吸血鬼ものの作品を読むシリーズ。
あらすじ
眠りから目覚め、ロックスターとなったヴァンパイア・レスタト。彼は自伝を書き始める。老ヴァンパイアから血を与えられ、吸血鬼となった彼は、超常的な力と財力を得る。
吸血鬼がロックスターになる面白さ
話自体は耽美で哲学的なのに、まずつかみが「吸血鬼がロックスターになった」ということなのがすごく面白いです。
しかしプロローグを読んでいるうちに、「吸血鬼だということを公言しても殺されないし、血生臭い発言してもおかしいと思われないし、吸血鬼がロックスターになるのって自然なことなのでは?」と思えてきます。そりゃ隠れ蓑としては最適だわ。
描いているのは古典的な吸血鬼像である一方で、現代的要素が無理のない形で絡められているのが楽しいですね。
『夜明けのヴァンパイア』でも吸血鬼へのインタビューが描かれていたから、このシリーズの特徴としてあるのかもしれません。
レスタト、意外と理性的
『夜明けのヴァンパイア』ではレスタトはちょっとおかしい吸血鬼として書かれていたのですが、この本を読むとかなりまともでびっくりしました。いや、人をごみのように屠ってはいるんだけど、肉親や友人にはちゃんと情を示しています。
プロローグで『夜明けのヴァンパイア』を読んでマジギレするレスタトが描かれているあたり、あれは結構都合のいい話だったのかもしれません。
しかしそれは『ヴァンパイア・レスタト』の方も同じで、レスタト自身が書いた伝記である以上、嘘や誇張が含まれている可能性が十分あります。
そういう「誰が本当のことを話しているのか」という疑問が生まれてくるのが面白かったです。
これはシリーズをセットで読んだ方が楽しいですね。
まとめ
耽美でシリアスなんですが、話の組み立てにどこかユーモアを感じられて面白いです。
下巻が楽しみです。一体どこまで書くんだろう?