ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

架空の島を舞台にしたちょっと怖いファンタジー 恒川光太郎『南の子供が夜いくところ』感想

南の島というと、八重山諸島に行ったときのことを思い出します。 ぼーっとするのにいいところでした。 あらすじ 少年、タカシは一家心中をするところを謎の女性、ユナに助けられます。彼が連れてこられたのはトロンバス島という南の島。そこではいつも不思議…

王道すぎて普通だけどなんとなく嫌いになれない 『バトルシップ』感想

バトルシップ - 予告編 私事で申し訳ないですが、来月からちょっと勤務時間が変わるので、更新頻度が落ちるかもしれません。 なるべく触れた作品はすぐに感想を書きたいんですけどね。 今日の感想は『バトルシップ』。一部でカルト的人気を誇る映画なので、…

絵で見る発達障害の世界 小道モコ『あたし研究 自閉症スペクトラム~小道モコの場合』

久しぶりに発達障害の本です。 暗いのは落ち込むので、なるべく明るく内容を伝えている本……を探すのに時間がかかっております。 書籍概要 「あたし」はどういう人間なのか……自閉症スペクトラムの著者が、イラストを交えながら高機能自閉症の世界を語ります。…

テーマはベタでもまじめに書き直せば面白い 鮎川歩『ユメオチル、アリス』感想

夢を覚えていられないタイプで、だいたい起きたら忘れます。「何か変な夢を見た」ということだけ覚えているという。 あらすじ 叔父から虐待を受けている少年、有栖(アリス)。彼は夢の中で不思議な少女ルルディに出会います。なんでも夢の中で実現できる「…

惚れた女のためにあゆみは走る 新井素子『星へ行く船シリーズ2 通りすがりのレイディ』感想

前の巻でも思ったんですが、この表紙は何で描いているのでしょうか……アナログ絵の具?デジタル? ちょっと調べてみると装画はこの方のようです。 twitter.comが、ほかの絵を見ても画材はよくわかりませんでした。 あらすじ あゆみがすれ違った、殺し屋に狙わ…

自然音から聞こえる神の沈黙 『沈黙 サイレンス』感想

映画『沈黙-サイレンス-』予告 chinmoku.jp いやもうすごかった。 多分長く上映されないと思うので、少しでも気になる人は映画館に見に行ってください。あの音声も映像も映画館で見たほうが絶対楽しいと思います。 あらすじ 棄教したという噂の師、フェレ…

生き返った自分はどこへ行けばいいのか? 九岡望『エスケヱプ・スピヰド 四』感想

相変わらず九曜は朴念仁だなあ……そこが面白いんですけれど。 鈍感野郎だけど決めてくれるところは決めてくれるので許してしまいます。悔しい。 あらすじ 星鉄を手に入れ、死亡した<蜈蚣>の起動実験を行う巴たち。理論上は可能なはずなのに、彼はなぜか目覚…

ストーリーがダメすぎてそのほか担当の人が可愛そう 『箱入り息子の恋』感想

映画「箱入り息子の恋」予告編 www.hakoiri-movie.com 一応結末が気になって最後まで見てしまったけど、本当に見なくていい映画だと思います。はっきり言って時間の無駄。 あらすじ 彼女いない歴=年齢の主人公は、親同士のお見合いをきっかけに盲目の女性と…

三角関係への飽くなきこだわりを感じる 小西明日翔『春の呪い』感想

Twitterのお友達がおすすめしていたので読んでみました。 2巻完結という短さもよし。 あらすじ 春が死んだ。夏美は妹の婚約者、冬吾と交際を始めます。条件は「春と行った場所を巡ること」。夏美の妹への執着、冬吾の恋心と罪悪感。思いはこじれにこじれ続…

意識することで日本語は輝きだす 大野晋『日本語練習帳』感想

文章がうまくなりたいのでいろいろ調べるシリーズ。今回は文章についての記事で紹介されていた一冊。 書籍概要 「は」と「が」はどう違うのか。正しい要約の書き方とは? 日本語学者の著者が、文法や単語の使い方を通して「読み書き」を教えます。文章を分解…

人にお勧めしがたいけど好きな映画10選

癖のある映画が好きです。毎回見たいわけじゃないですが、たまに見ると印象に残って面白いです。 というわけで、その中から「好きだけどオススメしにくい映画」をまとめてみました。オススメしにくいからあまり語ったことのない映画も出しました!

