ブックワームのひとりごと

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魔女学校の生徒同士が織りなす現代の変身譚 白鷺あおい『ぬばたまおろち、しらたまおろち』感想

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ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)

TwitterのTLで噂になっていて興味を持った本です。

 

あらすじ

幼馴染の大蛇と結婚の約束を交わした少女、綾乃。村祭りの舞い手に選ばれた綾乃は、祭り当日に謎の男に襲われる。間一髪で彼女を救ったのは、ほうきに乗った魔女だった。綾乃はそのまま、魔女たちが学ぶディアーヌ学院に入学することになる。

 

お祭り騒ぎのような楽しいストーリー

何よりよかったのは、お祭り騒ぎのような明るくて楽しいストーリーです。

正直ちょっと強引なところもあったんですが、民俗学、学園もの、タイムトラベルなど、好きなものを全部乗せしてそれでいて物語として楽しめるものにしたところがよかったです。

そして作品そのものが、さまざまな既存作品のオマージュになっているところが、本好きとしては懐かしい気持ちになりました。

ここまで「好きなもの」を詰め込みまくると話として破綻したり、ひとりよがりになってしまいそうだけれどそれがない。そこは既存の作品のオマージュに頼らない、著者の実力だと思います。

楽しいストーリーに身を任せ、物語の中に入ったようにわくわくして読み終えることができました。

 

現代の変身譚

もう一つ面白かったのは、この作品では「変身」が大きなテーマになっているところです。

綾乃の幼馴染、蛇のアロウは物語の中で人間に変身し、ディアーヌ学院で出会った雪之丞はわけあって人前で変身しない。その変身が、ストーリーにかかわっていくところが興味深かったです。

サブキャラクターにも、顔がつるつるになるのっぺらぼうや、狼に変身する狼男などがおり、変身や異形化が好きな私としては嬉しかったです。

「変身譚」が好きな人にはおすすめしたい作品でした。

 

まとめ

デビュー作なので強引なところもありましたが、書き方がこなれてくるともっと面白くなりそうでした。

『ぬばたまおろち、しらたまおろち』はシリーズ化するようなので、もしかしたらヒット作になるかもですね。

ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)

ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)

 

 

 オマージュ元の一つであろう、RDGもおすすめです。