今回は西洋風ファンタジー小説のおすすめをまとめました。
政争系
『おこぼれ姫と円卓の騎士』石田リンネ
上の兄弟の政争の影響で、王位を継ぐことになった「おこぼれ姫」は、その政治的立場の危うさから気を遣う毎日を過ごしている。ツィアは、まだ誰の騎士でもない青年、デュークに自分の騎士になるよう要求する。
特に面白かったのは、政争を描いているところですね。
有能で倫理があるがゆえに、政治の問題では無関係ではいられないヒロイン。政治的中立を保つためにプレゼントや人との会話に気を遣うところがリアルでした。
下手をすると内乱が起こりかねない状況の中、必死でそれを回避しようとするツィアを応援したくなりました。
王族だから、政治をするのは当たり前なのですが、そのあたりをうやむやにする作品が多い中、しっかり描いていたのは面白かったです。
『エリスの聖杯』常磐くじら
婚約者の浮気現場を目撃してしまったコニー。それだけならまだしも、浮気相手の意地悪に巻き込まれてしまった。そこで助けてくれたのがスカーレット。彼女は10年前に処刑された稀代の悪女だった。幽霊のスカーレットに取り憑かれてしまったコニーは、しぶしぶ彼女の復讐に付き合うことになる。
悪役令嬢の処刑、婚約破棄……と「なろう系でよくある話」から始まっていくのですが、しょっぱなから「スカーレットはどういう悪役令嬢なのか」「なぜ婚約破棄なのか」という設定がしっかり作り込まれていて、「こりゃ普通のライトノベルとは違うな」と思わせてくれます。
話が進むごとにどんどん登場人物が増えていくけれど、みんな個性が強くて背景も面白いので覚えられます。章ごとに登場人物を振り返ってくれるコーナーがあるのもありがたいです。
弱肉強食の社会で子羊のように弱かったコニーが、スカーレットの影響を受けてどんどんたくましくなっていくのは爽快感がありました。
『聖女ヴィクトリアの考察 アウレスタ神殿物語』春間タツキ
聖女に選出された理由が不当であると追放されかかった聖女ヴィクトリアは、アドラスという騎士に出会う。彼は、幽霊や精霊が見えるヴィクトリアに「自分が皇子でないことを証明してほしい」と頼んだ。アドラスとともに行動しながら真実を調べるうちに、ヴィクトリアは皇位継承の問題に巻き込まれていく。
展開が早く、情報を出し惜しみしません。そして同時にキャラクターの言動が説明的になりすぎないところが上手でした。
読み始めて20%くらいで、ヴィクトリアとアドラスの倫理観の強い性格、彼らの行動理由、皇位継承のごたごたについて読者に説明し、その上ストーリーもちゃんと進んでいるという離れ業には舌を巻きました。
こういう「説明しながらストーリーも進める」というの難しいんですよね。
キャラクターの設定や性格は地味ですが、それぞれ思うところがあり、多様な人物像を描き分けているのが面白かったです。
『帝国の娘』須賀しのぶ
山奥の村で、狩りをして生活していたカリエは、ある日エディアルドという男に誘拐され、アルゼウス皇子の影武者になれと迫られる。しぶしぶ皇子としての教育を受けたカリエは、次の皇帝を選ぶ「皇子宮」へと向かう。そこではカリエも含む4人の皇子が暮らし、次期皇帝になるための教育を受けていた
脅されて皇子の影武者になったカリエでしたが、皇子宮で兄弟としてそれぞれの皇子と交流するうちに、家族としての連帯感が生まれます。
皇子宮で仲良く家族のように暮らしていた4人の皇子たちが、陰謀に引き裂かれ、苦しい思いを抱えて生きることになります。その姿には胸が詰まりました。
この4人に陰謀をもたらした、そしてはからずも陰謀を背負って生きていかなくてはならなくなった人がいるのがつらいです。
大長編の序章ではありますが、これはこれでキリのいいところで終わっていて面白かったです。
続編はコバルト文庫の電子版で読めます。
恋愛系
『最強同士がお見合いした結果』菱川さかく
対立するふたつの国は、新たな脅威のために同盟関係を結び、その印として「最強」の人間同士をお見合いさせることになる……。が、その「最強」たちはとんでもない恋愛初心者だった。それぞれの国の「最強」アグニスとレファは、相手を篭絡し自分の国を有利にするため、下手な恋愛バトルを繰り広げる。
恋愛ものってどちらかがどちらかを助ける、みたいな話になりがちで、力関係が一方に偏るパターンも多いんですが、この話は「能力が対等であることに意味がある」ので面白かったです。
同じくらいの強さで、同じくらいの恋愛初心者だからこそこんなにめちゃくちゃで愉快な話になります。
相手を「(恋愛的な意味で)いいな」と思う気持ちと、「最強なので相手に負けたくない気持ち」がないまぜになってトンチキな展開になっているところに笑ってしまいます。
ラスト近くで背中合わせのふたりを見られたところもよかったです。やっぱり「最強同士」ならこういうシーンがなくっちゃ始まりませんよね!
