ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

革命を起こした農場の動物たちがディストピアに陥る ジョージ・オーウェル『動物農場』感想

読みたいなあと思っていたけれど後回しにしていた本。原文の著作権は切れていたのか……。 「闇のどうぶつの森」のような作品でした。 あらすじ 農場主を追い出し、自分たちで農場を運営していくようになった動物たち。しかし農場のトップになったブタたちは、…

親友と先輩との美しい三角関係 『花とアリス』感想

これも『銀の森へ』に載っていた映画です。dtvにあってよかった。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 落語をやっている先輩に恋をした花。彼女は頭を打った先輩に「記憶喪失で自分が恋人だったことを忘れている」と嘘をついた。先輩をだますために、花は友…

おどろおどろしい話は面白いけれどとにかく長い 京極夏彦『姑獲鳥の夏 上』感想

Twitterでフォロワーさんのおすすめ小説として挙がっていたので読んでみました。 ときどき作風が似ていると言われるのだけど、私自身はあまり自覚がないです。 あらすじ 古本屋で拝み屋の京極堂と「私」は、20か月の間妊娠し続けている女性を調査すること…

スラヴ圏の吸血鬼、そしてそれにまつわる伝承を解説する 栗原成郎『スラヴ吸血鬼伝説考』感想

どこかで見た名前だと思ったら『ロシア異界幻想』を書いた方でした。あれも面白かったです。 書籍概要 死者が墓から起き上がり、血を吸うというスラヴ圏の吸血鬼。その伝承に関わる人狼、夢魔、死神などの魔物の考察や、フィクションにおける吸血鬼の扱いに…

映画研究部にやってきた男装少女と三角関係 大樹連司『ボンクラーズ、ドントクライ』感想

一巻完結のライトノベルのおすすめに上がっていた作品です。 あらすじ 二人でヒーローごっこをしていた映画研究部の「僕」とカントク。そこに男装の少女桐香が現れたことから、映画研究部は変わっていく。三人の淡い恋の行方はいったいどうなるのか……。

とても論理的なホラーミステリ 小野不由美『ゴーストハント1 旧校舎怪談』感想

コミカライズが面白かったので読んでみようという本です。 あらすじ 旧校舎には幽霊が出るという噂があった。麻衣はそこでゴーストハントをするという少年に出会う。除霊は他の霊能力者を巻き込み、謎を増していく。はたして旧校舎の幽霊の正体とは……。

しがらみにあふれたミュージシャンたちの恋愛模様 カズオ・イシグロ『夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』感想

あらすじ ベネチアで有名歌手と出会ったギター奏者、整形をするサックス奏者など、さまざまなミュージシャンや音楽好きを主人公とし、内容が少しずつつながりを持っている連作短編集。

青年が日本列島を覆う横浜駅の中で大冒険 柞刈湯葉『横浜駅SF』感想

カクヨムで連載されていたweb小説の書籍化です。 kakuyomu.jp あらすじ 横浜駅が増殖し、日本を覆いつくした未来。横浜駅の外で育った三島ヒロトは、5日間だけ駅の内部(エキナカ)で過ごせる「18きっぷ」を手に入れ、42番出口を目指して旅立つ。ヒロトが…

他人の日常は誰かの非日常 おすすめエッセイ本18選

今回はおすすめエッセイ本のまとめです。 エッセイは、小説よりも気楽に読めつつ、他人の日常を知ることができて面白いです。 『衝動買い日記』鹿島茂 中公文庫 『変!!』中島らも 集英社文庫 『ワセダ三畳青春記』高野秀行 集英社文庫 『魔女の1ダースー…

カーサがシンガポールにやってきてミミコを狙う あざの耕平『BLACK BLOOD BROTHERS9 黒蛇接近』感想

あらすじ 新生カンパニーの長になったミミコを仕留めようと、シンガポールにカーサがやってきた。一方ウォーロック家のアンナがカンパニーに賛同し、吸血鬼を取り巻く状況は変わりつつあった。

