ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

原作を踏襲しつつ映像でしかできない表現をしたアニメ化―『金の国水の国』(アニメ映画版)

あらすじ・概要 いがみ合う二つの国。その停戦の証として「国で一番賢い若者」を婿に貰うことになったアルハミドのサーラ姫だったが、送られてきたのは子犬だった。一方バイカリに暮らすナヤンバヤルという若者が押し付けられたのは、「最も美しい娘」ではな…

実家が寺の著者が、住職の兄をネタに仏僧の世界を語る―杜康潤『坊主DAYS』

あらすじ・概要 漫画家、杜康潤の実家は臨済宗の寺。住職である兄に聞き取り調査をしつつ、僧侶になるまでの苦労や、寺での日常を語る。僧侶になるまでの修行の厳しさ、住職として地域を支える多忙さ、現代ならではのお寺の事情など、宗教が身近に感じるかも…

最近読んだ漫画・本のまとめ(20230128)

記事を立てるほどではない作品の感想まとめです。 海空るり『うつ時々、躁:私自身を取り戻す』 りえぞう『キルギスに行ってみた 旅行記コミックエッセイ』 幌山あき『マーブルビターチョコレート』 『君の名は』 青沼貴子『ママは習い事がお好き』 近藤よう…

ADHD女性は虐待や周囲の無理解を受け人生を迷走する―ぴーちゃん『ぴーちゃんは人間じゃない? ADHDでうつのわたし、働きづらいけどなんとかやってます』

あらすじ・概要 「ぴーちゃん」こと著者は、子どもの頃から何だか上手く行かなかった。親からの虐待、周囲の大人たちの無理解。やがてうつになり、オーバードーズや性的逸脱をしてしまうに至る。自分がADHDだと気づき、あがいて生きていく姿を描いたコミック…

3つの宗教が混じり合う聖地へ―りえぞう『イスラエルに行ってみた 旅行記コミックエッセイ』

あらすじ・概要 バックパッカーとしてイスラエルに行ってみたいと思っていた著者。しかしイスラエルに入国後、敵対する国に行けなくなる場合がある。アラブの他の地域を巡ったあと、ようやくたどり着いたイスラエルは、3つの宗教の対立を象徴するような場所…

毒親から生き延びた人が励まし合うようなコミックインタビュー集―菊池真理子『毒親サバイバル』

あらすじ・概要 アルコール依存症の父と宗教にハマった母を持つ著者は、大人になってから自分の家庭が普通ではないと気づく。著者は自分以外の「毒親」を持つ人々に取材し、そのエピソードを漫画にすることにした。劣悪な家庭環境をサバイブしてきた人々の、…

成長していく人間に寄り添う面白さが描かれている―ひこちゃん『小学生男子は本日も晴天なり!』

あらすじ・概要 働きながら息子を育てている漫画家である著者。小学生の息子と送る日々は、刺激的で面白い。息子と旅行に行ったときのこと、自由研究をしたときのこと、小学校受験に挑戦したときのことなど、息子との生活をコミカルに描いたコミックエッセイ…

宗教2世のエピソードを淡々と漫画で収録―菊池真理子『「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~』

あらすじ・概要 自分の親は宗教を信じていた。それだけで長く排斥感を感じ、生きるのに悩む人々がいる。自らも宗教2世である著者が、2世たちに聞き取り調査を行い、そのエピソードを漫画に起こした。2世たちの宗教との決別、そしてその後の人生とは……。

老いを目の前にした女性がたどり着く今までとこれから―高橋陽子『50歳前からのココカラ手帖』

あらすじ・概要 子育てがひと段落し、50歳を目前にした著者は、言いようのない不安を抱いていた。メンタルクリニックで自分の疲れを自覚し、美容やメイクを気にしてみて、スポーツジムで鍛えてみる。そうして理解した、自分の今の状況、そしてこれから50代に…

俗っぽさと人文学的面白さが同居するコミックエッセイ―グレゴリ青山『グレさんぽ~琵琶湖とかインドとか』

あらすじ・概要 関西に住むイラストレーター・漫画家である著者。そんな著者が琵琶湖を巡ったり、伊豆に行ったり、インドにまつわる展覧会に協力したりなど、日々のことを語る。いろいろなところをぶらぶら歩いて見たものとは……。 マニアックで著者の文化的…

