ブックワームのひとりごと

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1巻完結の青春漫画おすすめ8選

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今回は1冊完結の青春漫画のおすすめをまとめてみました。

青春ものは、誰もが若者時代を経ているからこそ人気の高いジャンルです。懐かしくなったり、親目線になったり、自由に青春漫画を楽しんでください。

 

 

何かが足りない中学生たちの痛々しい青春『ちーちゃんはちょっと足りない』

中学生のちーちゃんは、おバカだけれど友人と楽しく暮らしている。友人のひとり、ナツもちーちゃんが好きだ。しかし、女子バスケ部が顧問の誕生日プレゼントを買うために集めていたお金がなくなった。その事件をきっかけにナツとちーちゃんの関係は狂い始める。

主人公のちーちゃんは頭はよくないものの天真爛漫で、周りの友人は彼女を大切に思っています。その優しさが心地よかったです。しかし心地いいだけで終わらないのがこの作品。思春期特有の「愚かさ」が、友情の歯車を狂わせ始めます。

タイトルでは「ちーちゃんが」足りないということになっていますが、本当に「足りない」のはナツだった。お金が足りない、考えが足りない、知性が足りない、倫理が足りない。でもそこを踏まえたうえで、少し希望のある結末を迎えてくれてほっとしました。

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孤独な予備校生が恋と友情を知る『マスタード・チョコレート』

クラスになじめず、いつもひとりだったつぐみ。彼女は美術大学を目指す予備校に入学したことをきっかけに、少しずつ変わり始める。予備校の先生、同性の友達、そして、気になる男の子。彼らと関わるうちに、つぐみは新しい感情を覚えていくのだが……。

ケータイやスマホでの閲覧を前提にしていた漫画らしく、コマの大きさがすべて同じです。コマをひとつずつめくって読む漫画だったようです。

誰かが誰かを「いいな、素敵だな」と思う瞬間の何気ないしぐさ、言動が美しく描かれています。

淡々としていて、ドラマチックな演出のない作品ですが、だからこそじっくりキャラクターの心を考えながら読めました。

メインキャラクターに悪意のある人間はおらず、ときにすれ違うことがあっても優しい空気で進んでいきます。穏やかな気持ちになりたいときにはいいかも。

honkuimusi.hatenablog.com

 

京都を中学生が駆け抜ける短編集『京都中学生日記』

京都に修学旅行にやってきた中学生たち。そこに、班分けの余りもので形成された班があった。男子とはぐれ、焦る班長だったが……。主人公を変えながら、京都の中学生を描く連作短編。

あまり劇的なことの起こらない作品なんだけれど、それゆえにほっこりします。

中学生たちのばかなやりとりに、「ああ、こんな時代もあったな」としみじみするんですよね。

あまり漫画っぽくない、児童書の挿絵を思わせるような絵柄もそのテーマに合っていてよかったです。

京都のローカルネタも面白かったです。メジャーな京都市付近だけじゃなくて、京都南部のいろいろな地域の話を描いているのが興味深いです。フィクションなのでどのくらいリアルなことかわからないんですが、京都市とそれ以外の感覚の違いに笑いました。

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青春というファンタジー『少年少女漂流記』

孤立、親との関係、ダイエット。悩みを抱える少年少女たち。彼らの心はファンタジックな風景を生み出す。小説家の乙一と漫画家の古谷兎丸の合作である連作青春短編。

空想のファンタジーっぷりがすごい。夢の中のように非現実的で、それゆえに壮大。それが思春期の不安定な心によく合っていました。あの時代の情緒不安定、自意識過剰っぷりにはファンタジーがよく似合いますよね。

個人的に好きだったのは『お菓子帝国』ダイエットを成功させた少女が、いたずらで口に甘いものを突っ込まれたことから「お菓子が宇宙人であること」に気付き、その侵略から世界を守るためお菓子を食べ続ける話です。

