ブックワームのひとりごと

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【ヒット作も名作も】映画化された小説おすすめ15選

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ChatGTPに「読書ブログのまとめ記事のアイデアを出してください」と頼んだら「映画化された小説のおすすめ」を提案されたのでまとめました。

そういえば今まで書いたことのなかったまとめでしたね。提案されるまで気づきませんでした。

以下、映画化された作品から面白かったものをピックアップしたまとめです。

 

 

 

 

大阪を舞台に営まれる男女の愛と葛藤『ジョゼと虎と魚たち』

車いすで暮らすジョゼは、同棲し自分を世話する恒夫を「管理人」と呼ぶ。奔放でわがままで、でもどこか憶病なジョゼは恒夫とさまざまなところへ行く。ふたりの微妙な関係はどうなるのか……。表題作ほか、大阪の男女の営みを描く短編集。

ジョゼと恒夫のアンバランスでエロティックな関係が語られ、最後はするっと終わります。

小気味いい大阪弁で語られる、閉塞感がありながら美しい物語でした。

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親がカルト宗教にハマってしまった子どもが星を見上げる『星の子』

ちひろの両親は、病弱だったちひろが「特殊な水」で治癒したことから、あやしげな宗教にのめり込むようになる。ちひろはそんな両親にうっすら違和感を覚えながらも、ともに暮らしていく。やがて姉が家出し、中学生3年生になったちひろは、ある決断を迫られる。

一見ほのぼのとした穏やかな語り口で語られる、カルト宗教の薄気味悪さがぞわぞわします。

ちひろとちひろの両親の間には確かに愛情があるのですが、それははたから見ると虐待でしかないという恐怖。ちひろはまだ幼く、両親の信仰を拒絶するすべがありません。しかしちひろは長じるにつれ、「宗教二世」であることのデメリットに直面することになります。

真綿で首を絞められるようにじわじわと、カルトに自分を殺されていく過程が怖かったです。

honkuimusi.hatenablog.com

星の子 (朝日文庫)

 

目がボタンの母親、という破壊力『コララインとボタンの魔女』

コララインの両親はいつも仕事で忙しく、かまってくれない。ある日、コララインはもう一つの自分の家を見つける。そこにはボタンの目をした両親がいた。彼らはコララインに優しく接するが……。

「ボタンの目をした母親」というのが、気味悪くて好きです。子どもにとって身近なものを使って、おどろおどろしい世界観を表現するところは見ものです。「こんなことあったら怖いだろうな」という展開のオンパレードです。

コララインが両親や周りの大人に対して批評的なところもリアリティを感じます。子どもは子どもなりに大人に不満を持っているんですよね。変な料理をしたがる父親などもあるあるすぎて。うちの父親も変な料理作ってたなあ。

ありえない展開が起こるファンタジーではありますが、子どもにとって身近なものをとっかかりにして描いているところがよかったです。そうすることで物語に入り込みやすくなっていると思います。

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コララインとボタンの魔女 (角川文庫)
コララインとボタンの魔女 (角川文庫) Amazon

 

小学生3人組はおじいさんの死ぬところが見たくて家を覗く―湯本香樹実『夏の庭』

小学六年生の三人は、「人が死ぬところを見たい」という理由で、とある老人の家を覗くことにする。最初は老人は少年たちを疎ましがっていたが、徐々に親しみを覚え始める。少年たちが老人の手伝いをしたり、老人が少年のためにすいかを用意したり、四人は奇妙な友情をはぐくみ始める。

「人が死ぬところを見たい」という題材そのものにはぎょっとしますが、内容としては丁寧な世代間交流の話です。

過去に傷を抱える孤独な老人と、まだ社会のこと知らない小学生3人組が、だんだんとお互いを思いあうようになります。

基本的に何気ない日常や言葉のやりとりでできているのですが、そういう何気ない交流がふっと心を楽にしてくれることがあります。その瞬間が随所にちりばめられているからこの小説は心地いいです。

