ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

漂白された神話をはぎ取り真実の古代ギリシャに迫る 藤村シシン『古代ギリシャのリアル』感想

著者の藤村シシンさんはTwitterで「古代ギリシャの人」として有名。 その愉快な活動はTogetterにまとめられているので一読することをおすすめします。 twitter.com togetter.com 書籍概要 「白亜の神殿、青い海」そんなイメージがある古代ギリシャの文明。し…

仮装人格が不治の病の科学者のために物語を作る 長谷敏司『あなたのための物語』感想

このところ、読むのがつらい話が続いています。狙ったわけではないんですが。 これは『バーナード嬢曰く。』の3巻で紹介されていた本です。 バーナード嬢曰く。: 3 (REXコミックス) 作者: 施川ユウキ 出版社/メーカー: 一迅社 発売日: 2016/10/27 メディア:…

ユーゴスラヴィアからやってきた彼女が帰る場所は 米澤穂信『さよなら妖精』感想

久しぶりに米澤穂信を読みました。 この人の描く小説の結末はだいたい辛くなるんですけど、今回もすごくつらかったです。読み終わってしばらくゾンビのようになっていました。 あらすじ 主人公は雨宿りをしていたユーゴスラヴィア人、マーヤと出会う。友人と…

少年少女が願い事をめぐってサバイバルゲーム 穂邑正裕『ガン×スクール=パラダイス!』感想

銃の知識は皆目ないですが、「シグサウアー」が時雨沢恵一のペンネームの元ネタということだけ知っております。 ということを読みながら思い出しました。 あらすじ 文化祭前に全校生徒でサバイバルゲームを行う学校。勝利者は校則をひとつ付け足すことができ…

漫画とともに読める飯テロエッセイ 平松洋子『サンドイッチは銀座で』感想

図書館で谷口ジロー追悼特集が組まれていたので、つい借りてしまった一冊です。 ときどき追悼特集みたいなものに反感を持つ人を見かけるけれど、作品は読まれなくなったときに死ぬから、「この間ニュースで亡くなった人はどんな作家なんだろう」というきっか…

劇場版「天王寺おばあちゃんゾウ 春子 最後の夏」上映会に行ってきたレポ

www.tv-osaka.co.jp 図書館で上映会があったので、「天王寺おばあちゃんゾウ 春子 最後の夏」を見てきました。 天王寺動物園は保育所のころから何度も行っていて、映画の中でどのように描かれるのか興味がありました。 この映画はテレビ大阪の社会活動の一環…

コバルト文庫の歴史から少女小説の立ち位置を考える 嵯峨景子 『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』感想

TwitterのRTで回ってきて、「これ絶対好きだ!」と思いました。読んでみたらやっぱり好きだった。 書籍概要 少女小説の代名詞とも言うべきレーベル、コバルト文庫。本書ではコバルトの歴史をたどりながら、少女小説における表現の変遷を考えます。最近では刊…

それぞれの信念をもって退場していくキャラたち 九岡望『エスケヱプ・スピヰド六』感想

女の子より主人公のほうが大きく描かれているライトノベル珍しくないですか? そういうところが好きです! ありがとうデザイン担当の人。 あらすじ 氷に閉ざされた町に向かった鬼虫たち。そこでは八番式・柊が眠っていました。一方神鯨に捕らえられた叶葉は…

おえかき少女の痛々しくも美しい青春 久世番子『私の血はインクでできているのよ』感想

あらすじ 漫画家、久世番子が「おえかき少女」だったころの自分を回想。修学旅行のしおりの表紙を狙う、同人イベント参加、昔の同人誌の在庫……昔の恥を語りつつ、絵に夢中だった青春時代を懐かしむコミックエッセイ。

具体例とともに文章を組み立てよう 前田安正『しっかり! まとまった! 文章を書く』感想

文章関連の本を読むシリーズ第四弾……だよね、確か。(いつも数があやふやになってしまう) この表紙のイラストが可愛い、と思ったら本屋でよく売ってるパラパラ漫画書いた人と同じ人のようです。 猫のたんじょうび(猫のパラパラブックス) 作者: 浅生ハルミン…