ブックワームのひとりごと

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かっこよくない青春の一瞬のきらめき―豊島ミホ『檸檬のころ』

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檸檬のころ

 

あらすじ・概要

田舎の進学校、北高。そこで学ぶ生徒たちや周囲の人間は、それぞれに悩みを抱えている。保健室登校の友人を持つ少女、建物の中で交際する寮生に悩む寮を管理する女性、進学で別れ別れになるカップル。みっともなくてみずみずしい、青春を描いた連作短編。

 

かっこよくない人たちの青春模様

登場するキャラクターは、基本的にかっこよくありません。不登校の友人を裏切りそうになる女の子、司法試験に何回も落ちている男、他に好きな人がいる女の子に片思いしている少年。

そんなかっこよくない人間たちが、ふと、青春のきらめきを体験するところがよかったです。きらめきははかなく、すぐ過ぎ去っていくものでしょうが、それでも救いになります。

 

余談だけれど最近失恋をテーマにした作品を探していて、この文庫本にたどり着きました。この本には二本も失恋短編が収録されているので、同じ性癖の人はぜひ。

 

以下、印象的だった話。

 

「金子商店の夏」

学生たちが集う、ちょっとした食料品店の家に生まれた男の話。

自分の夢をどのタイミングであきらめるかというつらい問題に、北高の生徒たちが交差していくところが面白かったです。

苦い挫折から、少しだけ希望が見えてくる話でした。

 

「ルパンとレモン」

野球部の少年が吹奏楽部の女の子に恋をする話。

 成就には届かない恋物語最高です。嫌いじゃないのに、好きにはなれない感情がつらい。

檸檬のころ

檸檬のころ

  • 作者:豊島ミホ
  • 発売日: 2013/10/09
  • メディア: Kindle版
 
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