しかもそのやりとりをする人々を、完全な善人ではなく、いいところも悪いところある人間として描いていきます。だからこそキャラクターを身近に、親身に感じて読めました。

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平凡なゲーム好きの少年が父の家出をきっかけに異世界へ行く『ブレイブストーリー』

ゲーム好きの小学生の亘は、両親と平穏に暮らしていた。ある日、亘のクラスに芦川という転校生がやってくる。芦川に話しかけようとする亘だったが、冷たくあしらわれてしまった。そんな折、亘の父親が家を出て行ってしまう。彼は亘の母と離婚し、新しい家庭を作ろうとしていた。

怖いのは、亘の父も不倫相手も、母も、「日常生活では普通で、むしろ親切な人なんだろうな」と思うところです。そういう普通の人だって歯車が狂えばおかしくなるし、平気で子どもを傷つけます。その普通の人に宿るだめさが存分に出ています。

そんな亘が願いを叶えてくれるファンタジーの世界に旅立ち、自分自身を見つめ直す中で、本当に叶えるべき願いを見つけます。リアルとフィクションが交じり合うところが面白かったです。

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自殺した少年の体の中に入り、その家族と向き合いながら己の罪を思い出す『カラフル』

罪を犯して死んだ「ぼく」は、プラプラという天使から再チャレンジの機会を案内された。次の人生に転生するには、自殺をした真という少年の身体にホームステイして自らの罪について思い出さなければいけないと言う。「ぼく」は真として生活することになるが、真の家族はそれぞれ問題を抱えていて……。

コミカルな語り口とは裏腹に描かれている題材は重いです。親の不倫、援助交際、いじめなど、「ぼく」は真が直面していた問題に代わりに向き合っていきます。

しかし家族の本心に触れ、学校で友人ができ、美術室で好きな絵を描いているうちに、「ぼく」は真の命を惜しむようになります。

真自身を含めて、人は弱く、ずるいところもある。半面、自分の知らない優しさ、気遣い、魅力に触れることもあります。「ぼく」は人の多面性を知り、受け入れていくことで少しずつ成長していきます。

「ぼく」が自分自身と向き合う中で、周囲も変わっていく。そういうところが青春小説らしい青春小説でした。

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「普通」に生きられない少女を「普通」を受け入れた少年が救う『AURA~魔竜院光牙最後の戦い~』

学校に忘れ物を取りに帰った少年、佐藤一郎は、リサーチャーと名乗る謎の女の子に出会う。しかしその正体は佐藤良子という一般女子。妄想をこじらせた彼女は異世界の住人を演じていたのだ。担任教師から脅されて良子の面倒を見ることになった佐藤は、クラスの半数を占める妄想戦士たちの奇行に巻き込まれることになる。

確かに空想の中で遊ぶ少年少女は「イタい」。それは確かです。しかしながら、彼らは学校では「普通」に振る舞わなければならない、空気を読んで言葉のキャッチボールをしなくてはならない、という固定観念に苦しめられている子どもたちでもあります。

中二病の痛々しさ、みっともなさを描きながらも、なりたい自分を演じて遊んではいけないのか? 不思議や空想を心の支えにしてはいけないのか? と問いかけてきます。

自分らしく生きたいと願うことと、社会に適応して生きていくことの折り合いをつけようとする作品でした。

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イケメンサイコパス教師が学校をめちゃくちゃにする『悪の教典』

優秀で生徒からの人望も厚く、ユーモアもある教師、蓮実聖司。しかし、その正体は共感能力のない殺人鬼だった。自分を邪魔するものを退学、辞職、死亡へと追い込んでいく蓮実。一方で、蓮実の教え子の怜花は、類まれな第六感で蓮実に恐怖を覚えていた。

全方位に最悪なサイコパスです。蓮実は善人も悪人も平等に殺します。そこにあるのは、性欲や名誉欲など、ひたすら自分の欲望を満たしていく男の姿。

倫理のかけらもない男なのですが、私、フィクションだと不思議とこういう人間って腹が立たないんですよね。蓮実は愛情による葛藤も憎悪による偏見も覚えず、シンプルな欲求に従って動きます。ある意味このくらい単純に生きられれば楽でしょうね。

