ブックワームのひとりごと

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統合失調症になった猫画家が妻の願いとともに苦しみの中を歩む―『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』

【映画パンフレット】ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ 監督 ウィル・シャープ 出演 ベネディクト・カンバーバッチ、クレア・フォイ、

 

あらすじ・概要

画家として、亡くなった父に代わり妹たちを養うルイス・ウェイン。妹たちの家庭教師、エミリーと恋に落ちた彼は、身分違いの結婚をしてしばらく幸せに暮らす。しかしエミリーが末期の乳がんだとわかる。妻を看取ったあと、ルイスは猫を描く画家として成功するが、金銭感覚のないルイスは借金を重ねてしまう。

 

あなたが問題を解決してくれたわけじゃないけど、あなたがいたから走り続けられた

ルイス・ウェインを知らないという人も、「インターネットでときどき見かける、統合失調症によって作風がサイケデリックになった猫画家の画像」の人だというとわかるのではないでしょうか。まあルイスの作風の変化と病気に関係があったかというと科学的にはわからないらしいんですけど。

その辺はマイルドになっているのかと思ったら、予想以上に統合失調症についてがっつり描写してあったので驚きました。遺伝的な因子と、妻や愛猫を失った悲しみ、家族を養わなければならないという重責から統合失調症を発症し、妄想や幻覚の世界に囚われていくルイスの姿はおかしくも悲しいものでした。

ルイスが客席の前で妄想を演説するシーンはものすごい迫力がありました。ベネディクト・カンバーバッチの面目躍如。

だんだん第三者視点であるはずのナレーションまでおかしくなっていくので、どこまで本当なのかわからなくなっていきました。ここは怖かった。

タイトルを見てラブロマンスだと思った人はびっくりするのではないでしょうか。

 

ただ、この作品がラブロマンスではないのかというとそうではなく、最後まで見るとやっぱり愛の話ではあるなと思いました。

短い間だったとしてもルイスの不器用な性格や作風を理解し、共感を示したエミリーがいたからこそ、ルイスは必死で生き、自分なりに生活する手段として猫を描き続けます。

エミリーがいたからといって、ルイスがうまく社会に適応できない変わり者なこと、そして統合失調症を発症してしまったことは変わりません。しかしエミリーの愛は、ルイスと社会を繋げる橋渡しをしてくれました。

「あなたがいたから問題が解決したわけではないけれど、あなたがいたからここまで走り続けられた」という話なのかなあ、と見終わって思いました。

 

明るい話ではなく、人生の悲しみを感じる作品でしたが、それでいて希望のある作品でした。