ブックワームのひとりごと

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水野俊平『台湾の若者を知りたい』岩波ジュニア新書 感想

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台湾の若者を知りたい (岩波ジュニア新書)

 

「台湾は親日、と言われる中で、台湾の文化や生活を知っている日本人は少ない」という意見は本当にそうです。この本は、身近であるはずなのに知らない台湾の若者文化について書かれています。

台湾の抱える国際問題にはさらりと触れただけで、学校制度のこと、学生の文化のこと、若い人たちへの日本への思いが主な情報です。

 

面白かったのは台湾の学生はジャージ登校が許されており、普段制服で登校することはほとんどないということです。かつて「制服を自由にしよう」という活動があってそうなったようです。

私は学校から支給される制服がごわごわしていて苦手で、毎日ジャージで登校したいと思っていたのでとてもうらやましかったです。日本にも取り入れてほしい制度です。

服装に寛容な一方で、勉強については日本よりも厳しく、学歴社会です。大学進学率は90%越えです。勉強が好きならばいいけれど、勉強が好きではない少年少女は大変そうですね。

 

台湾は兵役があるのですが、兵役に対する男性陣の反応が結構淡々としているのが驚きました。作家がこういう文体なのかもしれませんが。

韓国にも兵役はありますが、もっと切実な雰囲気だったので意外でした。

 

最後に、台湾の若者たちから、日本人への印象、日本人に対して不満に思っていることが語られます。

人懐っこく正直な台湾の人にとっては、なかなか本音を話さず、社交辞令を駆使する日本人が冷たい人間に見えるようです。

「日本人はシャイでなかなか仲良くなってくれない」という話はよその外国人からも聞いたので、ちょっと申し訳ないんですけれどなかなかそういう態度はやめられません。

 

語り口はさらっとしていて前向きな内容ですが、台湾の今後を考えると複雑な気持ちもあります。

若者たちが人生を楽しめる平和が続きますように。