上巻だけで破滅に向かって突き進む小説だということがわかります。でも、破滅って一抹の爽快感がありますよね? どんな破滅を見せてくれるのかわくわくします。

しかも長い小説でありながら中だるみするような部分がなく、ガンガン読み進めていけます。エンタメ小説としてクオリティが高いです。

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同性愛者の少年、腐女子に告白されて付き合う『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』

同性愛者である高校生、安藤純はある日クラスメイトの女子、三浦がBL本を買っているところを目撃する。三浦はそれ以来積極的に純に関わるようになり、ついには告白してきた。「将来子どもがほしい」「普通になりたい」「恋愛感情ではないが三浦が好きだ」という気持ちが交錯した結果、純はその告白を受け入れてしまった。

主人公はゲイですが、ストーリーとしては男と女の感情の話です。三浦に惹かれ、好ましいと思いつつ、「性器が勃起しない」という点でどうしても「普通の彼氏」にはなりえない純は悩みます。

実は純はずっと年上の既婚の男マコトと不倫関係にあります。マコトが表面的には「普通の父親」を演じていることから、自分もそういう人生を送ることが可能なのではないかと思ってしまいます。しかしそれは、同性愛者にも異性愛者にも不実な、「こうもり」の道でした。

生まれたときから社会の「こうあるべき」という価値観に従えない存在だったら、どうすればいいのか。狂うことなく、他人を傷つけず、生き延びるにはどうしたらいいのか? 作中に登場するゲイたちは、常に自問自答を続けます。その苦しさが痛々しかったです。

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「全部俺」の世界で共感や自己投影のおぞましさを描く『俺俺』

盗んだ携帯電話で何気なくオレオレ詐欺をしてしまった主人公は、それをきっかけに次々と「俺」と出会う。最初は三人だった「俺」は、次々に増殖していき、今や世界は「俺」だらけの世界に。自他の区別が極限まであいまいになっていく中で、主人公のアイデンティティは混乱を極める。

この世に複数の「俺」がいることに気付いた主人公は、最初は戸惑いますが、容易く共感でき、わかり合うことのできる「俺」たちと打ち解けていきます。しかし徐々に嫌悪感を覚え、俺自身を否定する「俺」が登場してしまったことから歯車が狂い始めます。

嫌いな「俺」であっても、主人公は「俺」を理解してしまいます。なぜならそれは「俺」だから。相手の醜さも、卑怯さも、他者を拒む頑なさも、すべては自分自身から生まれたものだからです。わかってしまうからこそ俺は「俺」を憎み、その憎しみはもちろん自分自身に跳ね返っていきます。

こうした展開を見ていると、この世にわかり合えない人がいることは、幸せなことだと思いました。自分と相手の境界線があやふやになることで、生まれる暴力性もあります。「あの人には私のわからない幸せや不幸があるのだ」と思うことで、相手のことを許せることもあります。『俺俺』はそういう距離感をすべて失ってしまった世界の物語です。

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ループを重ねて初出撃を突破せよ『All You Need Is Kill』

人間がギタイという謎の生物と戦っている未来。初年兵のキリヤ・ケイジはギタイとの戦いの中で二日間を繰り返すループに陥る。何度も初出撃をこなす彼は、ループを脱出することができるのか。

初々しい初年兵が何度もループを繰り返す中でどんどんたくましくなっていき、怜悧さを持つところはかっこいいです。

この作品の元ネタのひとつは、ビデオゲームのリセット。淡々とした文章も相まって、本当にそういうゲームをプレイしているような気分になってきます。

ループの話は同じことの繰り返しになってしまうので、退屈させずに書くのが難しいんですが、これはうまく省略したり変化を書いたりしていてまったく飽きませんでした。

そして「戦場の雌犬」リタとのループの中だけでの悲恋。ロマンチックすぎるほどロマンチックだけれど、ここまで強く押し出されていると納得するしかありません。

これが一番美しい結末だということはわかっていますが、悲しすぎてつい幸せなふたりを想像してしまいます。

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孤独な少年が心の中に他者を受け入れる『テラビシアにかける橋』

