男性主人公アニメのおすすめを書いたので、今度は女性主人公アニメのまとめを書きました。
まとめてみると意外と男性主人公のアニメの方が見ているとわかりましたね。
ファンタジー
『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった』
とあるオタクの女子高生は、乙女ゲームの悪役令嬢、カタリナに転生してしまった。カタリナは多くのルートで悲惨な結末を迎えるキャラ。その結末を回避するため、カタリナは体を鍛え、土をいじり、周囲の人と仲良くする。すると周囲のキャラクターたちが、カタリナに好意を抱くようで……?
逆ハーレムもので恋の鞘当てが起こりまくりますが、キャラクターたちが優しくモラルが高いのでひどいことは起こりません。
また、基本的に前向きで善良な価値観に基づいて話が展開するのであまり見ていてつらい思いをしなくて済みます。
男性キャラクターも女性キャラクターもかわいらしく、素直に仲がいいのっていいなあと思えるシーンが多かったです。
ストーリーも世界観も特別なところはないですが、作品のテンポとキャラクターの魅力でここまで引っ張っていけるのはすごいです。
『少女革命ウテナ』
王子様になりたい少女天上ウテナ。彼女は姫宮アンシーに出会ったことから、生徒会の「決闘」に巻き込まれていく。順調に決闘を勝ち進んだウテナ。果たして「薔薇の花嫁」とは何なのか……。
ウテナがわけのわからない決闘システムに巻き込まれて行きます。話が進むにつれて、この決闘は心理的、哲学的意味があるということがわかってきます。
少女漫画っぽいきらきらした描写とは裏腹に、そのテーマはシビアで硬派です。
終盤の怒涛の展開や、物語におけるジェンダーの考え方など、さまざまな見方のできる作品でした。
『ゾンビランドサガ』
アイドルを目指す少女、さくらはトラックにぶつかられ、ゾンビとして蘇生する。そして過去のアイドルのゾンビとともに、佐賀を救うアイドルとして活動することになった。ゾンビ少女たちは困惑しながらも、アイドルとして過去のやりたかったことを果たしていく。
女の子達は全員ゾンビで一度死んでおり、アイドルとして活動しているうちに生前の自分のやりたかったことに向き合います。
アイドルとはこうあるべきという固定観念より、今の自分がどうしたいかを優先してくれるシナリオが好きでした。
例えば昭和のアイドル観と、平成のアイドル観を持っているキャラクターの対立は面白かったです。まさしく偶像として、ファンに憧れられるアイドルと、身近な女の子として応援してもらう平成のアイドル。どちらが正しいとされることはなく、両方肯定されて安心しました。
女の子たちがかわいくて楽しかったです。
『ポケモンコンシェルジュ』
せわしない生活に疲れたハルは、ポケモンリゾートのコンシェルジュに転職する。リゾートに訪れたポケモンたちをもてなし、楽しませるのがハルたちコンシェルジュの仕事だ。ハルはポケモンたちの悩みを解決しながら、自分自身とも向き合うこととなる。
かわいい!! 大量のかわいいを浴びました。
常夏のリゾート地を意識した世界観で、かわいらしいポケモンたちがゆったりと過ごしています。その姿を見ているだけで癒されます。
ポケモンとキャッキャウフフする話なのですが、ストーリーも手を抜いていません。
新人コンシェルジュのハルはポケモンの悩みを解決しようとしても、すぐには答えには至れません。作戦を立てて失敗することもしばしばです。
しかし、試行錯誤の過程が肯定的に描かれています。
確かに現実でも、簡単に問題が解決することの方が少ないです。
悩み惑う自分のままでここにいてもよい、ということ。悩んでいる自分を受容することを大事にしたアニメでした。
『ハズビンホテルへようこそ』
