ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

ライト文芸

金魚の屋敷で大人しい女性が探偵代理―路生よる『地獄くらやみ花もなき伍 雨の金魚、暗い隠れ鬼』

あらすじ・概要 魔王の跡目争いが一旦落ち着いたものの、現在の魔王ぬらりひょんからあれこれ面倒ごとを押し付けられている皓(しろし)。忙しい彼に代わって青児は探偵代理の紅子と金魚に呪われた屋敷の謎に挑む。皓のいない場所で、青児が事件に巻き込まれ…

大学を辞めようとしていた青年が死んだ幼なじみと再会する―松山剛『タイムカプセル浪漫紀行』

あらすじ・概要 大学生で考古学を学ぶ英一は、父親の遺跡捏造事件をきっかけに苦しみ、大学を辞めようとしていた。そんな折、英一の目の前にかつての幼馴染、明日香が現れる。彼女は10年前に死んだはずだった。再会に困惑しつつも、英一は明日香と埋めたタイ…

生贄少女は神様と出会って自分の優先順位が狂う―入間人間『きっと彼女は神様なんかじゃない』

あらすじ・概要 部族の中で疎外されていた「わたし」は、ある日神の生贄になることを命じられる。贄として向かった海の中で出会ったのは、見知らぬ少女だった。メイという名の少女は、神様として部族に迎えられる。「わたし」はメイと交流を重ねるうちに、彼…

男性主人公のライト文芸おすすめ10選

ライト文芸って女性主人公の方が多い気がするなと思ったので、逆に男性主人公のライト文芸のおすすめをまとめてみました。 なお「男同士の巨大感情もの」を含めるかどうか迷ったんですが、それは分けて記事を立てたほうが需要がありそうなので、ここでは除外…

読みやすいだけの毒にも薬にもならない作品―深沢仁『英国幻視の少年たち ファンタズニック』

あらすじ・概要 イギリスに留学している大学生の海は、ランスという青年出会う。彼は妖精を見る力を持ち、幻想生物にまつわる事件を解決して回っている英国特別幻想取締報告局の一員だった。海とランスは、妖精にまつわる事件に遭遇し、それを解決していく。

女装癖のあるトラブルメーカーの弟とトンチキ展開に巻き込まれる―我鳥彩子『うちの中学二年の弟が』

あらすじ・概要 湖子には、六区という弟がいる。彼は女装癖があり、少女漫画ばりの妄想を展開し、トラブルに頭を突っ込む中学二年の少年だった。六区が何かに頭を突っ込むたび、湖子もそれに巻き込まれて翻弄される。奇妙な姉弟の関係を描いた連作短編。

修道院から戻ってきた王女は王となるため成り上がりの男と組む―仲村つばき『ジギタリスの女王に忠誠を』

あらすじ・概要 ふたつの家が王座を争い、ようやく王が決まったリカー王国。王女、マーガレットは修道院から還俗し、次の女王となるべく王宮へと来た。しかしそこは海千山千の者たちが集う場所だった。マーガレットは成り上がり者のエドマンドと協力し、もう…

それぞれ秘密を持った夫婦が殺し合ってトリック合戦―藤石波矢・辻堂ゆめ『昨夜は殺れたかも』

あらすじ・概要 ラブラブな主婦とサラリーマンの夫婦、藤堂光弘と咲奈。しかしふたりには秘密があった。光弘は咲奈の不倫を疑い、咲奈は光弘が自分の財産を狙っていると疑った。ふたりは愛のない相手を殺そうと、何回もトリックを重ねる。しかし、それはあと…

食いしん坊の妃が、略奪婚させられてそこで生きる道を探す―喜咲冬子『流転の貴妃 或いは塞外の女王』

あらすじ・概要 皇帝の貴妃の中で一番の不美人だったことから、異民族の王に外交の道具として嫁ぐことになった柴紅玉。しかしその婚礼へと向かう途中で襲われ、略奪された先の氏族で「妻」になるはめになる。そこでめあわせられたのは、アマルという年下の少…

