空にそびえたつ大聖堂はロマンですね。
前に読んだ著者の本が面白かったので、これも読んでみました。
書籍概要
ローマ時代の技術が失われ、停滞の時代だと思われていた中世ヨーロッパ。しかし本当にそうなのでしょうか? 著者は今にもつながるテクノロジーの歴史を振り返り、中世は「暗黒時代」ではなかったと示していきます。
技術でチート系ファンタジーに出てきそう
ときどきある「現代人が技術でチートするファンタジー」に出てきそうなネタがたくさんあるので、そういう話を書きたい人にはおすすめします。銃や大砲ののなりたち、水車の構造、活版印刷の黎明、よりどりみどりですよ!
モノクロではありますが、図の資料もたくさんあるのがありがたいです。特に当時の機械の構造図は、昔のメカが好きな人や、クロックパンク的な話が好きな人には参考になりそうです。
本題である「中世は暗黒ではない」という主張も、スリリングで面白かったです。植民地支配におけるヨーロッパの覇権は偶然ではなかったのだなと再確認しました。
さまざまな要素の積み重ねで、歴史は紡がれていくのですね。
難しいので歴史に詳しくない人にはおすすめしない
歴史の専門用語が説明なく出てくるので、西洋史を勉強したことがない人には難しいそうだなと感じました。わからない単語を検索したり辞書で引きながらならなんとか読めるかも。
本題である「暗黒の中世」への批判も、そもそもの「中世」のイメージがわかっていなければなんのこっちゃだと思います。ある程度、中世とは何かをわかっていないと面白さがわからない。
「ちょっと中世の文化を知りたい」くらいなら、同じ著者の中世ヨーロッパの城の生活 、中世ヨーロッパの都市の生活 のほうがおすすめです。
文体は、翻訳特有のくせはありますが、まだ比較的読みやすいほうなのではないかな、と思います。
まとめ
面白かったけれど、万人向けではないので、チャレンジしてみたい人だけが読むといいと思います。
中世はいろんな発見がされてきていて、教科書も書き換わっていくでしょうね。
大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー (講談社学術文庫)
- 作者: ジョゼフ・ギース,フランシス・ギース,栗原泉
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