ブックワームのひとりごと

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ロシアをさまよう漂流民たちに感情移入 井上靖『おろしや国酔夢譚』感想

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読みたいと思っていたんですが、後回しになっていてやっと読めました!

ロシアの殺し屋恐ろしや。

おろしや国酔夢譚 (文春文庫 い 2-31)

 

あらすじ

船旅のうちに遭難し、ロシア領の離島にたどり着いた伊勢出身の船乗りたち。彼らはロシアの街を転々としながら、帰国の方法を探ります。過酷な異国の生活に、志半ばで死んでいく船乗りたち。リーダーである光太夫は、仲間と日本にたどり着くことができるのでしょうか、

 

異国に戸惑う船乗りたちに感情移入

歴史小説は今と文化が違うので、なかなか主人公に感情移入するのが難しいんですが、この小説はとても感情移入できました。

理由として、「異国の文化にびっくりする漂流民たち」の描写が多かったからというのがあります。私もいきなりロシアに行くことになったら戸惑うだろうので、慣れない異国の中で精一杯サヴァイヴする船乗りたちを身近に感じられます。

読んでいるうちにどんどん光太夫を応援したくなってきます。頑張って!!

異国に行って故郷に帰る、「行きて帰りし物語」の典型でもあるので、歴史小説に苦手意識のある私でも面白く読めました。

 

歴史に足跡を残した一般人

もう一つ面白かったのが、一般人が漂流生活によって歴史に足跡を残したことです。

普通の男性が、漂流してエカチェリーナ二世に出会って、金牌を送られ日本に帰ってくるというスケールの大きな冒険をする、そしてそれが現実にあったことというのがすごいです。

本人がもともと持っている適応力もあるけれど、漂流しなければ歴史に名を残すこともなかっただろうなと思うと、運命の因果に思いをはせずにはいられません。

どの辺まで脚色が入っているかはわかりませんが、漂流と言うものはそれだけでドラマチックな内容を含んでいるんですね。

余談ですが、最後光太夫たちは軟禁生活を送るということになっているんですが、最近の文献でこれは否定されているそうです。その辺はフィクションと思っておいた方がいいですね。

 

まとめ

結末がわかっていながら、読んでいるだけではらはらして面白かったです。お堅い小説だと思っている人が多そうですが、エンターテイメントとしてもクオリティの高い物語でした。

歴史小説は難しそう、でもちょっと読んでみたい」人にはおすすめです。

おろしや国酔夢譚 (文春文庫 い 2-31)

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