罪人たちが集まった夜行列車で起こる連続殺人―路生よる『地獄くらやみ花もなき肆 百鬼疾る夜行列車』

あらすじ・概要 凛堂棘の兄凛堂荊と推理対決をすることになった皓と青児。案内された夜行列車には、多くの罪人たちが集められていた。これからこの車内で罪人たちを裁く連続殺人が起こり、皓はその実行者を当てなければならないという。皓たちは、列車の中で…

ビターエンド、切ないエンドのライトノベル・ライト文芸14選【少しネタバレ】

ハッピーエンド以外のラノベは売れないという都市伝説がありますが、私は結構切ないエンドやビターエンドの作品が好きです。今回はそういう作品を集めてみました。 しかし「その作品がどういうオチなのか」と説明した時点でネタバレなんですよね……。具体的に…

編集者が吸血鬼な憧れの作家と人外事件を解決―澤村御影『憧れの作家は人間じゃありませんでした』

あらすじ・概要 編集者のあさひは、憧れの作家御崎禅の担当になった。しかし彼は、大正時代に日本に渡ってきた吸血鬼だった。映画をきっかけにあさひは御崎に編集者として受け入れられる。あさひは人外にまつわる事件について警察に協力する御崎を補助しなが…

二本立てゆえちょっとまとまりが悪い―路生よる『地獄くらやみ花もなき参 蛇喰らう宿』

あらすじ・概要 過去の通り魔事件を調べるため、奥飛騨の旅館に向かった皓と青児。燃えるような紅葉に囲まれた旅館で見たものは、前日亡くなった女将の亡骸だった。その旅館で、皓は行方知らずになってしまう。青児は皓の生存を信じ、彼の伝言に従ってある場…

性格のよろしくない経理部員は会社のドロドロした人間関係をはすに構えて見ている―青木祐子『これは経費で落ちません!2 経理部の森若さん』

あらすじ・概要 クールで真面目だが事なかれ主義的な経理事務員、沙名子は経費や出張費のおかしなところを見つけてしまい、そこから社内の人間関係を垣間見てしまう。大量に経費を使う広報担当者、コーヒーメーカーを巡る戦い、やたらと出張を長く設定する営…

詰め込み過ぎだが売れ筋に媚びない姿勢は嫌いじゃない―沙川りさ『鬼恋綺譚 流浪の鬼と宿命の姫』

あらすじ・概要 小寺という領地の生き残りであり領主の菊は、山の中で不思議な少年に出会う。彼に剣術を教えてもらううちに、菊には恋心が芽生え……一方旅する薬師の文梧は、うさんくさい青年主水(もんど)とともに小寺の生き残りたちを助けていた。小寺の民…

人と半人半魔のバディが長崎の孤島、人形の館を訪ねて罪人を探し出す―路生よる『地獄くらやみ花もなき弐 生き人形の島』

あらすじ・概要 閻魔大王に代わって悪人を地獄に落とす皓(しろし)とその助手の青児(せいじ)の元に、バラバラ殺人を予告する謎の手紙が舞い込んだ。その手紙に従って長崎の孤島に降り立つと、そこは人形作家、絢辻幸次の館だった。館には人形のように美し…

もうすぐ春も終わるので、夏に読みたいライトノベル・ライト文芸10選紹介する

素材:Canva(https://www.canva.com/) もう5月も終わりに近づいてきました。少し早いですが、「夏に読みたいライトノベル・ライト文芸」を紹介したいと思います。 夏が舞台なだけではなく、「これって夏っぽいよね」というものも多く含まれております。大…

「イラっと来る」をうまくコントロールしたお仕事小説―青木祐子『これは経費で落ちません! 経理部の森若さん』

今日の更新は、青木祐子『これは経費で落ちません! 経理部の森若さん』です。 あらすじ・概要 天天コーポレーション経理部に所属する27歳のOL、森若沙名子。会社の簿記やお金の管理をして働く毎日だ。その経理部に、従業員たちはやっかいごとを持ち込んでく…