『フィンスタニス統治記』くりたかのこ
フィンスタニスという見捨てられた土地を統治することになったルノアリア。そこでクレイルという亜精霊の青年と出会う。亜精霊は、精霊の血を引く人間のこと。魔物や精霊が存在するフィンスタニスで、ルノアリアは悩み葛藤しながら成長していく。
もっともよかったのは主人公ルノアリアの心の美しさ、人間性です。彼女は人の上に立つ人間としての義務を理解しているので、ルノアリアたちについていく人たちの気持ちがわかります。周囲の人に愛されていても、嫌味になりません。
ルノアリアは恋愛には鈍感ですが、クレイルにとってはその鈍感さがむしろ好ましいものである、というところも面白かったです。
身分の高い女性にもてあそばれた経験のあるクレイルは、恋愛のネガティブな側面を知っています。恋愛の生々しく泥臭いところを知らないルノアリアに、安心するのはわかるんですよね。癒されるクレイルに共感しました。
『森の魔獣に花束を』小木君人
病弱なのに跡取りの試練として、森に入らなければならなくなったクレヲ。そこで出会ったのは植物の魔獣。彼女に食べられないために、クレヲは自分を好きになってもらおうと画策するが……。
まず何をおいてもロザリーヌがかわいいです。生肉を食べたり人間を襲ったりするんだけどとてもかわいい。
人ではないけれど人ではないからこそ素直なところがあって、ときおり見せるデレにきゅんきゅん来てしまいます。
ヒロインが一人しかいないのに、ロザリーヌのかわいさがとどまるところを知らないのでちゃんとライトノベルになっています。
わりと人外設定がただの設定で終わってしまう作品が多いので、きちんと種族の違いを書いていることに好感を持ちます。そりゃ倫理観も価値観も違って当然ですよね……そこからお互いのことを知っていく過程がよかったです。
『重装令嬢モアネット』さき
当時婚約者だった王子に「醜い」と言われたことで日がな一日鎧をかぶって生活するようになったモアネット。森の中で魔女として暮らしていた彼女の元に、王子と従者のパーシヴァルがやってくる。王子が不運に見舞われ続けるのはモアネットのせいであり、呪いを解いてほしいと言われるのだが、モアネットに心当たりはなく……。
作中のほとんどでモアネットは鎧をかぶっており、挿絵でもがっつり鎧です。その描写にはライトノベルというコンテンツにおける外見至上主義的展開へのアンチテーゼを感じます。
そんな外見に自信のないモアネットが、根はお人好しゆえに王子とパーシヴァルを助け、外見ではなく精神性や能力で自分自身の居場所を得ていくのは前向きで勇気づけられました。
モアネットの恋愛相手であるパーシヴァルも、最初は鎧に戸惑っていたのがどんどん「鎧でもかまわない」という態度になっていくのがほほえましかったです。鎧を開けたらそこには美少女が……という展開はベタですけれど、美しいモアネットの中身を見ても「すごく好きだったのがもっと好きになった」と1.0から1.1へのアップグレードくらいのノリなのがいいですね。
異世界トリップ・転生
『ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを』古戸マチコ
新しい靴を手に入れたら、わがままな魔女ベファーナと体が入れ替わってしまった主人公、仮の名はルナ。元の姿に戻るためには、ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを踊らなくてはいけないらしい。ダンスが魔法の力を持つ世界で、ルナはベファーナの使い魔、黒猫のノーチェとともに奔走する。
