ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

仕事

格差社会の中で語られるすっとぼけた労働文学―津村記久子『ポトスライムの舟』

あらすじ・概要 29歳のナガセは、工場で働いている。ある日自分の年収がほぼ世界一周にかかる値段であることを知ったナガセは、工場の給金を一年間丸ごと貯め、他の仕事で生活をすることを思いつく。表題作ほか、格差社会を描いた二編を収録した本。

高田馬場で漫画の神様のアシスタントをしていた男の話―堀田あきお&かよ『手塚治虫アシスタントの食卓』

あらすじ・概要 夫婦で漫画家をしている堀田あきおとかよ。夫、あきおはかつて手塚治虫のアシスタントをしていた。入社したきっかけ、漫画部とアニメ部の軋轢、漫画家を目指すアシスタントたちの交流を当時食べた食事とともに描き出す。懐かしい漫画のアシス…

美術館の監視係が猫の姿になって仕事を語る―宇佐江みつこ『ミュージアムの女』

あらすじ・概要 岐阜県美術館で監視係をしている著者。展示室の片隅に座り、客が作品を触らないように注意したり、作品の害になるかもしれない虫を捕獲したりしている。美術館を訪れるさまざまな客を見つめながら、美術館の意義や展示係のやりがいについて語…

同世代の女子がワイワイシュラバする70年代アシスタント事情―笹生那実『薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記』

あらすじ・概要 中学生で漫画を投稿していた著者は、高校生になってプロの漫画家のアシスタントとして呼ばれることとなる。そこは締め切りぎりぎりの中漫画家とアシスタントが原稿を書き続ける「シュラバ」だった。有名漫画家との思い出とともに、つらくも美…

不健康な体で働く細胞たちの擬人化漫画―原田重光・初嘉屋一生『はたらく細胞BLACK』

あらすじ・概要 人体の細胞が人の形をしている世界。作られたばかりの赤血球は、これからの仕事に期待を膨らませていた。しかしその身体は、アルコールや喫煙、暴飲暴食によって蝕まれた不健康な体だった。過酷な労働に駆り立てられ、疲弊していく現場は多種…

デビュー作が打ち切りになったラノベ作家の救いとは―望公太『ラノベのプロ!2 初週実売1100部の打ち切り作家』

あらすじ・概要 勢いでプロポーズしてしまったことから幼馴染の結麻とぎくしゃくしてしまう陽太。ちょっとしたことでも意識しすぎてしまう。そんな中、陽太の自称弟子である小太郎のデビュー作の販売が振るわず、打ち切りが決定してしまう。陽太は小太郎をど…

絵描きがNZへワーホリに行き、他人と共同生活しながら海外を楽しむ―はしゃ『ニュージーランドではしゃぐ』

あらすじ・概要 漫画家でありイラストレーターである著者は、フィリピンでの語学留学を終え、次はニュージーランド(以下NZ)でのワーキングホリデーを目指す。NZでは「フラット」と呼ばれるシェアハウスのようなもので共同生活を送り、漫画やイラストの仕事…

東園子・堀ノ内雅一『学習漫画 世界の伝記 NEXT エリザベス・ブラックウェル 運命を切り開いた世界で最初の女性医師』

あらすじ・概要 利発な女性、エリザベスは、「女性医師がいたらいいのに」というある女性の言葉から医師を目指す。しかし女性が入れる医学校はなかなか見つからず、ようやく医師になっても差別の連続。そんな現状を変えたいと、エリザベスは女性のための医学…

ラノベ作家がある野望のためにお金を稼ぐ―望公太『ラノベのプロ! 年収2500万円のアニメ化ラノベ作家』

あらすじ・概要 アニメ化がこけたライトノベル作家、神陽太は、税金対策として幼馴染の結麻をアシスタントとして雇った。彼の元には天才肌の高校生作家や、中二病の中学生作家がやってくる。「売り豚」として売れるラノベを追求する陽太が、金にこだわるある…

配送業の男性の、愉快で驚きの多いお仕事風景―ゆきたこーすけ『リアル宅配便日記…毎日こんなことが起こってます!!』

あらすじ・概要 社内新聞の四コマを描いたことをきっかけに、自身の配送業を漫画にし始めた著者。ブログを解説し、面白いお客さんや、配送時の面白いハプニング、個性的な同僚たちを四コマで楽しく語っていく。身近なようで知らない宅配便の世界は、面白ネタ…

