あらすじ・概要
婚約者の浮気現場を目撃してしまったコニー。それだけならまだしも、浮気相手の意地悪に巻き込まれてしまった。そこで助けてくれたのがスカーレット。彼女は10年前に処刑された稀代の悪女だった。幽霊のスカーレットに取り憑かれてしまったコニーは、しぶしぶ彼女の復讐に付き合うことになる。
よくある話を壮大な設定とバックグラウンドで作る
悪役令嬢の処刑、婚約破棄……と「なろう系でよくある話」から始まっていくのですが、しょっぱなから「スカーレットはどういう悪役令嬢なのか」「なぜ婚約破棄なのか」という設定がしっかり作り込まれていて、「こりゃ普通のライトノベルとは違うな」と思わせてくれます。
話が進むごとにどんどん登場人物が増えていくけれど、みんな個性が強くて背景も面白いので覚えられます。章ごとに登場人物を振り返ってくれるコーナーがあるのもありがたいです。
悪役令嬢が実はいいやつ……ではなく、スカーレットは本当にいけ好かない女なんですが、「そもそも貴族社会が魑魅魍魎跋扈する大変なところだよ」という話なのでスカーレットだけに嫌らしさが集中するわけではありません。みんな違ってみんなクズ!
そんな弱肉強食の社会で子羊のように弱かったコニーが、スカーレットの影響を受けてどんどんたくましくなっていくのは爽快感がありました。
コニーがスカーレットを振り回す一面もあり、コミカルに読めます。
ただの復讐譚かと思いきや、腹黒王妃、幻覚剤、そして関係諸国の動向も絡んだスケールの大きい陰謀があるらしく、続きが気になってどんどん読めてしまいます。読者を引っ張っていくパワーがすごいですね。
3巻までで一区切りらしいので、長いな……と思ったんですが、この面白さならさくっと読了できそうです。続きも楽しみ。