ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

漫画感想

「公認不倫」で幸せな家庭のはずなのに、悩み惑うのはなぜなのだろう―渡辺ペコ『1122』

あらすじ・概要 一子と二也は仲のいい夫婦。しかし二也は外に不倫相手がおり、一子はそれを公認している。セックスレスが原因で不倫を認めることにした一子だが、徐々に己の性欲を自覚し、また幸せそうに恋をする二也を見て懊悩する。一方二也も、今の関係に…

合法ショタと喫茶店のお姉さんが繊細な恋物語を繰り広げる―みやびあきの『珈琲をしづかに』

あらすじ・概要 18歳の受験生だが、小柄で中学生にも間違えられる主人公、貴樹は、喫茶店のマスターの女性紫都香(しづか)に恋をする。年の差に悩みながらも、喫茶店で勉強を続け、紫都香のことを知りたいと思う。喫茶店で言葉を交わすうち、お互いの心に変…

壁の向こう側には過酷な現実を生きる街がありました―りえぞう『パレスチナに行ってみた』

あらすじ・概要 イスラエルを観光した著者は、その後パレスチナ自治区へ向かう。イスラム教徒たちが暮らすはずのその場所は、イスラエル軍による厳しい監視がなされていた。著者は宗教施設や歴史的な場所を巡りつつ、パレスチナの今について考える。 ただ町…

双極性障害同士の夫婦が躁うつの波とともに共同生活する―リョコモコ『躁うつ夫婦』

あらすじ・概要 それぞれ別に双極性障害を発症した著者と著者の夫は、インターネットで出会い、恋をし結婚に至る。ときに躁でハイテンションになり、ときにうつで家に閉じこもりながらも、夫婦で助け合って生きていた。精神疾患とともに生きる結婚生活をユー…

日系アメリカ人と結婚し、アメリカでバイリンガル教育を目指す―ゴキタ絵美『うちの息子はバカリンガル』

あらすじ・概要 仕事でアメリカに渡り、日系アメリカ人と結婚した著者。ふたりの息子にも恵まれた。著者は息子たちにバイリンガルになってほしいと日本語を教え続けるが、うまくいかないことも多く……。バイリンガル育児や、アメリカでの子育てを描いたコミッ…

結城紬について知るPR漫画―細川貂々『てんてんと歩くキモノみち 紬からはじめました』

あらすじ・概要 着物にあこがれながらも、その難しさに挫折していた著者。そんな中、結城紬の関係者に漫画の依頼を受ける。結城紬の肯定や特徴について学び、ついには結城紬を着ることに。結城紬に関わる人たちの悩み、そして結城紬を後世に伝えようとする活…

食品アレルギーの子どもを育てる上での悲喜こもごも―カラスヤサトシ『0歳からのアレルギー戦記~牛乳・卵・小麦がダメ!』

あらすじ・概要 結婚して子どもをもうけた著者。しかしその子どもには食品アレルギーがあった。アレルゲンを含む食品を避けたり、気軽に他人と食事できなかったり、アレルギーの子どもと暮らすことは大変なことも多く……。 食品アレルギーの子どもと暮らす人…

大阪環状線に謎のおばけが現れるオカルトSF―白井弓子『大阪環状結界都市』

あらすじ・概要 大阪で警察官として働いていた森かなたは、大阪環状線を監視し守るOシステムで「何か」を見てしまう。その「何か」は「みぎわもん」と呼ばれる大阪に現れる超常のものだった。かなたはみぎわもんをめぐる戦いに巻き込まれていくが、それには…

職場復帰後奔走する女性と、働く母親への差別―あい『いけいけどんどん!ワーママ奮闘記』

あらすじ・概要 育児休暇の後、会社に復帰することになった著者、子どもと長く過ごせなくなることを悲しく思いながらも、好きなデザインの仕事を必死で頑張る。ときに夫といさかいながらも、何とか仕事を続ける一方、職場からは収入の当てにしていた手当をな…

小六にして中学受験をしたいと言い出した息子を応援する夫婦―細川貂々『なぜか突然、中学受験』

あらすじ・概要 漫画家・イラストレーターの細川貂々と専業主夫のツレの間に生まれた息子、ちーと君。小学6年生になった彼は突然中学受験をしたいと言い出す。戸惑いながらも、夫妻は息子の受験勉強を応援するために奔走する。 本人がやりたいことをどう応…