ダメな女性は悲劇に向かってひた走る ひぐちアサ『ヤサシイワタシ』全2巻感想

借り物。最近闇が深い話を連続して読んでいる気がします。面白いんだけれど心がつらくなってくる……。 あらすじ 大学の写真サークルに所属している主人公は、先輩と恋に落ちる。しかしその先輩は、過去に問題があって……。なんとか彼女とうまくやっていこうと…

「普通」へのコンプレックスから生まれてくる狂気が恐ろしい 舞台『孤島の鬼』配信感想

舞台好きの友人に強くおすすめされたので見てみました。 DMMの配信でいろいろ舞台映像を見れることに気づいてしまった……。気づいてはいけなかったかもしれません。(趣味が増えるという意味で) www.dmm.com あらすじ 簑浦は、真っ白な髪の毛を持つ青年だ。…

女の子たちが戦いを前にしてどんどん強くなっていく あざの耕平『BLACK BLOOD BROTHERS8 宣戦恋歌』

吸血鬼の小説を読むシリーズ、まだまだ続くよ! だいぶ内容が進んできました。 あらすじ 特区から敗走し、シンガポールに移った「カンパニー」。ミミコはそこでカンパニーの新しいトップになってほしいと依頼される。一方ジローは、自分自身の力をコントロー…

ヒーローを待ち続ける少年は卓球をする 『ピンポン』感想

『銀の森へ』に載っていて気になった作品です。原作は既読。でも読んだのが大分前なので記憶があやふやです。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ ペコ(星野)とスマイル(月本)は幼なじみ。二人で一緒に卓球を続けてきた。しかしスマイルが卓球の才能を…

AQUOSユーザーだった私には非常にしっくり来た SIMフリースマホ「AQUOS SH-M04」レビュー

スマホ変えました。 ちなみに前の機種はHUEWEIのP8Liteです。 Huawei SIMフリースマートフォン P8 lite 16GB (Android 5.0/オクタコア/5.0inch/nano SIM/microSIM/デュアルSIMスロット) ゴールド ALE-L02-GOLDEN ALE-L02-GOLDEN 出版社/メーカー: HUAWEI(フ…

人から恨まれる仕事、だが必要な仕事 榎本まみ『督促OL修行日記』感想

前々から面白そうだな~と思ってて、本屋に平積みされていたのを発見して買いました。 あらすじ 就職氷河期の時代、著者、榎本まみがなんとか内定をとったのはクレジットカード会社。彼女はそこで、キャッシングの返済を延滞している人たちに督促をする仕事…

死にぞこないになった少年がグロい化け物を倒す 九岡望『ニアデッドNo.7』感想

『エスケヱプ・スピヰド』が面白かったのでありがとう課金もかねて購入しました。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ ある日、記憶を失い境死者(ニアデッド)として目覚めた少年赤鉄(アカガネ)。自分はなぜこんな体になったのか……。同じ境死者、紫遠(…

「舞台『刀剣乱舞』 義伝 暁の独眼竜」から考える伊達刀の描かれ方【感想・ネタバレ有】

「舞台『刀剣乱舞』義伝 暁の独眼竜」(以下『義伝』)をライブビューイングで見てきました。 舞台どころかライビュも落ちるし、結局一時間かけて遠くの映画館に見に行きました。あ~転売屋と転売屋から買った人は職場でうんこ漏らしてくれないかな。*1 話し…

人見知りの著者のブラジル町での友達チャレンジ 中川学『群馬県ブラジル町に住んでみた ラテンな友達づくり奮闘記』感想

日本にブラジルの人がたくさんいる町があるのは知っていましたが、それがどんなものなのかは知らなかったので手に取った本です。 あらすじ 「外国の人と友達になりたい」と思っていた著者は、群馬県にブラジル人が多く住む地域、大泉町があることを知る。そ…

吸血鬼と人間の共存地域、特区を襲う変化の波 あざの耕平『BLACK BLOOD BROTHERS7 王牙再臨』感想

吸血鬼の小説を読むシリーズ続きです。今回は心なしかイラストが多かった気がします。 あらすじ 「九龍の血脈」のきょうだいたちが九龍王の墓所を占拠し、復活の儀式をしようとしていた。特区は混乱に陥り、カンパニーも敗走を迫られる。ぼろぼろになった特…

