ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

お仕事コミックエッセイおすすめ13選

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趣味で小説を書いていると、どうしても登場するキャラクターの職業が似通ったものになってしまいます。自分がやったことのない仕事は想像しづらいからです。

ということで自分の知らない仕事に関するコミックエッセイは積極的に読むことにしています。空き時間にさくっと読めるから楽だし。

今回はその中で面白かった作品を紹介します。

 

生きるのが下手な人間がたどり着いた仕事『メンズエステ嬢の居場所はこの社会にありますか?』

両親が実家を引き払い引っ越すことになり、突然ひとり暮らしをしなければならなくなった著者。今のアルバイトでは暮らしていけない。生活費を稼ぐため、たどり着いたのはメンズエステの世界だった。露出度の高い服装で男性にマッサージを施すメンズエステは、風俗と普通の仕事のグレーゾーンにあたる仕事だった。

セクハラ・パワハラてんこ盛り。人は立場の弱い人間に対してこんなに意地悪になれるんですね。メンズエステの仕事をしていると不信感でいっぱいになりそうです。

そして何より印象的だったのが、メンズエステで働いている女性たちが自分に自信がなく、「ふつう」になれずに苦しんでいるという事実です。

人が当たり前にできることが自分にはできない。劣等感にさいなまれ、ぼろぼろになりながらも、それでも過酷で残酷なこの仕事しかできることがない。登場する女性たちはみんなどこか欠けています。

生きるのが下手な人間がそれでも救いを求めてあがく、希望と悲しさのある作品でした。

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たくましいバニーガールたちが接客の裏側を語る『うさぎさんのおしごと~バニーガールのイケナイないしょ話~』

学生時代、興味本位でバニーガールのアルバイトに応募してみた著者は、人手不足のために採用される。しかしそこは、体力と精神力が要求されるところだった。ガラの悪い先輩に怒鳴られたり、かわいいバニースーツが着れなかったり、バニーガールの仕事は苦労の連続で……。

一見エロい漫画みたいだけれどその実全くエロくなく、むしろ「バニーガール=エロい」という発想を打ち砕く作品です。著者が働いていたのはバニーガールがウエイトレスを務める高級店で、客と必要以上に会話したり疑似恋愛展開になったりはしません。なので当たり前のように彼氏がいる従業員も多いし、中には結婚をしている人もいます。

ボトルセールのときの販売数闘争など、下手をするとドロドロしてしまいそうなエピソードもありましたが、語り口がポップでコメディタッチなので笑って読むことができました。

セクハラネタもあるけどバニーガールたちがたくましいのであまり深刻にならずに読めます。

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動物看護士が見た動物と人との関係『いぬねこ動物病院日記』

かつて動物病院で動物看護師として働いていた著者。そこに来るのは病気の動物たち。病院の前に猫を捨てられたり、気難しい院内の犬に襲われたり、著者にはさまざまな困難が降りかかる。犬猫とその飼い主たちと接した記録を今の著者が回想するコミックエッセイ。

特につらかったのは動物病院の前に猫を捨てられる話ですね。うちの近所にも無計画に猫にえさやってしまう人が多くて困っています。捨てられた子猫を見ると「何かしてあげたい」と思ってしまうし、捨てた本人はけろっともとの日常に戻ると思うと、本当にやるせないです。

院内で飼っている動物のエピソードも面白かったです。なぜ動物を飼うのかというと、輸血のときに血を融通してもらうから。院内動物を世話するのも看護師の役割です。

繊細で凶暴な犬に振り回される著者がちょっとかわいそうでしたが、何だかんだで成長の糧にできていてよかったです。

 

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ゲーム実況者の、楽しいだけではない仕事を描く『パパはゲーム実況者~ガッチマンの愉快で平穏な日々~』

ある日、夫がゲーム実況を仕事にしたいと言い出したら……。著者、トラちんの夫はゲーム実況者のガッチマン。ゲームし放題で楽しい仕事かと思いきや、期限までのクリアのために徹夜、高難易度ゲームを何度もやり直し、決して楽ではない仕事風景が明かされる。著者はそんな夫を見守る。

楽そうに思えるゲーム実況者の仕事。この作品を読んでいると、「ゲーム実況の人も結構苦労しているんだな」ということがわかります。寝ても覚めてもひたすらゲームをし続ける生活。メーカーとのコラボのためにひたすらプレイを練習して、イベントがあれば司会もやって、守秘義務のために今やっている仕事について話せないこともしばしば。