子どもになった親のために施設探し―細川貂々『親が子どもになるころに――てんてん、介護問題に直面す。』

あらすじ・概要 漫画家の著者にはひとり暮らしの父がいた。仕事を続けまめに掃除をし、生活を続けていた。しかしあるときから認知症の兆候が見え始め、施設に入れることを考え始める。施設探しの日々、ままならない父親の行動を描きながら、子どもが老いた親…

ネガティブな漫画家が自分語りをしつつ楽な生き方を模索する―菊池真理子『生きやすい』

あらすじ・概要 漫画でルポルタージュを描くことを仕事にしている著者、菊池真理子。しかしその内面はネガティブで、漠然とした生きづらさに悩まされていた。過剰な繊細さ、人付き合いへの疲労、本音を言うことへの抵抗など、著者自身が自分のネガティブさを…

ダウン症の子育てを明るいコメディタッチで描く―たちばなかおる『ユンタのゆっくり成長期 ダウン症児を育てています』

あらすじ・概要 長男として授かった赤ちゃんはダウン症児だった……。行政や福祉の力を借りつつ、発達がゆっくりの子どもを家族で見守る。ダウン症の子育ての理不尽なところ、うまくいかないところを描きながらも、コメディタッチで進行するコミックエッセイ。

ベビーシッターになった保育士の奮闘記―さいおなお『3時間だけママを代わります! 駆け出しベビーシッターの奮闘記』

あらすじ・概要 保育士だったが、日々の雑務に追われ、「もっと子どもと向き合う仕事がしたい」とベビーシッターになった著者。ベビーシッターの仕事の内容から、子どもと付き合う上での悩み、保護者とのやりとりなど、子どもを世話する仕事について語る。 …

贋札を作る能力で同胞を救うトンチキギャグ経済漫画―住吉九『ハイパーインフレーション』

あらすじ・概要 技術の遅れたカブールの民として生まれたルークは、支配者であるヴィクト人を騙して金銭を得ていた。命の危機によってルークは神から特別な力をもらう。それは、「生殖能力の代わりに、贋札を作る能力を得る」ことだった。無限に生成される贋…

イスラム教徒の男性と結婚したらカルチャーショックを受けた―ハスナ『笑える 腹立つ イスラム夫と共存中』

あらすじ・概要 海外旅行をしていた著者は、それがきっかけでイスラム教徒の男性と結婚することになる。神を信じる男と信じない女、文化の違いは大きくて……。コミカルな描写ながらもイスラーム文化と日本文化を比較するコミックエッセイ。 私たちと違った倫…

双極性障害の夫を支えるうちに妻がうつになってしまった―彩原ゆず『夫婦で心を病みました 優しい夫が双極性障害を発症したあの日から』

あらすじ・概要 仕事のストレスでうつになってしまった夫、休息を経て少しずつよくなっていくが、しばらくして夫に異変が訪れる。浪費をし、常にいらだちものに当たるようになり、ついに著者にも手を上げるようになった。追い詰められた著者は、自分も自殺を…

最近読んだ本・漫画・ゲームの感想(20230303)

記事を立てるほどではない感想のまとめです。 斉藤環・内田良『いじめ加害者にどう対応するか 処罰と被害者優先のケア』 最上うみみ『お酒で壊れた人が集まる場所で』 木﨑ちあき『博多豚骨ラーメンズ』 岬鷺宮『日和ちゃんのお願いは絶対』 井上純一『月と…

双極性障害の母を支えた著者と家族の物語―まりげ『700日間の絶望トンネル』

あらすじ・概要 別居している母が自殺未遂をしたという報告を受け、著者は混乱する。どうやら母は双極性障害だということがわかり、入院治療ののち、著者の近くで暮らすこととなった。しかし母親の躁うつの波に振り回され、著者は苦悩する。

アルコール依存症になったOLの妹との共依存と卒業―かどなしまる『人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話』

あらすじ・概要 社会人として事務の仕事をするも、職場の人間関係の悪さから、ストレスをため込んでいた著者。「お酒を飲んでから出勤すると平気」ということに気づき、飲酒をしてから仕事をするようになる。同居の双子の妹と諍い、家に帰れなくなっても、そ…