細胞面白ギャグだと思ってたら鬱アニメだった―『はたらく細胞BLACK』(アニメ版)

あらすじ・概要 細胞たちが人の姿をしている世界。赤血球になったばかりの青年は、これからの仕事に期待をふくらませていた。しかしその体の主は、暴飲暴食、アルコールやたばこの摂取、運動不足、徹夜など、不摂生な行動を繰り返した。そんな体の中で、細胞…

昔の病院の怖さがわかる―田中ひろみ『ナースは今日も眠れない!』

あらすじ・概要 親に美大に行くことを反対され、ナースを志すことにした著者。しかし看護学校の時代から、苦難の連続だった。過酷な実習、先輩からのいじめ、セクハラやパワハラ。しかも多くのナースが辞めていく消化器内科に入ってしまい、著者は環境の悪い…

作業事務員はオフィスで何をしているのか~仕事例6つと適性~

オフィスで働いたことのない友人が二次創作オフィスパロを書くときに「オフィスの仕事って何をしているの……?」と言っていたので、私の仕事を書き出してみることにしました。 詳しく書くと個人情報保護の観点から怒られるタイプの仕事をしているので、ほどほ…

善意の「無料」で盛り上がるの卑しいでしょ―かおり&ゆかり『乙女の工場見学』

あらすじ・概要 双子でイラストレーターをしているかおり&ゆかりの姉妹。彼女らの趣味は工場見学をすること。キューピーマヨネーズの工場で卵を割る機械を見たり、雛人形を作る会社で人形の製法を知ったり、みそ会社の中にある神社に参拝したり。個性豊かな…

キャットシッターの第一人者が見た猫と人の関わり―南里秀子『猫、ただいま留守番中』

あらすじ・概要 キャットシッターの第一人者である南里秀子。彼女が出会った猫たちも、飼い主たちも、さまざまな事情を抱えている。シッターとして人の家に入り、猫の世話をすることで、人と猫の関係が見えてくる。楽しいことから不満なことまで、猫と働く生…

コミック売り場で奔走する書店員たちの苦労と笑いと喜び―本田『ガイコツ書店員本田さん』

あらすじ・概要 コミック売り場で海外のコミックを担当している書店員、本田。著者の周りには個性的な書店員たちと、斜め上の質問を飛ばしてくる客たちがいる。大量の本を片付けては並べ、レジを打ち、多種多様な客たちの問い合わせに対応し……。 pixivに掲載…

敵だらけでもないしドロドロしすぎてもいない―松山ルミ『新卒で”給食のおばさん"になりました~女の園は敵だらけ~』

あらすじ・概要 調理師学校を卒業した後、病院の給食を作る仕事に就いた著者。そこは、体力仕事と女同士の付き合いがあふれていた。B型をいじめるお局様、親切だけどクールな先輩。慣れない仕事に四苦八苦しながら、著者は給食の作り方を学んでいく。

ヘルパーになった漫画家のお仕事コミックエッセイ―吉田美紀子『40代女性マンガ家が訪問介護ヘルパーになったら』

あらすじ・概要 若いころは何本もの連載を持っていたが、年を取るにつれて仕事がなくなってきた漫画家の著者。バイトをしてみようとしたがうまく行かず、ひとりでできる仕事として選んだのは、訪問介護ヘルパーだった。ヘルパーとしての苦労やお年寄りとの交…

「定食屋のからあげ定食がおいしい」みたいなお仕事小説―ほしおさなえ『活版印刷三日月堂 星たちの栞』

あらすじ・概要 故郷に戻ってきた弓子は、祖父が経営していた活版印刷所「三日月堂」を再開した。びんせん、ショップカード、しおり、結婚式の招待状。三日月堂の依頼者は、印刷物を作ることによって自分の過去や今に向き合うこととなる。活版印刷をきっかけ…