ルシファーの娘で地獄のプリンセス、チャーリーは地獄の人々を天使の裁きから救うためにホテルを開いた。ホテルで悪人を構成させ、救済を与えようとする。しかし地獄の人々は悪人だけあって曲者ぞろい。チャーリーの計画はなかなかうまくいかない。
悪人の中の天真爛漫なヒロインというとヒロインの正義がみんなを救う! みたいなノリになりがちですが、押しつけがましくならないようにバランスが取られています。
男娼のエンジェルダストを助けようと空回りしたチャーリーですが、エンジェルダストはチャーリーが結んでくれた縁によって自分を捉え直します。
チャーリーの持つカリスマ性というのは、どちらかというとこういう縁を結んでいく力の方にあるのかもしれません。
作画も緩急が強くて楽しかったですね。悪魔は姿が一定ではなくシーンによって伸び縮みしたりパーツが増えたりします。変身を繰り返すのが好きです。
短い尺でぎゅんぎゅんキャラクターが動くのがかっこいいです。
人外が好きな人間として面白かったです。
『すずめの戸締まり』
高校生のすずめは、ある日不思議な男性・草太に出会う、彼が不思議な扉を閉めるのを目撃したすずめは、彼が「閉じ師」として各地の地震を防いでいることを知る。しかし草太は謎の猫にいすの姿に変えられてしまい、すずめも彼を追って猫探しの旅に出ることになる。
一目ぼれした男のために日本を縦断し、地震を鎮める旅をする女子高生。私は惚れた男のために体を張るヒロインが大好きなのですずめのことも好きです。どんな危険もなんのその、草太のためにアクションも飛び降りもこなすすずめはかっこよかったです。
恋愛ものといっても描写自体はあっさりしており、何より恋愛相手である草太がいすの姿になってしまうのでいやらしさはあまりありません。オチもさわやかでした。
そして男を救うけなげなヒロインの話であると同時に、東日本大震災の後の日本で生きてきたすずめの人生を振り返り、もう一度歩き出そうとする話でもあります。
震災によって母を失い、生活を失ったすずめは、地震を鎮める旅をすることで、自らの傷を癒していきます。そして過去の自分と向き合ったとき、すずめが語りかけた言葉は本当に美しかったです。
『かくりよの宿飯』
料理が得意な女性、葵は、宿屋、天神屋を運営する鬼の花嫁として隠世(かくりよ)に連れてこられる。奔放な祖父が残した借金の対価としてだという。花嫁になるのが嫌な葵は、天神屋の片隅で小料理屋を始め、その売り上げで借金を返そうとする。葵は、料理をしながらあやかしたちの問題を解決していく。
特にお気に入りなのは鬼である若旦那の優しさですね。葵を無理やり嫁にしようとする導入ではあるものの、基本的に葵のやりたいことはやらせてくれます。好きな相手以外にも紳士ですし、人の上に立つ人間としての自覚もあります。
女性向けってこういうまともに優しく、人格者な男性キャラクターが報われる話が少ないので、すごく嬉しかったですね。
若旦那がこういうキャラクターなので、周囲の妖怪たちが若旦那のために動くのも説得力があります。
葵もコミュ力が高くて優しい、主人公にありがちな性格設定ではあります。しかし嫌なことは嫌ときちんと答えるたくましさや、人間味のある図々しさがあるのが面白かったです。
また、倫理のないシーンに的確なツッコミを入れてくれるため、倫理のない展開が始まっても安心感がありました。
現代
『ぼっち・ざ・ロック』
コミュ障で引っ込み思案な後藤ひとりは、バンドを組むことにあこがれていた。しかし他人に話しかけることができずに、動画サイトでひとりギターを演奏してアップロードする毎日を送っていた。ある日ギターを探しているバンド少女に話しかけられたことから、ひとりこと「ぼっちちゃん」はバンド活動に踏み出していく。
ぼっち少女が押しの強い女の子に誘われてバンドを組む。それはご都合主義ではあります。しかし音楽をやる上で避けては通れない、お金の問題を扱っているのがよかったです。