彼氏と別れた女性が東京と京都の神社を巡る―ichida『こっそり行きたい 欲望ご利益神社』

あらすじ・概要 彼氏と別れ、さらにその彼氏にストーカー扱いされてしまった主人公。元彼への恨みつらみや、新しい恋愛への願望とともに、東京の神社を巡る。さらに神道に興味がある同僚とともに京都旅行へ。そこでもさらに神社を巡り、今までのネガティブな…

願いを叶える神様と、人々の願いの結末―夜諏河樹 『アンテン様の腹の中』

あらすじ・概要 悩む人の目の前に、突然現れる謎の神社。そこにはアンテン様という神様がおり、思いのこもった大切なものを捧げる代わりに願いを叶えてくれるという。アンテン様の神社にたどり着いた人々と、その願いの顛末を語る連作短編。

アルコール依存症の父親を愛したいor許せない?―菊池真理子『酔うと化け物になる父がつらい』

あらすじ・概要 宗教にハマった母と、毎回泥酔するほどお酒を飲んでしまう父。母は嫌がりながらも父と飲み仲間の世話をしていた。著者はそんな両親とともに生活していた。やがて母が自殺し、父の世話は著者と妹の仕事になる。アルコールに依存する父に振り回…

体は男だが性辞任が女の王女様が男でも女でもない妖精に恋をする―黒井あがさ『ロイヤル・ガーデンの友人』

あらすじ・概要 男性の身体を持つが性自認は女の王女、マイルス。公務のときは男性の格好で、プライベートは女装して過ごしている。そんなマイルスの友人は、男か女かわからない白の妖精、オウ。マイルスはオウに恋心を抱くが、性別のないオウはその感情に応…

実家が寺の著者が、住職の兄をネタに仏僧の世界を語る―杜康潤『坊主DAYS』

あらすじ・概要 漫画家、杜康潤の実家は臨済宗の寺。住職である兄に聞き取り調査をしつつ、僧侶になるまでの苦労や、寺での日常を語る。僧侶になるまでの修行の厳しさ、住職として地域を支える多忙さ、現代ならではのお寺の事情など、宗教が身近に感じるかも…

最近読んだ漫画・本のまとめ(20230128)

記事を立てるほどではない作品の感想まとめです。 海空るり『うつ時々、躁:私自身を取り戻す』 りえぞう『キルギスに行ってみた 旅行記コミックエッセイ』 幌山あき『マーブルビターチョコレート』 『君の名は』 青沼貴子『ママは習い事がお好き』 近藤よう…

ADHD女性は虐待や周囲の無理解を受け人生を迷走する―ぴーちゃん『ぴーちゃんは人間じゃない? ADHDでうつのわたし、働きづらいけどなんとかやってます』

あらすじ・概要 「ぴーちゃん」こと著者は、子どもの頃から何だか上手く行かなかった。親からの虐待、周囲の大人たちの無理解。やがてうつになり、オーバードーズや性的逸脱をしてしまうに至る。自分がADHDだと気づき、あがいて生きていく姿を描いたコミック…

3つの宗教が混じり合う聖地へ―りえぞう『イスラエルに行ってみた 旅行記コミックエッセイ』

あらすじ・概要 バックパッカーとしてイスラエルに行ってみたいと思っていた著者。しかしイスラエルに入国後、敵対する国に行けなくなる場合がある。アラブの他の地域を巡ったあと、ようやくたどり着いたイスラエルは、3つの宗教の対立を象徴するような場所…

毒親から生き延びた人が励まし合うようなコミックインタビュー集―菊池真理子『毒親サバイバル』

あらすじ・概要 アルコール依存症の父と宗教にハマった母を持つ著者は、大人になってから自分の家庭が普通ではないと気づく。著者は自分以外の「毒親」を持つ人々に取材し、そのエピソードを漫画にすることにした。劣悪な家庭環境をサバイブしてきた人々の、…

成長していく人間に寄り添う面白さが描かれている―ひこちゃん『小学生男子は本日も晴天なり!』

あらすじ・概要 働きながら息子を育てている漫画家である著者。小学生の息子と送る日々は、刺激的で面白い。息子と旅行に行ったときのこと、自由研究をしたときのこと、小学校受験に挑戦したときのことなど、息子との生活をコミカルに描いたコミックエッセイ…