ロシアをさまよう漂流民たちに感情移入 井上靖『おろしや国酔夢譚』感想

読みたいと思っていたんですが、後回しになっていてやっと読めました! ロシアの殺し屋恐ろしや。 あらすじ 船旅のうちに遭難し、ロシア領の離島にたどり着いた伊勢出身の船乗りたち。彼らはロシアの街を転々としながら、帰国の方法を探ります。過酷な異国の…

べたべたな序盤から、ドライなラストに至る 『はじまりのうた BEGIN AGAIN』感想

これもdtvで評価が高かったので見ました。 しかしdtvの星機能、コメントがつけられないので「どこがよかったのか」がさっぱりわかりません。何かしら面白いところがわかる内容だったらいいんですけど。 映画『はじまりのうた』予告編 あらすじ 会社をクビに…

彫刻や焼き物、モノでたどる古代ギリシャの歴史 「特別展 古代ギリシャ」行ってきたレポ

神戸市立博物館の「古代ギリシャ展」に行ってきました。 撮影OKな場所がほとんどなかったので、これしか写真がなくて申し訳ない。 www.greece2016-17.jp 今初めて見たけど、公式サイトコラムがあったりぬりえがあったりして気合が入ってますね。 展覧会概要 …

美意識低い人間のコスメポーチの中身大公開+個人的おすすめ

お題「コスメポーチの中身を教えてください」 最近ちょくちょくおすすめの化粧品の記事を見かけるようになって、私も紹介してみたい!ってなってたけどよく考えたら美意識低いからしょぼかったです。 でも一度自分のコスメポーチについて話してみたかったの…

もしも日本に陪審員制度があったら 『12人の優しい日本人』感想

この作品が出たときには、裁判員裁判はまだ始まっていなかったんですが、今見てみると、予言みたいに感じてしまいますね。 事実がフィクションに追いついている。 あらすじ 陪審員制度のあるIF世界の日本。殺人事件に関して12人全員無罪の評決をしますが、…

星鉄を巡って争う二つの陣営 『エスケヱプ・スピヰド 参』感想

読んでました! 星鉄と聞いてすぐ流星刀だなってわかってしまいました。審神者だから……。 あらすじ 皇女のクローン、鴇子の記憶の中にあった星鉄の情報。それを手に入れれば、鬼虫を復活させられるかもしれません。しかし甲虫たちもそれを狙います。九曜は星…

冴えない数学教師の生涯をかけた献身 『容疑者Xの献身』感想

容疑者Xの献身を見ましたよ! 実写化として評判がいいので、一度見てみたかった作品です。やっぱり愛の重い男は怖いです。 あらすじ 元夫を殺してしまったシングルマザー。隣人である石神は、彼女を警察から逃れさせるために暗躍します。一方彼は、警察に捜…

ひねくれものの少年は口先だけで王様を目指す 秋目人『騙王』感想

読みは「かたりおう」です。 振り仮名がなければ一発で読めないですね……。 あらすじ 妾腹の王子、フィッツラルド。彼は王になるべく商人、姫君、敵国の将軍と口先三寸で戦います。王になりたい彼の出生の秘密とは。そして王は誰を世継ぎに選ぶのでしょうか。

ダメ男に惚れた主人公の今後が心配 『バーレスク』感想

dtvに復帰しました。 というわけでバーレスクを見ました。事前情報は見てないんですが、評価がよかったので。 『バーレスク』予告 あらすじ 故郷からハリウッドに出てきたアリス。「バーレスク」のショーに一目ぼれした彼女は、店主テスに雇ってくれるよう迫…

中世は暗黒ではなかった ジョセフ・ギース&フランシス・ギース『大聖堂・製鉄・水車』感想

空にそびえたつ大聖堂はロマンですね。 前に読んだ著者の本が面白かったので、これも読んでみました。 書籍概要 ローマ時代の技術が失われ、停滞の時代だと思われていた中世ヨーロッパ。しかし本当にそうなのでしょうか? 著者は今にもつながるテクノロジー…

類義語どう使い分ける? 中村明『日本語のニュアンス練習帳』感想

ふと「私は文章が下手だな!」と思ったので、本を読んで文章の書き方について調べてみることにしました。まずは一冊目。 書籍概要 「女性」と「女」「故国」と「祖国」。普段何気なく使っている日本語ははたしてどう違うのでしょうか。日本語の微妙なニュア…

存在感のない少年は革命を目指す 松村涼哉『ただ、それだけでよかったんです』感想

ずいぶん前に買ったけれど長い間積んでいました。 なんだか「読む」スイッチが入らないとなかなか読まないこともありますね。 あらすじ クラスの人気者、昌也が自殺した。彼を自殺に追い込んだのは「僕」。そして弟の死の真実を追う姉は、主人公の行動に疑問…