ブックワームのひとりごと

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『身内に(ヤ)がおりましてん。』カツヒロ BAMBOO ESSSY SELECTION 感想

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身内に(ヤ)がおりましてん。 (BAMBOO ESSAY SELECTION)

 

あらすじ・概要

著者、カツヒロのおじはヤクザだった。おじさんに溺愛されていた著者は、その過程でヤクザの世界を垣間見る。大阪を舞台に繰り広げられる、子どもから見たヤクザの暴力、犯罪、日常とは……。

 

シャレにならないアウトローの日常が面白い

面白かったですが問題作でもありました。著者はもうちょっと「おじさん」にひどい目に遭わされた人たちに同情してほしいです。

 

少年である著者のおじさんはヤクザ。著者を溺愛する一方、その生活には暴力がつきまといます。そして、薬物や詐欺、未成年の搾取も。

話としてはコミカルですが、シャレにならない話題ばかりで、笑っていいのか悩みます。

特に、家出少女が家の一室にゴロゴロしていたのは恐ろしかったです。悪い大人にシンナーや薬物を与えられて育った子どもたちの今後が心配です。

 

メンツとプライドを重要視する、ヤクザ社会の内実も面白かったです。見栄を張り、高いものを買い続け、ケチであることを知られるのを恐れます。暴力の世界に生きていると、ナメられることは生死にかかわるのでしょう。

 

暴力と犯罪にまみれたおじさんの生活ですが、著者のことは我が子のように愛していたのはわかります。

それで許されるわけでもないですが、アウトローも、普通の社会と陸続きのところで生きている気がしました。