめできない新書になってしまいました。普通の文章で書いた方がよかったのではないかと思います。