後藤ひとり、通称ぼっちちゃんは偶然からバンドを組むことになります。しかし駆け出しバンドにお金があるはずないです。ぼっちちゃんはチケットノルマに苦しめられることになります。
チケットノルマとは、ライブハウスからバンドに客要り保証を求めるものです。要するに採算が取れるくらいにはチケットを売ってもらわないとバンドにさらなる利用料が発生するのです。
チケットを売るために、自分なりに勇気を出すぼっちちゃんがかっこよかったです。
『映画 ゆるキャン△』
大人になり、ばらばらの場所で生活している野外活動サークルの面々。山梨の町おこしに携わる大垣千明と出版社に勤める志摩リンが再会したことから、使われていない施設の土地を使って、キャンプ場を作ることに。しかしその過程は前途多難で……。リンはキャンプ場計画のリーダーとして奔走する。
最近「アニメで町おこしなんて簡単なものじゃない」ということを考えていたんですけれど、「アニメで町おこし自体を真面目にテーマにしてしまおう」というのはあまり考えたことがなかったですね。そういう意味では新鮮でした。
卒業とともにばらばらになった女の子たちが、青春を過ごした場所に戻ってきて、その土地のために何かを成し遂げる。家族や地元の人の協力を得ながらも、みんなで仲良く作業をします。
実際のところそうそう上手くいかないのでしょうが、『ゆるキャン△』はおとぎ話だから多少ご都合主義でもいいでしょう。
また、基本はハッピーで前向きな内容ながらも、過疎化が進み小学校の統廃合が為されていることや、作品のマスコット的存在の犬ちくわが老犬となり残り少ない生を生きている描写があり、作品に適度なほろ苦さを出していました。
『空の青さを知る人よ』
事故で両親を失い、二人で暮らしてきたあかねとあおいの姉妹。「東京に出てバンドをする」と言うあおいは、自分に音楽を教えてくれた相手、しんのと再会。しかしシンノは、子どものころ出会ったままの姿だった。一方あかねは、音楽イベントにやってきた演歌歌手のバックバンドに、かつての恋人である慎之介を見つける。
夢をうまく叶えられずにくさくさしている慎之介を筆頭に、あかねの幼馴染であかねに惚れているけれどどこか行動が空回りしているみちんこ、そしてひねくれて中二病気味の主人公あおい。
その中で、あかねがものすごく確固とした自我を持っています。
両親の事故をきっかけに東京行きを諦め、年の離れた妹、あおいを育てて暮らしてきたあかね。あおいも含めて、周囲は彼女が「街に閉じ込められている」「自分を犠牲にしている」と思っています。
しかし、当事者であるあかねは、自分の人生を肯定的にとらえています。これが自分にしかできなかったことなのだと。
悩み立ち止まる人間たちが前を向き始める展開は素晴らしかったです。
SF
『プリンセス・プリンシパル』
共和国と王国に分裂したアルビオン。スパイのアンジェとドロシーは、プリンセス・シャーロットと入れ替わるために学校に侵入する。しかしプリンセスは協力者となり、スパイの二人とともにロンドンで暗躍することに……。
このシリーズはバッドエンドも多く、心がえぐられるんですが、女の子たちが強いのでそんなに悲惨にならなくてすみます。
あんまり悲劇を強調されると、キャラクターの不幸を消費しているようで辛くなってくるんですが、その点彼女らはどんな困難でも乗り越えていけそうなところがあるので安心して見れました。
かわいくて強く、自分の意思を持って戦う姿は、同性から見てもとてもかっこよくてあこがれます。
それがよく表れているのがプリンセスで、チェンジリング作戦が始まったばかりの回は本当に最高でした。
『千年女優』
大女優藤原千代子のドキュメンタリーを作ることになった制作会社の男たち。千代子にインタビューを試みるが、彼女の話はあっちに行ったりこっちに行ったりまとまりがない。やがて現実と出演作の境界があいまいになり、千代子の半生は長い長い輪廻転生の物語になっていく。
