あらすじ・概要
13歳で同性である女性に初恋をした著者。女性が女性を好きになることはおかしいことなのだろうか? と悩み、葛藤する。しかし世界一周の船「ピースボート」に参加したことから、自分以外の性的マイノリティに出会う。自分を受け入れられなかった著者の人生は少しずつ変わっていく。
発信し続けること、そしてカミングアウトの問題
自分が「同性が好き」であることをうまく受け入れられず、葛藤する著者は、ピースボートで同じ同性愛者に出会い、彼女が性的マイノリティにまつわる講演をしていることに衝撃を受けます。
「自分はここにいる」と言っていいのだ、という理解は、少しずつ著者の人生を変えていきます。
思春期の少年少女にとって、「自分は人とは違う」というのは切実な悩みですし、そういう状況で自分と同じような人がマイノリティであることを公表し、発信を続けているということは救いでしょう。人間にはロールモデルやメンターが必要です。
性的少数者であることをオープンにして生きていくうえで、避けては通れないカミングアウトの問題も扱っています。
著者が同性愛者だと告白した人々の反応、また著者の周りのセクシャルマイノリティのカミングアウト事情には考えさせられました。私は今のところセクシャルマイノリティであることを友人に告白されたことはないんですが、そのときさらっと受け入れられるか? と考えてしまいます。
世の中には多様性があるとわかっていても知らず知らずのうちに世間の価値観に囚われているものだし、そのためにも「こういう人がいる」と発信し続けるのは価値があるのだろうと思いました。
ところでライターが協力者として載っているのを見ると、この本は口述筆記なんでしょうか? それならそうとはっきり言ってもいいと思うんですが……。(この辺をはっきりさせない文化は好きではないです)