あらすじ・概要
突然がんを告知された夫。妻である著者は、不安を抱えながらも闘病する夫を支える。がんについて情報を調べ、それから抗がん剤治療の開始。お金や保険の手続きをこなし、同居する姑と家事をやりながら、夫とともにがんに立ち向かっていく。
内容が暗くなくて読みやすかった
文章を書くためにちょっとがんについて調べていて、これはその中の一冊です。
がん関連のエッセイには必ずと言っていいほど告知された時の葛藤が描かれているんですが、この作品では著者の義母、つまり姑もショックを受ける様子も描かれています。「いくらかかってもいい! 最新の治療を受けさせてもらいなさい(P14)」としっかりしたことを言いつつ、次の日は泣きはらした目で起きて来ます。その気丈さに少し泣けました。
著者の家は二世代同居で、姑と夫婦の居住スペースを分けているようなんですが、夫の病気をきっかけに一緒に食事を取ったり話し合ったりするようになったのが苦しみの中の救いでした。苦しみを分かち合う人がいると少し心が軽くなります。
がんの治療としてはうまくいったケースであり(そうでないと漫画になりませんが)、患者である夫がタフで明るいので内容はあまり暗くありません。不安を抱えつつも、抗がん剤治療で髪の毛が抜けてもけろっとしていて、食欲がなくても一口でも食べようと試みます。みんながこういう風に立ち回れるわけではないでしょうが、読む側としてはほっとする描写でした。
ポジティブな描写で、「今は暗い話は読みたくない」というときにも読みやすい闘病本だと思います。