気弱で冴えない主人公が、不思議な魔法と冒険を通して、少し成長する。ジュブナイル色の強い作品でした。
踊ること、魔法を使うことがルナ自身の心理に密接につながっていて、いい意味で世界が狭いというか、どんどん内面世界を掘り下げていく面白さがあります。
踊ることによって発動される魔法のシーンがその象徴で、ダンスの描写とともにルナの心情が示されています。
踊る魔女と音楽を奏でる男たちが暮らす世界で、ルナは誰かを助け、交流をしているうちに新しい自分自身に出会います。内向的だからこそ立ち現れる心の豊かさを感じました。
『コララインとボタンの魔女』ニール・ゲイマン
コララインの両親はいつも仕事で忙しく、かまってくれない。ある日、コララインはもう一つの自分の家を見つける。そこにはボタンの目をした両親がいた。彼らはコララインに優しく接するが……。
「ボタンの目をした母親」というのが、気味悪くて好きです。子どもにとって身近なものを使って、おどろおどろしい世界観を表現するところは見ものです。「こんなことあったら怖いだろうな」という展開のオンパレードです。
コララインが両親や周りの大人に対して批評的なところもリアリティを感じます。子どもは子どもなりに大人に不満を持っているんですよね。変な料理をしたがる父親などもあるあるすぎて。うちの父親も変な料理作ってたなあ。
ありえない展開が起こるファンタジーではありますが、子どもにとって身近なものをとっかかりにして描いているところがよかったです。そうすることで物語に入り込みやすくなっていると思います。
『不思議の国のハートの女王』長月遥
ハートの国の女王、エリノアは自分が転生者であることを思い出した。ここはどうやら現代日本でプレイしていた乙女ゲームの世界だった。くしくも「口に出す言葉が高飛車な罵倒になってしまう呪い」にかかってしまったエリノアは、思っても見ない発言で周囲を振り回してしまう。しかし、攻略対象の帽子屋は、エリノアの味方に付いてくれて……。
転生コメディを読んでいたと思ったら、壮大な多世界のリンクについて知ってしまい、そこからギャンブル対決になった。何だこれ。
何気なく読み流していた部分が実は伏線だったり、フレーバー程度かなと思っていた「不思議の国のアリス」要素がさまざまな方向から回収されていたり、よくできたライトノベルだなあ……と感心しきり。
どんどん伏線や描写を積み上げて、終盤で盛り上げて終わる、ということが違和感なくできています。エンターテインメントだなあ。
『公爵令嬢ティアレシアの復讐』奏舞音
姉に陥れられて処刑されたクリスティアンは公爵令嬢ティアレシアとして転生する。悪魔ルディとともに、姉に復讐するため奔走する。意地悪な姉は、ティアレシアも攻撃してきて……。転生政争ファンタジー。
ティアレシアというヒロインが積極的なので、展開早いです。
ヒーローがちょっと強引なシーンもありますが、ティアレシアがはっきり意見を言えるキャラクターなのであまり不快感がないです。嫌だったら嫌って言うだろうしな……。
モラルも非常に高いので、ティアレシアなら大丈夫だろうという安心感がありました。
クリスティアンの人格を引き継ぎつつ、ティアレシアとして生きていて、キャラクターとしても好ましかったです。クリスティアンの人格だけ取り沙汰されていると、現代のティアレシアの立場は何……となってしまいますからね。
魔法系
『霧の日にはラノンが視える』縞田理理
第七子の呪いを解くため家出してロンドンに向かったラムジー。そこでジャックという青年に拾われる。だがジャックの仲間が殺人を犯し、ラムジーは奇妙な事件に巻き込まれていく。
