ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

大正

『関東大震災と流言 水島爾保布 発禁版体験記を読む』前田恭二 編著 岩波ブックレット 感想

あらすじ・概要 関東大震災で大きな被害を受けた東京。画家,文筆家であった水島爾保布は地震発生直後から、デマや流言に惑わされる人々の姿を書き残していた。災害による混乱、恐怖。そして朝鮮人や、朝鮮人に間違われた人たちの虐殺が発生する。関東大震災…

山本おさむ『わが指のオーケストラ』秋田書店 感想

あらすじ・概要 音楽家になりたかったが家庭の事情で諦めなければならなかった高橋潔。彼はろう学校に就職し、そこでろうの子どもたちが手話を覚え、社会を学んでいく姿に感動する。しかし口話法という、ろうの子どもたちに無理に聴者の言葉を教える教育法が…

【「東洋一」を目指した図書館の歴史と、「何のために本を集めるか」問題の変遷】長尾宗典『帝国図書館――近代日本の「知」の物語』

あらすじ・概要 「東洋一」を目指して作られた日本の帝国図書館。しかし、その歴史は平坦なものではなかった。図書を買う金銭が不足していた時期、マナーの悪い利用者、そして太平洋戦争中の略奪と検閲。悪い面もある歴史とともに、帝国図書館と日本の図書館…

【鼻・白・杜子春】YouTubeで芥川龍之介の朗読を聞いたので感想を10本まとめた

久しぶりに朗読が聞きたくなり、YouTubeで青空文庫の朗読を漁っていました。 芥川龍之介の文章の朗読をいろいろ聞いたのでその感想メモです。 ちなみにこちらの朗読プレイリストから視聴しています。 youtube.com 大きな鼻を持つ男が劣等感に苦しむ「鼻」 悪…

人生の絶望と孤独とそれでも存在する救い―『連続テレビ小説 おちょやん』

あらすじ・概要 実の父親に奉公に出され、道頓堀の芝居茶屋にやってきた竹井千代は、そこで見た芝居に心を打たれて役者を目指す。女性ばかりの一座で下働きをしたり、映画に出演したりの過程を経て道頓堀に戻り、そこで鶴亀家庭劇という喜劇一座に所属する。…

出口のない世界で抗おうとする女の子 七木香枝『爪先に、結んだリボンをひっかける』感想

インディーズのものも大丈夫そうかなと思ったら紹介するけど「恥ずかしいから載せないで」というのがあればTwitterのDMからお知らせください。 KDP、要はkindle自費出版です。 あらすじ 大正時代に似て、そうでない世界。女学校にいた珠紀は友人と一緒にさる…

昭和初期の少女たちのめくるめく手紙世界 北島郁・山田俊幸編『カワイイ! 少女お手紙道具のデザイン』感想

いい意味で思ったのとは違う本でした。刺激的だった。 書籍概要 メールやネットがない時代、昭和初期の女学生の手紙は活発にやりとりされていた。孫が保存していた手紙道具や本文を、本の形にして紹介。その知られざる文化とは……。