ブックワームのひとりごと

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そつなくまとまったラノベだけど勧善懲悪っぷりが合わない―羽鳥紘『美しき悪魔、落ちこぼれ呪術師のしもべとなる』

美しき悪魔、落ちこぼれ呪術師のしもべとなる (DIANA文庫)

 

あらすじ・概要

孤児のリゼットは呪術師としての才能を見込まれ師匠のエルネストに拾われた。しかしリゼットの修行は振るわず、落ちこぼれとして雑用をこなす毎日。ある日試しに使い魔を召喚してみると、出て来たのは悪魔だった。悪魔を召喚したことで追われる身となり、悪魔オリアスとの逃避行が始まった。

 

つまらなくはない、価値観が合わないだけ

全体的にそつなくまとまっており、ケチをつけるところがあまりないのですが、ただひとつ、作品の勧善懲悪っぷりが肌に合いませんでした。

作品すべての悪がひとりの人間に集約され、それを打ち破ることで解決するのは、ストーリーが単純すぎて萎えます。

たまたまテレビをつけたら「スカッとジャパン」をやっていたときのような気まずさというか、「主人公の邪魔をしてほどほどのところで退場してくれる都合のいい敵」っぷりが露骨すぎてつらいというか……。

 

あとラストで王太子が取ってつけたような行動をするのもどうかと思いました。人の上に立つ人間の覚悟が足りないですね。

 

それを置いておけばライトノベルとしてはうまくまとまっていました。落ちこぼれの呪術師が強い悪魔を呼び出せた理由もきちんと説明されています。

また、卑屈で自虐的なリゼットが悪魔のオリアスと出会い、少しずつたくましくなり、最終的に自分の居場所を作るために戦うという心の動きが丁寧でした。自分の居場所は自分で作るという態度は見ていて心地いいです。

 

私の個人的価値観を置いておけば、一巻完結ライトノベルとしてはいいできだと思います。Not for meだけど実力は認めてやろう……と上から目線になってしまう本ですね。