あらすじ・概要
漫画家を志す女性、しらみずさだこが出会った男性はOCD(強迫性障害)だった。ふたりは付き合い結婚するようになるが、だんだん彼の異質な行動が目立つようになる。著者は夫の脅迫的行動に振り回され疲れ果ててしまう。この生活の出口はどこにあるのか……。
夫の強迫性障害に振り回された果てにあった幸せ
著者夫婦が精神科の悪いイメージから受診をためらい、治療が遅れるくだりがあり、本当に精神科は怖いところではないと発信していく必要があると思いました。暴れるような患者がいないわけではないけど、少数派ですし。むしろ一般人より大人しい人が多いくらいです。
ただ、金銭的な理由からクリニック認知行動療法を受けることが難しい彼らが、自分なりに脅迫的行動を減らしていくために工夫するところは面白かったです。自分なりにやってもプロがやるのと似たような結論になるのが興味深いです。
調子のいいときは脅迫的行動をやめるようチャレンジしてみる、小さなハードルからこつこつこなしていく、そんな地道な作業が病を改善させていくんですね。
結構な間妻は夫の言動に巻き込まれて振り回されており、「伴侶のおかげで病気が治りました!」という内容ではありません。それでもここまで寄り添って生きられたのは何だかんだお互いに情があったからでしょうね。
つらい内容ではありますが、語り口が冷静なのであまりつらくなりすぎずに読めました。面白かった。