「メーカーはなぜ実況者とコラボするのか」という点にも触れられていて、そもそもゲーム実況って何? という人にもわかりやすいと思います。逆にゲーム実況のことをよくわかっていない人にもおすすめ。

 

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芸大から介護職になった著者が見た楽しい介護『老人ホームに恋してる』

芸術大学の学生だった著者は、芸大から介護の仕事をしている人の話を聞いたことから介護職を志す。新卒で飛び込んだ老人ホームで、個性豊かな高齢者たちと出会った。介護という過酷な仕事の中で、お年寄りと触れ合い、話すことで著者は働き甲斐を見つけていく。

展開されるのは利用者である高齢者の楽しいエピソードや、ほっこりする会話です。認知症が進み、記憶があいまいになっている高齢者たちは脈絡が変な話し方をしてちょっと面白いです(不謹慎かもしれませんが)。

しかし将来親の介護や自分の介護が心配になる中で、こうやって認知症の人間を面白がったり優しく見守ってくれる人がいるというのは救いです。安心します。ただめちゃくちゃ給料が安いのは申し訳ないですが……。

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少女漫画アシスタントたちの青春『薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記』

中学生で漫画を投稿していた著者は、高校生になってプロの漫画家のアシスタントとして呼ばれることとなる。そこは締め切りぎりぎりの中漫画家とアシスタントが原稿を書き続ける「シュラバ」だった。有名漫画家との思い出とともに、つらくも美しい青春を描き出す。

同世代の女の子たちと眠気覚ましもかねて雑談をし、手では原稿を書き続ける。三日も徹夜して24時間寝る。夜中に怪談話で盛り上がる……。

今と労働基準法にひっかかりそうでだめだし、ちゃんと最後に「今の人は真似しないで」と述べられているんですが、それでもその当時シュラバに参加していた人はすごく楽しかったんでしょうね。画面中から楽しさがあふれてきています。

若者たちが駆け抜けた青春の話でした。

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監視員が見た美術館のできごと『ミュージアムの女』

岐阜県美術館で監視係をしている著者。展示室の片隅に座り、客が作品を触らないように注意したり、作品の害になるかもしれない虫を捕獲したりしている。美術館を訪れるさまざまな客を見つめながら、美術館の意義や展示係のやりがいについて語っていく。

登場人物はすべて二足歩行する擬人化された猫の姿で描かれていて、コミックエッセイでありながら絵本のような雰囲気があります。さらりと力の抜けた絵でありながらハイセンスでおしゃれな雰囲気です。さすが美術館のコミックエッセイ……。

特に面白かったのが展示室内に出た虫を捕まえるエピソード。展示室に出た虫はすべて捕獲して報告書を書かなければならないそうです。作品を食べてしまうなど有害な虫もいるからでしょうね。そんな仕事をしているとは思いませんでした。

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楽しくて厳しい配達員の日々『リアル宅配便日記…毎日こんなことが起こってます!』

社内新聞の四コマを描いたことをきっかけに、自身の配送業を漫画にし始めた著者。ブログを解説し、面白いお客さんや、配送時の面白いハプニング、個性的な同僚たちを四コマで楽しく語っていく。身近なようで知らない宅配便の世界は、面白ネタで満ちていた。

四コマ漫画に描かれているのは、親切でちょっと変わったお客さんたちとの交流、個性的な同僚の姿、繁忙期の大混乱。当事者だからこそ書けるネタばかりです。

「不在票あるある」とか「代引きあるある」とか細かすぎて伝わらないあるあるネタに笑います。よく観察されてるんだなあ。やっぱり客側としても配達業者さんに見られていることを意識しておこうと思います。

四コマの内容は基本的に楽しくポジティブで、嫌な話もあるにはあるけれど、ユーモアでくるまれているので不快に感じません。実際には楽しいことばかりではないとは思うんですが、それでも前向きで、明るさにほっとできる内容でした。

 

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働いてたらいろいろあるよね『新卒で”給食のおばさん"になりました~女の園は敵だらけ~』

調理師学校を卒業した後、病院の給食を作る仕事に就いた著者。そこは、体力仕事と女同士の付き合いがあふれていた。B型をいじめるお局様、親切だけどクールな先輩。慣れない仕事に四苦八苦しながら、著者は給食の作り方を学んでいく。

こんなタイトルだけれどそこまで敵もいないしドロドロしてもいません。いや、いびりがあったり噂話があったりドロドロの要素はあります。しかし著者が登場人物のいいところも悪いところも両方描いているので、嫌な感じはしないんです。

