ブックワームのひとりごと

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ソビエト・ロシアの収容所で生きた日本人たちの生活 辺見じゅん『収容所から来た遺書』感想

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収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)

収容所と書いて「ラーゲリ」と読みます。

 

あらすじ

第二次大戦後、「戦犯」としてソビエト・ロシアの収容所(ラーゲリ)に収容された軍人の男性たち。日本に帰る日を夢見て、貧しい食事や厳しい労働に耐えていた。そんな中、日本人の中心的人物が病気で臥せってしまう。

 

ラーゲリで生きるとはどういうことだったのか

ロシアで日本人を収容していたということは知っていましたが、どういう感じだったのかは知りませんでした。今までぼんやりとしか知らなかったことを具体的に知ることができてよかったです。

強制労働は、人道的にだめなだけじゃなくて、効率もすごく悪いと思います。有能な人がばたばた死んでいくし、いつもぎりぎりの生活をしていて余裕がない人がちゃんと働けると思えません。人類の財産を無駄遣いしている……。

意外だったのは、ラーゲリに俳句の会や壁新聞があって文化的な生活を大事にしていたことです。

いつ帰れるかわからない生活の中で、文化が人々の心を支えていたのだなと感じました。

 

ちょっと感動的すぎて面食らった

ラーゲリの人々は、病死した仲間の遺書を暗記して帰ろうとします。文字を書いた紙は没収されてしまうからです。

ラーゲリでの生活が淡々と描かれてたのが、いきなり感動的な展開になってちょっと面食らいました。読む前にあらすじは知っていたけれど、それでもなんだかびっくりしました。

ただ、この「遺書を記憶する」という目的が、ラーゲリに収容された日本人たちを鼓舞したのだろうと思うと、感動的な語り口になるのもあたり前かなあと思います。

この本全編を通して、「調べてわからなかったこと」という部分がないので、ある程度は脚色で補われていると考えたほうがいいと思いました。

 

まとめ

ラーゲリで生きた日本人たちのことを知ることができてよかったです。ただ、少々違和感を覚える部分もありました。

多少他の本と比較したほうがいいかもしれませんね。

収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫)

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決定版 男たちの大和〈上〉 (ハルキ文庫)

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