ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

死者の記憶が子どもたちを支える 森絵都『流れ星におねがい』感想

こちらの記事で、おすすめの児童文学に挙げられてたので気になった一冊です。 iwasen.hatenablog.com あらすじ 運動会で無理やりリレーの選手に選ばれてしまった桃子。他のメンバーたちは練習に乗り気ではありません。そんなとき、いつも相談に乗ってくれる…

自らの病を知らなければ前に進めない 松尾スズキ『クワイエットルームにようこそ』感想

映画は見ていたけれど、原作は読んでいなかったので手に取ってみました。 改めて読むとやっぱりやばい話だった。 あらすじ オーバードーズで精神病院の隔離病棟に運ばれた「私」。多種多様な問題を抱える女性たちとかかわりながら、なんとか早く脱出しようと…

恋愛脳の人物たちがテンポよくよその家で恋をする 『ホリデイ』感想

ホリデイ これもdtvで評価がよかったので見てみました。 普段恋愛映画を見ないので、たまに見ると不思議な感じがします。 あらすじ 休暇中に家を交換する「ホーム・エクスチェンジ」。コラムニストのアイリスと、予告編の制作会社を経営しているアマンダは自…

いびつな主従関係の果てに見た境地 谷崎潤一郎『春琴抄』感想

あらすじは知っていましたが、改めて原文を読んでみるとイメージと違いました。 やっぱり実際に読んでみないとわからないですね。 あらすじ 幼くして盲目になり、高慢に育った春琴。彼女は音曲の道に進み、丁稚の佐助を弟子にします。佐助といびつな主従関係…

水やジュースの重たさから解放される  『COCORO ショッピングカート』レビュー

COCOROのショッピングカートを買ったのでざっくりとレビューしておきます。 親の代わりにときどき料理をするのですが、仕事の帰りに買い物しするとき持って帰るのがものすごく重い。同居の家族が多いもので……。 ショッピングカートをネットで検索して…

どす黒い茨にとらわれた眠り姫を救え 冲方丁『テスタメントシュピーゲル3 上』感想

Kindleでは一か月発売日が遅いことにあとで気づきました。 予約する前に紙で買っておけばよかったなあ。 あらすじ 情報汚染により、すべての交通機関がマヒしたミリオポリス。涼月たちは情報汚染の影響のない蒸気機関車に乗り込み、都市を走ります。鳳を目覚…

12歳差の恋愛とそれとすれ違った人たち 新海誠『小説 言の葉の庭』感想

雨の匂いは好きですが、出かけるのが面倒になってしまいます。 今日の本は『言の葉の庭』。ノベライズとして評判がいいので読んでみました。 あらすじ 雨の日の公園で出会う謎の女性。主人公は彼女に惹かれていきます。第三者の視点を交えながら、12歳差の…

架空の島を舞台にしたちょっと怖いファンタジー 恒川光太郎『南の子供が夜いくところ』感想

南の島というと、八重山諸島に行ったときのことを思い出します。 ぼーっとするのにいいところでした。 あらすじ 少年、タカシは一家心中をするところを謎の女性、ユナに助けられます。彼が連れてこられたのはトロンバス島という南の島。そこではいつも不思議…

王道すぎて普通だけどなんとなく嫌いになれない 『バトルシップ』感想

バトルシップ - 予告編 私事で申し訳ないですが、来月からちょっと勤務時間が変わるので、更新頻度が落ちるかもしれません。 なるべく触れた作品はすぐに感想を書きたいんですけどね。 今日の感想は『バトルシップ』。一部でカルト的人気を誇る映画なので、…

絵で見る発達障害の世界 小道モコ『あたし研究 自閉症スペクトラム~小道モコの場合』

久しぶりに発達障害の本です。 暗いのは落ち込むので、なるべく明るく内容を伝えている本……を探すのに時間がかかっております。 書籍概要 「あたし」はどういう人間なのか……自閉症スペクトラムの著者が、イラストを交えながら高機能自閉症の世界を語ります。…