ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

漫画とともに読める飯テロエッセイ 平松洋子『サンドイッチは銀座で』感想

図書館で谷口ジロー追悼特集が組まれていたので、つい借りてしまった一冊です。 ときどき追悼特集みたいなものに反感を持つ人を見かけるけれど、作品は読まれなくなったときに死ぬから、「この間ニュースで亡くなった人はどんな作家なんだろう」というきっか…

劇場版「天王寺おばあちゃんゾウ 春子 最後の夏」上映会に行ってきたレポ

www.tv-osaka.co.jp 図書館で上映会があったので、「天王寺おばあちゃんゾウ 春子 最後の夏」を見てきました。 天王寺動物園は保育所のころから何度も行っていて、映画の中でどのように描かれるのか興味がありました。 この映画はテレビ大阪の社会活動の一環…

コバルト文庫の歴史から少女小説の立ち位置を考える 嵯峨景子 『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』感想

TwitterのRTで回ってきて、「これ絶対好きだ!」と思いました。読んでみたらやっぱり好きだった。 書籍概要 少女小説の代名詞とも言うべきレーベル、コバルト文庫。本書ではコバルトの歴史をたどりながら、少女小説における表現の変遷を考えます。最近では刊…

それぞれの信念をもって退場していくキャラたち 九岡望『エスケヱプ・スピヰド六』感想

女の子より主人公のほうが大きく描かれているライトノベル珍しくないですか? そういうところが好きです! ありがとうデザイン担当の人。 あらすじ 氷に閉ざされた町に向かった鬼虫たち。そこでは八番式・柊が眠っていました。一方神鯨に捕らえられた叶葉は…

おえかき少女の痛々しくも美しい青春 久世番子『私の血はインクでできているのよ』感想

あらすじ 漫画家、久世番子が「おえかき少女」だったころの自分を回想。修学旅行のしおりの表紙を狙う、同人イベント参加、昔の同人誌の在庫……昔の恥を語りつつ、絵に夢中だった青春時代を懐かしむコミックエッセイ。

具体例とともに文章を組み立てよう 前田安正『しっかり! まとまった! 文章を書く』感想

文章関連の本を読むシリーズ第四弾……だよね、確か。(いつも数があやふやになってしまう) この表紙のイラストが可愛い、と思ったら本屋でよく売ってるパラパラ漫画書いた人と同じ人のようです。 猫のたんじょうび(猫のパラパラブックス) 作者: 浅生ハルミン…

最強の男が見てきた鬼虫の物語 九岡望『エスケヱプ・スピヰド 伍』感想

分かり辛くなってしまったのでここで説明しますと、表紙の竜胆さんが見てるのは尽天です。(イラストレーターコメントより) あ、本当だ!うっすら町の影が見える。 あらすじ 鬼虫最強の男竜胆が、虎杖(いたどり)によって目覚めさせられました。一方中央の…

変わり者の探偵に対するドライな視点『SHERLOCK シャーロック シーズン1』感想

kadokawa-d.jp あらすじ 戦場から帰還した軍医ジョン・ワトソンは、偏屈な探偵シャーロック・ホームズとルームシェアをすることに。彼は警察に協力する「諮問探偵」で……。 ブログやスマートフォンを駆使する、『シャーロック・ホームズの冒険』現代リメイク…

暦少女たち、宇宙船を駆ける 新井素子『星へ行く船シリーズ3 カレンダー・ガール』感想

星へ行く船も折り返し地点まで来ました。 表紙は所長夫妻でいいのだろうか。 あらすじ ハネムーンに向かった所長夫妻。しかし突然妻の麻子がいなくなり、太一郎とあゆみは二人の乗った宇宙船を追いかけます。たどり着いた船ではハイジャックならぬスペースジ…

トリックアートの世界に入りたい人はやるべし 『モニュメントバレー』感想

play.google.com お正月にセールをやっていたので、モニュメントバレーをプレイしました。 空き時間にちまちまやれるちょうどいい難易度でした。 ゲーム概要 トリックアートのような世界を彷徨う無口なお姫様、アイダ。プレイヤーは彼女が前に進めるよう手助…

霊能力のある男装少女がひたすらかわいい 二宮酒匂『山内くんの呪禁の夏。』感想

どこかで聞いたことあるなあと思ったら小説家になろうの作品でした。たぶんTwitterで感想が流れてきたんだったかな。 ncode.syosetu.com あらすじ なぜかトラブルにばかり巻き込まれる少年、山内くん。彼は父親の故郷に向かい、霊能力者を訪ね、助言を請いま…

ファンタジーと青春を過ごした人間が選ぶファンタジーおすすめ32選

「面白かったファンタジーの記事を書こうかな」ととりかかったら字数がびっくりするくらい増えました。昔ほど読まなくなったとはいえ、ファンタジーは私の青春でした。記事を書きながらその青春を思い出すのは楽しかったです。 注意点として、「ファンタジー…

