はからずも最近読んでいる作品にはアルビノのキャラクターが多いです。そういうめぐり合わせなんでしょうか……。
あらすじ
研究所に連れてこられた脩一と花絵。彼らは感覚が同化する「アンナ・メアリー症候群」の発症者でした。進行すると人格も同化してしまうこの病気。彼らはお互いに交流を深めますが……。
ぞわぞわする感覚の同化
同化していく感覚の描写はぞわぞわするものがありました。別個の存在だった二人が少しずつ人格を同化させていく過程は怖かったです。
それでいて、必ずしも「バッドエンド」として描かれているわけではないのが面白いと思います。「自己」というものは失われるけれど不幸ではない。ある意味メリーバットエンド的な話です。
はっきりしたエンディングではないので、好みは分かれると思いますが、私はこの終わり方も嫌いではないです。
なぜこの過去でなくてはならなかったのか
残念だったのは彼ら二人の生い立ちがやたらと長かったことです。それもメインテーマである病気との関連性があまり感じられないんですよね。
たとえば脩一は将棋をやっているのですが、その青春をかけた将棋のことが病気にあまり影響していないように感じます。なぜ将棋でなければならなかったのか? スポーツではない意味は? と必然性を感じられません。
花絵のほうの生い立ちも、哀しい過去は彼女の今後の展開に必要とはいえ、さらっと流してもそれほど影響はなかった気がします。
どうせなら彼ら二人が出会ってからの病気の進行をじっくり書いてほしかったです。
まとめ
正直「面白い病気を書いた」という部分で終わってしまっていたなあというのが感想です。もっと病気についてじっくり読みたかったです。
雰囲気そのものは好きなのですけれどね。
- 作者: 唐辺葉介,シライシユウコ
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