主人公が唐突に狂気的な行動をしてホラーすぎる―太田紫織『オークブリッジ邸の笑わない貴婦人 新人メイドと秘密の写真』

あらすじ・概要 家事が好きで家政婦の仕事をしていた鈴佳は、ユーリという男性にメイドとしてスカウトされる。その仕事はヴィクトリア時代の生活にあこがれる老婦人に当時のようなメイドとして仕えることだった。不便を感じつつ、アイリーンという名を得た鈴…

展開がほぼ予測できるけど結構楽しめる、現代の水戸黄門―『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(アニメ版)

あらすじ・概要 とあるオタクの女子高生は、乙女ゲームの悪役令嬢、カタリナに転生してしまった。カタリナは多くのルートで悲惨な結末を迎えるキャラ。その結末を回避するため、カタリナは体を鍛え、土をいじり、周囲の人と仲良くする。すると周囲のキャラク…

50代イラストレーターが100日チャレンジで体力強化に挑戦―高橋陽子『50代からの体力革命』

あらすじ・概要 50歳を目前にして、自分自身の体力の低下を目の当たりにした著者。彼女はスポーツジムに通うことを決める。そこで出会ったトレーナーと、「100日チャレンジ」を始めた。懸垂をする、ベンチプレス40㎏を上げるなど、設定した目標をこなそうと…

ロシア人青年が星を作る仕事をして宇宙の多様性に揉まれる―メノタ『果ての星通信』

あらすじ・概要 海外に行き恋人にプロポーズするつもりだったロシア人のマルコは、突然全く知らない場所に連れてこられた。マルコは今日から「局員」として、10年間故郷に帰らないまま星を作る仕事をしなければならないという。恋人に再会したいマルコは、ど…

妹の死を乗り越え成長していく家族と、淡い恋の終わり―宮部みゆき『小暮写眞館Ⅳ 鉄路の春』

あらすじ・概要 花菱英一の父が家出した。その家出をきっかけに、英一は死んだ妹にまつわる父母と父方の親戚の確執を知ることになる。また、英一はオーバードーズや自殺未遂を起こした垣本順子の過去も知る。それぞれの思いに決着がつく中、英一もまた若者と…

HSPに関するよくある誤解を科学的知見から訂正し、エビデンスに基づいて語る―飯村周平『HSPの心理学 科学的根拠から理解する「繊細さ」と「生きづらさ」』

あらすじ・概要 昨今話題になっている人より敏感な体質「HSP」。しかし科学的な知見や研究を置き去りに、都合よく使われている言葉でもある。HSPについて研究している著者が一般的に流布しているデマを訂正し、科学的にHSPを知る方法は何か、今自分の敏感さ…

情報系同人誌を書く人にすすめたい「一般市民が調べる」方法―宮内泰介・上田昌文『実践 自分で調べる技術』

あらすじ・概要 「調べること」は学者や専門機関、記者の専売特許ではなく、一般市民も社会のことを調べることができる。図書館やインターネットの使い方、聞き取り調査やインタビューのこつ、調べたことをどう発表するかなど、市民の視点から調査を語ったハ…

違いを面白がれるタフさに救われる―星野ルネ『アフリカ少年が日本で育った結果』

あらすじ・概要 日本人男性とカメルーン人女性が結婚し、母親の連れ子として日本にやってきた星野ルネ。幼い頃から日本で暮らしているため、母国語は日本語。周囲の日本人とは全く違う外見のため、何かと誤解を受けることが多く……。世の中の先入観や文化の違…

男性漫画家が家庭生活を描くコミックエッセイおすすめ7選

コミックエッセイを描くのは女性漫画家が多いだけに、その分野のマイノリティである男性漫画家のことは意識して注目して読んでいます。 今回はその中から「家庭を持つ男性」の描いたコミックエッセイをまとめました。 突然父親になった中年男性の戸惑いと適…

少年はなぜ不格好なぬいぐるみをカモメだと言ったのか―宮部みゆき『小暮写眞館Ⅲ カモメの名前』

あらすじ・概要 フリースクールの子どもたちを写した写真にあった不格好な謎のぬいぐるみ。フリースクールの生徒のひとりは「それはカモメだ」と言い出した。英一は、その謎を解くために調べることになるのだが……。同時期に英一の家で泥棒騒動が起こり、英一…