プロ棋士が語る将棋と囲碁の違い 先崎学『先ちゃんの囲碁放浪記 桂馬の両アタリ』感想

将棋のルールはさっぱりなんですが、先崎学のエッセイが好きなので読んでしまうという。 知らないゲームの実況を見るのに近いかもしれません。 書籍概要 プロ棋士、先崎学の趣味の一つである囲碁。妻や友人などの囲碁棋士との交流の中で、囲碁と将棋の違いや…

ヒイラギの守る村での夏休みの思い出 海津ゆたか『ヒイラギエイク』感想

田舎にあこがれはありますか? 私は毛虫が極度に苦手なので、風景は美しいと思うけれど絶対に住みたくないなと思ってしまいますね……。 山奥の村でおかしな風習がはびこる 山奥の村、おかしな風習、かわいい女の子……と設定が一昔前のノベルゲーみたいな雰囲気…

作家たちの文章論から文章の書き方を考える 辰濃和男『文章のみがき方』感想

文章についての本を探して読んでみるシリーズ第三弾。 書籍概要 よしもとばなな、太宰治、三島由紀夫。作家たちの文章論を紹介しながら、文章を書くための心がけを考えていきます。どんな文豪だって文章には悩んでいることがわかる一冊。

国立国際美術館「クラーナハ展 500年後の誘惑」行ってきたレポ

クラーナハ展に行ってきました。 www.tbs.co.jp 展覧会概要 ヴィッテンベルクの宮廷画家として名をはせたクラーナハ。多作な彼は多数の作品を残しました。彼の背徳的でエロティックな女性描写はさまざまな時代の人を魅了しています。国内外からクラーナハの…

トルコ人と結婚した漫画家、日常を描く 高橋由佳利『トルコで私も考えた 21世紀編』感想

あとがきを見たら最終巻だったようです。コミックエッセイってどこから読んでも大丈夫だからいいんですけれど。 ノリで読む本を選ぶのでこういうことはよくあります。 書籍概要 トルコに暮らしていた漫画家が、日常のことを記録していきます。食べ物のこと、…

どういう感想を書いていいかわからないの 『KING OF PRISM by PrettyRhithm』感想

「KING OF PRISM by PrettyRhythm」本予告 kinpri.com dtvにキンプリが来たので見てました。 面白かった、面白かったんだけれどどういう感想を書いていいのかわからないです。 あらすじ 一条シンはプリズムショーを見たことをきっかけに、プリズムスター養成…

死者の記憶が子どもたちを支える 森絵都『流れ星におねがい』感想

こちらの記事で、おすすめの児童文学に挙げられてたので気になった一冊です。 iwasen.hatenablog.com あらすじ 運動会で無理やりリレーの選手に選ばれてしまった桃子。他のメンバーたちは練習に乗り気ではありません。そんなとき、いつも相談に乗ってくれる…

自らの病を知らなければ前に進めない 松尾スズキ『クワイエットルームにようこそ』感想

映画は見ていたけれど、原作は読んでいなかったので手に取ってみました。 改めて読むとやっぱりやばい話だった。 あらすじ オーバードーズで精神病院の隔離病棟に運ばれた「私」。多種多様な問題を抱える女性たちとかかわりながら、なんとか早く脱出しようと…

恋愛脳の人物たちがテンポよくよその家で恋をする 『ホリデイ』感想

ホリデイ これもdtvで評価がよかったので見てみました。 普段恋愛映画を見ないので、たまに見ると不思議な感じがします。 あらすじ 休暇中に家を交換する「ホーム・エクスチェンジ」。コラムニストのアイリスと、予告編の制作会社を経営しているアマンダは自…

いびつな主従関係の果てに見た境地 谷崎潤一郎『春琴抄』感想

あらすじは知っていましたが、改めて原文を読んでみるとイメージと違いました。 やっぱり実際に読んでみないとわからないですね。 あらすじ 幼くして盲目になり、高慢に育った春琴。彼女は音曲の道に進み、丁稚の佐助を弟子にします。佐助といびつな主従関係…

水やジュースの重たさから解放される  『COCORO ショッピングカート』レビュー

COCOROのショッピングカートを買ったのでざっくりとレビューしておきます。 親の代わりにときどき料理をするのですが、仕事の帰りに買い物しするとき持って帰るのがものすごく重い。同居の家族が多いもので……。 ショッピングカートをネットで検索して…

どす黒い茨にとらわれた眠り姫を救え 冲方丁『テスタメントシュピーゲル3 上』感想

Kindleでは一か月発売日が遅いことにあとで気づきました。 予約する前に紙で買っておけばよかったなあ。 あらすじ 情報汚染により、すべての交通機関がマヒしたミリオポリス。涼月たちは情報汚染の影響のない蒸気機関車に乗り込み、都市を走ります。鳳を目覚…

12歳差の恋愛とそれとすれ違った人たち 新海誠『小説 言の葉の庭』感想

雨の匂いは好きですが、出かけるのが面倒になってしまいます。 今日の本は『言の葉の庭』。ノベライズとして評判がいいので読んでみました。 あらすじ 雨の日の公園で出会う謎の女性。主人公は彼女に惹かれていきます。第三者の視点を交えながら、12歳差の…