ファンタジーな妖精たちの世界が妙に生々しいのが面白いです。割とドロドロ。主人公たちが爽やかな性格なので深刻になりすぎずに読めました。
展開が早くても、お人好しなラムジー、リアリストだけれど情に厚いレノックス、クールで理性的なジャック……とすぐキャラクターが把握できます。
特殊な世界観も、話を追ううちに自然と理解できるので説明不足に感じませんでした。
総合的にすごくまとまりがいいです。それでいて、世界観にオリジナティがあります。
これが投稿作というのはすごいですね。
『シンデレラ伯爵家の靴箱館』仲村つばき
かつて「シンデレラ」とあだ名される女性が王妃となり、靴の生産が盛んになった国。アデルはその子孫であるディセント家に勝手に踊る母の靴を鑑定してもらおうと持ち込む。しかし形見である母の靴を取り上げられてしまう。アデルは母の靴と一緒にいるために、ディセント家のアランが運営する靴工房で働くことになる。
ヒーローであるアランが、言葉がきつくて不愛想ではあるけど「根はいい人で真面目なんだな」ということがわかるのがよかったです。本人も自分のコミュニケーション下手は自覚しており、気弱なアデルを辞めさせないために四苦八苦しているところが面白かったです。
最悪の出会いから好感度を上げていくタイプの話、「最悪の出会い」が最悪過ぎて読み進めても好感度が上がらないことが多かったんですが、これは描写がちゃんとしているのでアランのことを好きになれました。
そしてアランの靴工房で働くアデルの職人としての成長も、きっちり描かれているところが面白かったです。お仕事ものとしてすごく真っ当なんですよね。
かわいくて共感できるファンタジーでした。
『バーティミアス』ジョナサン・ストラウド
魔術師の弟子ナサニエルは、今をときめく魔術師ラブレースに侮辱されたことをきっかけに復讐を企てる。呼び出されたのはジン、バーティミアス。バーティミアスはいやいやながらも生意気な少年の復讐に付き合うことになるが……。
妖霊たちが変身しながら戦う迫力たっぷりのバトル、ナサニエルとバーティミアスの奇妙な主従関係、異世界とこの世界との関係。
そしてこのシリーズの特徴的な部分が、バーティミアスの視点のとき語られる注釈。バーティミアス視点のときは文章が二段組になっており、下の狭い段に注釈が入っています。注釈は何気ない情報が多いんですが、さらっと伏線が入っていることもありなんだかんだでしっかり読んでしまいます。本筋とは関係ない注釈でも、バーティミアスの独特のユーモアが込められていて笑えます。
途中からは魔法への抵抗力を持つキティも加わり、物語が多重になっていきます。お気に入りのファンタジーです。
『竜と祭礼』筑紫一明
師匠を亡くした杖職人イクスの前に、杖を修理してほしいという少女ユーイが現れる。師匠の遺言によりそれを引き受けたイクスだったが、その杖に使われていたのはとんでもない素材だった。杖を修理するために、ユーイとイクスは素材の手がかりを求め、あちこち調べ回ることになった。
主人公が杖職人、バトルも大掛かりな魔法も発生しない地味なファンタジーです。しかし地味だけどしっかり面白いです。
世界観としては魔法があって、冒険者がいて……というありがちなものなのですが、「その世界において魔法とは何か?」「なぜ社会は冒険者を必要としているのか?」という設定がしっかり用意されているところが好ましいです。
設定が世界観に深みを与え、しかもそれが押しつけがましくないので心地よかったです。
特殊設定系
『地と霧』多崎礼
血液が社会を回している巻貝都市。探索者のロイス・リロイスは、行方不明になった王子を探してほしいと頼まれる。見つかった王子となりゆきで共同生活を送るうちに、彼に情が移ってしまい何かと気にかけるようになる。
