あらすじ・概要
コミックエッセイ作家の青沼貴子は、かつて少女漫画家としてデビューしていた。幸運にもはじめて応募した漫画でデビューするが、漫画家の仕事は大変だった。アシスタントのこと、アニメのこと、担当のこと……デビュー当時のことを回想する漫画。
確かに運がいいけど才能の片鱗を感じる
確かに運がいい展開ですが、初心者が漫画家になる話としてはこれはこれで面白かったです。
真面目な漫画家志望が見ると不真面目に思うかもしれないですが、はじめて描いた漫画を完成させたり人間を描く能力が評価されたり、柔軟にものを考えたり……ものづくりをする人間の才能は持ち合わせていたように見えます。
修正前のネームと修正後のネームを比較したり、エッセイ漫画を描く前の落書きを公開したり。作風の変移が興味深かったです。
嫌な担当の話……などはなく、よくしてくれた担当の人の話がほとんどです。最近は漫画担当は邪悪なものみたいな極端な物言いをする人が多いので癒されました。まあ、担当の悪口をホイホイ描くような漫画家であったら、エッセイ漫画家としてやっていけないとも思いますが……。
しかし、子供を産み家庭を持ったら仕事の連絡が来なくなってしまったくだりは笑えなかったです。漫画家を大切にしてくれた編集部でもこの仕打ち。当時は子どもを産んだ女性に仕事を回すという発想があまりなかったんでしょうね。
著者が仕事に復帰した理由が完全に私の母親と同じで面白かったです。この世には同じことを考える人がひとりはいますね。