ブックワームのひとりごと

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『茶の世界史 改版 緑茶の文化と紅茶の社会』角山栄 中公新書 感想 茶に関する植民地支配と日本茶の敗北

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茶の世界史 改版 緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書)

 

あらすじ・概要

商品作物で嗜好品である「茶」。それは大航海時代や植民地支配時代に人々に広まり、世界的なものになった。中心となったイギリスの紅茶事情や、紅茶にまつわる人々の文化、そしてなぜ緑茶が紅茶ほどに世界に広まらなかったのか、さまざまな情報を語る。

 

植民地支配と日本茶の輸出失敗

この手の商品作物の歴史にはあるあるですが、植民地支配のえげつなさに引きますね。よくこんなことをやったなあ。

紅茶をめぐるお金の動きやアヘン戦争にも関わり、面白いとはいいがたい残酷な描写も続きます。グローバル化の負の側面を感じます。

 

日本の緑茶が輸出に失敗した経緯も書かれています。日本茶は紅茶ほどの効率のいい栽培方法を作り上げることができず、また輸出用の緑茶に粗悪品が多かったことから、紅茶文化に敗北します。

「真面目な日本人」というステレオタイプとは違った歴史で面白かったです。

しかし紅茶に並ぶほどの緑茶の輸出に成功していたら、日本がモノカルチャー経済化しその後の経済的自立に歯止めがかかった可能性もあります。

歴史にもしもはないですが、紅茶の大量生産、大量輸出には植民地にされた土地の人々の犠牲が伴うことも忘れてはならないでしょう。幸運にも日本がモノカルチャー経済から逃れられたことも。

 

 

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