この現在でも、出演した作品の中でも、千代子は惚れた男を追いかけ続け、何度も悲劇を味わいます。その繰り返しは痛ましいですが、強い思いを持てるのはうらやましくもあります。
この作品では物語と真実の境界線がどこまでもあいまいですが、それでいいのだと思えます。どれが真実で、どれが嘘かを分けることも千代子の自由なのだと思います。
『千年女優』を見ていると自分自身も「死ぬ間際に自分の人生を肯定できればいいな」と思えてきます。それはとても難しいことでしょうが、自分なりに走って迷って、そこまでたどり着けるといいですね。
『映像研には手を出すな!』
高校1年生の浅草みどりは、お金儲けが好きでマネージャー気質の金森さやか、高校生モデルなのにアニメの作画が好きな水森ツバメとともに、アニメ制作をすることになる。まずは同好会としての予算をもぎ取るため、生徒会の生徒達の前でアニメを上映することになるが……。
あらすじは言ってしまえば「面倒くさいオタクが面倒くさい周囲を技術力でねじ伏せる」話で、割とオタクに都合のいい内容ではあります。しかし商業主義の肯定や「ありそう」な失敗を散りばめてリアリティのない世界観やストーリーに一抹の現実味を持たせています。
「ねーよ」と思いつつ「ひょっとしたらあるかも」の部分があるバランスがよかったです。
私はアニメにロマンを感じる方ではないので、登場人物のこだわりには「ふーん」という感情が勝ってしまうんですが、金森もいまいちそういうこだわりにロマンを感じないキャラだったので助かりました。
こだわること=気持ち悪いということを認めつつ、それでもこだわりたいのだ、という流れ。ただのオタク礼賛ではないところが好感を持てます。
『アクダマドライブ』
大阪によく似た町、カンサイに住む「一般人」は、一枚の500イェン玉を持ち主に返そうとしたことから、犯罪者たち「アクダマ」を集めた計画に巻き込まれる。謎のしゃべる猫ロボットに導かれ、カントウへと通じる伝説的乗り物、シンカンセンから、アクダマたちはあるものの強奪を試みる。
毒々しいネオンサインが町を埋め尽くし、空には大きな飛行船が飛び、通天閣や梅田スカイビルを大胆にアレンジした建物が背景に立っています。
このめちゃくちゃな大阪描写を見ると「ああ、これは考証にツッコんじゃいけない作品なんだな」と思います。
ただめちゃくちゃではあるんですが、万博公園をモチーフにしたバンパクパークの傍にエキスポランドをモチーフにした遊園地があったり、そのバンパクパークに大阪万博を思わせるガジェットがあったり、要所要所で「大阪っぽさ」を押さえてきているんですよね。調べていないわけではないんですよ。
そして作画も素晴らしいです。上記の怪しげなカンサイ描写ももちろんですが、アクションシーンは独特でとてもかっこいいです。アクダマたちの各能力を生かしたバトルは、見ていてとても興奮しました。
『けものフレンズ』
人間型になった動物たち「フレンズ」が住むジャパリパーク。そこに新しいフレンズがやってくる。しかし彼女は何の動物か記憶がなかった。「かばん」と名付けられた新しいフレンズは、自分が何の動物なのか知るために、サーバルキャットのサーバルと旅に出る。
「自分が何者か知る旅」「旅の中で友達を作る」「みんなで協力する大切さを知る」というさまざまな王道要素を過不足なくきっちり描いています。べたべたな話の流れでも、伏線や展開を丁寧にやれば面白いという好例です。
確かにフレンズたちはものを知らないけれど、それはもともと動物なんだから当然ですよね。
3Dも最初は違和感がありましたが、キャラクターが好きになってしまえばどうでもよくなりました。確かにそんなにお金はかかっていなさそうですが、見せたいのは高度な技術ではなくストーリーなんだろうと思います。
以上です。参考になれば幸いです。