設定は結構難しいので、理解するまで時間がかかりました。慣れてしまえば個性的で深みのある設定です。キャラクターのやりとりが面白く、それを追いかけていけば自然と設定も頭に入ると思います。
ハイファンタジーとハードボイルド小説のいいとこどりをしたストーリーが新鮮で面白かったです。大人向けのファンタジーといった感じでした。
あと、主人公ロイスのツンデレっぷりがかわいくてそれだけで楽しい気分になりますね! 素直になれないところがかわいい。本心を隠しているつもりが周囲にすぐばれるのが愛しい。
『犬と魔法のファンタジー』田中ロミオ
冒険時代は遠い昔。宮廷大学に通うチタンは、就職活動に行き詰っていた。送られてくるお祈り手紙、内定を勝ち取っていく周囲。そんな中、冒険組合で飼っていた犬が原因不明の病気になり、気の合わない組合仲間のチアリーと原因を探すことに……。
ファンタジー世界に就活を足すという発想の勝利ですね。世の中にはいろんなファンタジーがあふれているけれど、就活ファンタジーというのはさすがに初めてなんじゃないですかね。一見わけのわからないネタですが、読んでみると意外と説得力があるのが恐ろしいです。
自分を殺してでもレールを行くか、自分が自分らしくあるために道なき道を行くか……。そういう悩みは人生の転換期には必ず向き合わなければいけないんですが、「就活」というテーマはそれを描くにふさわしいものですね。
ラストシーンで語ったチタンのせりふが一番良かったです。道なき道を行っていてもひとりではない。過酷な生き方を強いられるとしても、そう思える瞬間があれば少し救われます。
『デ・コスタ家の優雅な獣』喜多みどり
身寄りがなく内気な少女ロザベラは、名家デ・コスタ家に引き取られる。しかしそこは異能を持つ一族だった。ロザベラは一族の血を繋ぐために従兄弟と結婚して子を残すことを要求される。このままだと幽閉されてしまうと恐れたロザベラは、「一族の一員」として認められるため裏切り者を探し出すことになる。
ガチの犯罪組織小説であり、殺人・暴力・薬物がどんどん出てきました。いい意味でびっくりしました。
もちろんエンタメとして楽しめる範囲で収めてあるので大丈夫です。
ひ弱でかわいい女の子ロージーががどんどんひどい目に遭うのでちょっとサディスティックな快感がありますし、最終的にロージーがたくましくなっていくので読者としてあまり罪悪感を覚えずに済みます。
女の子がイケメンに人生めちゃくちゃにされる話大好きなんですよ……!
ストーリーも面白くて、息をつかせぬ展開に、どんどんページをめくりたくなってしまいます。ここからどうなるの? の連続です。
『〈六災の王〉シリーズ』鈴森琴
人より強い力を持つ生き物「人外」がはびこっている世界。父親を殺害したとして濡れ衣を着せられた皇女アルスルは、裁きの過程で人外リザシーブと出会う。予言の力を持つリザシーブは、アルスルに奇妙な予言をする。アルスルは、リザシーブと心を通わせ始める。
性的な話題が多く、大人向けのファンタジーでした。面白かったです。
主人公アルスルは「人間らしくない」キャラクターですが、だからこそ人外とコミュニケーションを取り、特異な関係を作り出すことができます。
1巻におけるラスボスを倒すときも、シビアで現実的な理由から倒すのもアルスルらしかったです。人が人でないものを倒す理由なんてわがままなものですよね。
しかし、この作品における社会が、アルスルに求める「人らしさ」も私の立場から見れば怪しいものに思えるので、闇が深いです。