特に暗いけど親切な先輩のキャラがいいんですよね。気配もなく立っているところが面白いし、仲良くなって見ると案外人間味がある、というのがギャップ萌え。

働いているといいことも悪いこともあるよね……という気分になる作品です。

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ひとりで大衆演劇の裏方として奮闘『わたしの舞台は舞台裏 大衆演劇裏方日記』

著者は、大阪のとある劇場で大衆演劇の裏方をしている。たまたま見た大衆演劇にほれ込んだ著者は、大衆演劇に関わる仕事へ進んだのだ。大衆演劇ならではの文化、ひとりで裏方をすることの苦労、俳優の人々との付き合いなど、舞台に関わる日常を描いたコミックエッセイ。

まず面白いのは、大衆演劇というものは一般的な演劇とはかなり文化が違うことです。台本はなく、座長の頭の中に入っているストーリーを俳優たちと打ち合わせて稽古をします。そのようにはっきり決まっていない脚本なのでアドリブも多く、かっこいいせりふもその場の勢いで言っている場合があります。それでいて、観客が楽しめるものに仕上げていくのはプロですね。

裏方をひとりでこなす著者もすごかったです。「明日〇〇用意して」と言われれば、刀掛けでもおにぎりでも作って用意をし、幕を閉める微妙なタイミングを調節し、自分の体より大きな大道具を片付けます。作中では淡々とこなしていますが、労働者としては本当に仕事が多いです。尊敬するわ。エンターテインメントに関わる面白さと大変さ、そして大衆演劇という文化についてよく伝わってくる作品でした。 

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就職氷河期下で入った会社はブラックだった『新卒はツラいよ!』

著者は、不況を潜り抜けIT企業へ就職した。しかしそこでは、プログラミングをろくに覚えないまま仕事をし、なぜか社長室に呼ばれ、イベントの担当者になる……などおかしな仕事をさせられる。さらに長時間労働、突然の異動など、一人前になっても周りに振り回される。

何度も修羅場を潜り抜けてきた著者は、悪い意味で上司に信頼され、使いやすい駒になってしまいました。おそらくこういう人が、だめな企業を支えてしまっているのでしょう。なまじ有能だからこそ、人の分の仕事を背負ってしまう。

自分を守るためには、自分に関係ない仕事をサボることも大事です。私も関係ない仕事はほどほどにやっていこうと思います。

若手なのにプロジェクトの運営スキルや新人の教育スキルを得てしまった著者はすごいですが、それでもそういうスキルを平和的に得るに越したことはないですからね。

得てしまった「たくましさ」に苦笑いしてしまいそうです。

 

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人の懐に入り込む営業という仕事『地元で広告代理店の営業女子はじめました』

求人広告ペーパーの営業として採用された著者。慣れない飛び込み営業やテレフォンアポイントに四苦八苦し、顧客とうまく話せずに悩む。周りからアドバイスを受けながら、著者は徐々に営業の技術をものにしていく。

 私も企業で働いているけれど、他の部署が何をやっているかは全然わからないので、こういう「営業」だけをテーマにしたお仕事エッセイは新鮮でした。「営業ってこういう流れでするんだ!」ということがわかりやすく書かれていて参考になりました。

人間相手の仕事だからこそ、ハードな営業。断られるのもしょっちゅうだし、広告の効果が出ず叱られることも。その度に落ち込みつつも、具体的なアイデアで現状を打開していく著者はかっこよかったです。

営業は、ただセールスするだけではなく、相手の利益と自分の利益を両立させる仕事ななのです。その利益のすり合わせをするために会いに行き、打ち合わせをするんでしょうね。

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梅田の古書店街の日常は今日もコミカル『ブンブン堂のグレちゃん 大阪古本屋バイト日記』

著者のグレゴリ青山は、18歳のころ大阪梅田の古書店街でバイトをしていた。個性豊かな古書店の主や、お客さんの観察、古書店独自の文化などをバイト目線でつづったコミックエッセイ。

ちょっと敷居が高い古書店の世界を、コミカルにユーモアたっぷりに描いているところが、ギャップがあって面白いです。

コミックエッセイとは思えないくらいの濃い古書店のお客や店主たちにはめちゃくちゃ笑えますし、本を愛するがゆえの喜劇、古本屋にしかわからない古本屋あるあるが興味深いです。本をクリーニングしたり、本を買い付けに行ったりする仕事風景を読むだけでも、面白かったです。

古本屋っていつもどんな仕事をしているんだろう? どうやって生活しているのかな? と疑問を持っている人にはおすすめの本です。

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以上です。興味があるものがあったらぜひ読んでみてください。