シュールなのにさわやか。この連作短編では珍しく完全に前向きな話です。それだけに清涼剤でした。

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学校にまつわる連作短編集『花ボーロ』

先生、生徒、給食の調理人、彼らは関わり、すれ違い、それぞれの物語を紡いでいく……学校を舞台にした、連作短編漫画。

ひねくれているので、登場人物にいい人が多い漫画はちょっと斜に構えて見てしまいがちなんですが、この漫画はあまり抵抗感なく読めました。キャラクターの行動のユーモラスさや、何気ない日常の積み重ねが違和感を減らしてくれていました。

設定や展開にリアリティがある、という感じではないんですけれど、絵から匂いや手触りを感じられそうな描写力があって、ぐいぐい読めます。

実際、こんな優しい人ばかりの世界ではないんですが、それでも「こんな学校があったらいいな」と思える作品でした。

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噴火の町での少年たちの友情『ぼくらのフンカ祭』

高校生、富山と桜島の住む町で火山が大噴火する。温泉と火山という観光資源を得て変わっていく街に憤りを覚える富山。しかし軽い気持ちで口にした言葉から「フンカ祭」という祭りが町を挙げて行われることになり……。

ゆるい高校生の友情もので、あまり頭を使わずに読めます。作品の根底にあるアホっぽさ、どこか懐かしい雰囲気が楽しいです。

しかしこの漫画、読めば読むほどうらやましい気持ちになってきます。それは富山と桜島の友情がすごく魅力的だからです。

富山のクールさにあこがれている桜島、どこかはすに構えているけれど本当はやりたいことがある富山、その二人が一緒に何かをするというだけで面白いから不思議です。

心から信頼し、あこがれ、一緒に馬鹿なことをやれる友達がいるのは本当にうらやましいですね。

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植物体質の少年とそれを世話する友達の激重感情『ベビーリーフデイズ』

ツバキが拾った少年、ナツメには不思議な体質があった。それは植物のように水や土から栄養を得る必要があること。ナツメの世話をかいがいしく焼くツバキだが、ナツメは突然園芸部の少女ビアンカと付き合い始める。それを見たツバキは心穏やかではなくなる。

限りなくBLに近い、でもBLとは明言されていない作品でした。

それならBLでいいじゃないかとは思うんですけど、ナツメは植物体質ゆえに恋愛対象も植物なんですよね。だから花を見ると「かわいい」と言うし、花の香りをかぐとフェロモンのように感じていやらしい気持ちになります。

(植物体質としての)性欲と、幼馴染への巨大感情が別枠で語られているのでややこしいことになっています。

ただ、そのややこしさこそがこの作品の本質で、「これは恋だよ」と明言しないことに意味があるのだろうな、と思います。

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ベビーリーフデイズ (RYU COMICS)

ベビーリーフデイズ (RYU COMICS)

  • 作者:柴谷けん
  • 徳間書店(リュウ・コミックス)
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少女がお盆をループする『盆の国』

お盆に帰ってくる先祖の姿が見える少女、秋。ある年の盆、秋は自分が8月15日を繰り返していることに気付く。戸惑う中で、声をかけてくれたのは夏夫という青年だった。秋は夏夫とともに、15日から脱出する方法を探す。しかし夏夫には、ある秘密があった。

ストーリーとしては女の子のひと夏の冒険、そして初恋。最後の夏夫とのシーンは予想はしていたんですがそれでもきゅんとしました。この年頃だと大人がすごく魅力的に見えて、でも大人は別世界の人間だということはわかっていて……。まあ夏夫は別の意味で別世界の人間なんですけど。

 叶わない初恋ほど美しいんですよね。

舞台が京都なので登場人物はみな関西弁をしゃべります。方言なのにさらっとした会話で懐かしい気持ちになりました。

電子版にはところどころカラーページが挿入されているんですが、紙でもこうなっているのでしょうか。ここぞ! というところで絵に色がついて、ある種のロマンチックさがありました。

 

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以上です。気になるものがあれば読んでみてください。