絵を描くのが好きなジェシーは、隣に引っ越してきた、ちょっと変わったところのある少女レスリーと仲良くなる。ふたりは川向こうの土地に、「テラビシア」という空想の国を作り始めた。

引っ込み思案で、ただ絵を描くことを救いにしていたジェシーが、テラビシアを作ることによって空想を共有する楽しさを知ります。

空想をきっかけに、ジェシーは少し優しく、しっかりした少年になっていきます。

ところが、ジェシーに悲しい出来事が起こります。打ちのめされるジェシーに、周りの大人たちはそっと言葉をかけます。

無理解だと思っていた大人たちが、本当はジェシーを気にかけていたことがわかり、ジェシーも少しずつ悲しみを受け入れていきます。

この、「愛されていた」ことが伝わるシーンは何度も泣いてしまうところです。多くは語らないけれど、ジェシーに寄り添おうとするジェシーの父。ジェシーを呼び出して自分の過去を伝える学校の先生。その優しさに苦しくなってしまいました。

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自らの病を知らなければ前に進めない『クワイエットルームにようこそ』

オーバードーズ(薬の大量摂取)で精神病院の隔離病棟に運ばれた「私」。多種多様な問題を抱える女性たちとかかわりながら、なんとか早く脱出しようと試みる。果たして「私」は正気なのか……。

作者が意図しているかどうかはわからないのですが、この作品は「病識」の話ですね。

病識とは、精神疾患の人が「自分は病気だ」と気づくこと。この病識を持てないと治療は困難を極めます。自分が病気だという意識がないものだから、薬をさぼったり病院に行かなかったりします。

自分自身の内なるめんどくささを受け止めないと、前に進むこともできないというラストは、過酷でもあり爽やかでもありました。

多分これからも主人公は多くの苦労をして、ひょっとしたら閉鎖病棟に戻ってくるかもしれません。でも、「自分はおかしい」と気づくことからでしか前に進めないんですよね……。

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ロシアをさまよう漂流民たちに感情移入『おろしや国酔夢譚』

船旅のうちに遭難し、ロシア領の離島にたどり着いた伊勢出身の船乗りたち。彼らはロシアの街を転々としながら、帰国の方法を探る。過酷な異国の生活に、志半ばで死んでいく船乗りたち。リーダーである光太夫は、仲間と日本にたどり着くことができるのか……。

歴史小説は今と文化が違うので、なかなか主人公に感情移入するのが難しいんですが、この小説はとても感情移入できました。

理由として、「異国の文化にびっくりする漂流民たち」の描写が多かったからというのがあります。私もいきなりロシアに行くことになったら戸惑うだろうので、慣れない異国の中で精一杯サヴァイヴする船乗りたちを身近に感じられます。

読んでいるうちにどんどん光太夫を応援したくなってきます。頑張って!!

異国に行って故郷に帰る、「行きて帰りし物語」の典型でもあるので、歴史小説に苦手意識のある私でも面白く読めました。

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第二次世界大戦を生きた英国執事の栄光と悔恨『日の名残り』

昔はダーリントン卿という貴族に奉仕していたが、今はアメリカ人に仕えている老執事。彼はかつて女中頭だったミス・ケイトンに会いに行くために初めて一人で旅に出る。旅をしながら、彼は昔のできごとを回想していく。

主人公が語る過去の栄光の話を「自慢かよ」と思って読んでいると、ラストに向かうにつれ主人公の犯した過ちが明らかになります。それがどうにもやりきれないです。

「前を向いて生きていくしかない」という結論は陳腐だけれど、過ちを繰り返してきた主人公が言うと含蓄があります。もし主人を破滅から救うことができたら、もしミス・ケイトンに素直になっていたら……。と何度も繰り返し後悔して初めて、「前を向くしかない」という結論が真実に思えるのかなと。

一見前向きな言葉です。しかし、裏には多くの取り返しのつかないできごとがあります。どんなに過去を振り返ってもやり直すことはできない。だから前を向くしかない、という悲しい結論でもあるなと思いました。

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以上です。興味があれば読んでみてください。