大衆演劇で裏方の仕事をする女性の苦労と喜び―木丸みさき『わたしの舞台は舞台裏 大衆演劇裏方日記』

あらすじ・概要 著者は、大阪のとある劇場で大衆演劇の裏方をしている。たまたま見た大衆演劇にほれ込んだ著者は、大衆演劇に関わる仕事へ進んだのだ。大衆演劇ならではの文化、ひとりで裏方をすることの苦労、俳優の人々との付き合いなど、舞台に関わる日常…

照れのないトンチキBLラブコメ―『劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD』

今日の更新は、『劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD』です。 あらすじ・概要 恋人の牧と愛を誓い、上海・香港の転勤から戻ってきた春田。会社ではアジアの開発を行う一大プロジェクトを担うこととなる。そんな中、黒澤が記憶喪失になり、春田にアプローチを…

事務員の制服がスカートしかないのが嫌な4つの理由

素材:ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/) Twitterのプロフィールにも書いてありますが、私の今の仕事は作業事務です。簡単に言えばパソコンを使った雑用ってとこですね。 うちの会社には女子社員にに制服があり、毎日ロッカーで制服に着替えて働いてい…

音楽の何でも屋が歌姫とともにアーティストの問題解決―杉井光『神曲プロデューサー』

今日の更新は、杉井光『神曲プロデューサー』です。 あらすじ・概要 作曲やスタジオミュージシャン、ライター仕事など、「音楽の何でも屋」で食っている蒔田。彼は自分のデビューシングルの盗作疑惑をきっかけに、歌手リカコとつるむようになる。仕事として…

「イラっと来る」をうまくコントロールしたお仕事小説―青木祐子『これは経費で落ちません! 経理部の森若さん』

今日の更新は、青木祐子『これは経費で落ちません! 経理部の森若さん』です。 あらすじ・概要 天天コーポレーション経理部に所属する27歳のOL、森若沙名子。会社の簿記やお金の管理をして働く毎日だ。その経理部に、従業員たちはやっかいごとを持ち込んでく…

交通遺児に好きなだけ泣く時間を与えないの、あまりにも悪趣味―『若おかみは小学生!』(アニメ映画版)【ネタバレ有】

今日の更新は、『若おかみは小学生!』です。 あらすじ・概要 事故で両親を亡くし、祖母の経営している旅館に引き取られた織子ことおっこ。おっこはそこで、幽霊のウリ坊と出会う。ウリ坊の提案で旅館の若おかみになったおっこは、掃除や接客、配膳など、旅…

雇用と社会保障の両輪で人々の生活を支える―宮本太郎『生活保障 排除しない社会へ』

今日の更新は、宮本太郎『生活保障 排除しない社会へ』です。 あらすじ・概要 男性を主な労働力とし、長期雇用や女性の家事労働によって家庭を支えるのが日本の福祉モデルだった。しかしながら、雇用の崩壊によって過去の福祉システムは使えなくなっている。…

これをすぐ実践できる人間は気弱とは言わない―谷原誠『弁護士が教える気弱なあなたの交渉術』

あらすじ・概要 交渉で痛い思いをしてきた著者が、今までの経験から、「気弱な人こそできる」交渉術を紹介する。相手とのコミュニケーションを考えながら、よりより結果を勝ちとる秘策とは……。

人間に揉まれた演劇人が語る人間関係―鴻上尚史『鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』

あらすじ・概要 舞台の演出家であり作家でもある鴻上尚史。舞台人として数々の人間関係に揉まれてきた彼が、送られてくる人生相談に答える。友人との関係、夫婦の関係、夢を追いかけること。著者の経験から語られる、社会を生き抜くポイントとは。

「ルチアーノバレンチノ オフィスサンダル IM6455」が履きやすかったよ【口コミ・レビュー】

この間買った「ルチアーノバレンチノ オフィスサンダル IM6455」が履きやすくてよかったのでレビュー記事を書きました。

敏感な人間同士共感したいならいいかも―高橋敦『「敏感」にもほどがある』

今日の更新は、高橋敦『「敏感」にもほどがある』です。 あらすじ・概要 敏感体質であるHSP。その当事者である著者が、敏感すぎる人間の日常について漫画と文章で語る。着ているものの材質に敏感、周囲が気になりすぎる、人の気分の上下に影響されてしまう………