日常の中の小さな悲しみを抱えて生きていく よしながふみ『愛すべき娘たち』感想

そういえば、よしながふみの現代ものって初めて読んだ気がします。BLは読んだことないんだな~。 あらすじ 大病から生還した母は、これをきっかけに結婚すると言い出した。その相手とは、娘よりも年下の俳優で……。一組の親子を中心に、それぞれの人間関係が…

ジローの本気、セイのチートさが垣間見える あざの耕平『BLACK BLOOD BROTHERS6 九牙集結』感想

あつ 吸血鬼の本を読むシリーズはまだまだ続きます。 あらすじ 行方不明になっていたゼルマンの行方を突き止めたサユカ。生きるのに飽いたゼルマンに彼女は何ができるのか。一方ミミコは、コタロウの様子がおかしくなりいぶかしむ。それは兄弟二人の運命にま…

ティーンの少女との共依存関係の行方とは 唐辺葉介『電気サーカス』感想

熱烈におすすめしている人がいて気になった本です。 あらすじ テキストサイト「電気サーカス」を運営している主人公水屋口。ネットの仲間と部屋をシェアし、フリーターとして暮らす。そんな中、水屋口は真赤(仮名)という中学生に出会う。

将棋棋士の夫は頭はいいけどどこか変 伊奈めぐみ『将棋の渡辺くん1』感想

読みたいと思っていたけれどチャンスを逃していた漫画です。 ちょうど藤井四段のニュースをやっていて、その流れで入手してみました。 あらすじ 渡辺明は将棋棋士。ぬいぐるみが好きで、漫画が好き。頭はいいけれど将棋以外の情報がなかなか頭に入らない。そ…

民主主義のありがたみがよくわかる 重村智計『金正日の正体』感想

長い間積んでてどうして入手したのかも忘れてた本です。 書籍概要 北朝鮮の国家主席金正日。彼はどのような人間で、何を考えているのか。そして、最近「金正日」らしくない命令が増えているのはなぜなのか。金正日という存在を通して、当時の北朝鮮を語る本。

目がボタンの母親、という破壊力 ニール・ゲイマン『コララインとボタンの魔女』感想

『アナンシの血脈』が面白かったのでこっちも読んでみました。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ コララインの両親はいつも仕事で忙しく、かまってくれない。ある日、コララインはもう一つの自分の家を見つける。そこにはボタンの目をした両親がいた。彼…

ヴァンパイアが古い屋敷で共同生活 『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』感想

あらすじ 古い屋敷でシェアハウスをしている4人のヴァンパイア。彼らの生活はトラブルだらけだ。ヴァンパイアの日常を手持ちカメラでドキュメンタリー風に撮影したコメディ映画。

絵描きロボットは人間のために放浪する 菅浩江『プリズムの瞳』感想

あらすじ 何らかのプロフェッショナルになるために生まれてきたロボット、ピイ。しかし彼らは人間の反感を買い、流浪の絵描きに身をやつしている。ただ絵を描くだけのピイたちと、彼らとすれ違った人間たちを描く連作短編。

特甲少女たちの青春の終わり、新しい人生の始まり 冲方丁『テスタメントシュピーゲル3 下』感想

ずっと終わってほしかったのに、終わったら終わったで「やだー終わってほしくない!!」ってなるのが完結巻の常ですね。 あらすじ 敵に捕らわれた鳳を助けようとする特甲児童たち。彼女らは、すべての因縁にけりを付け、自分と町の運命を切り開くためにひた…

インパクトのあるエピソードで「お酒はほどほどに」がわかる まんしゅうきつこ『アル中ワンダーランド』感想

画像ではわかりませんが、表紙が箔押しで地味に豪華。 ブログに載せるのがだいぶ恥ずかしいペンネームだ……。 あらすじ ブログをきっかけにイラストレーターの仕事を始めるものの、多忙で家事がままならなくなった著者。お酒でそれを解決したことをきっかけに…