ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

打ち切りらしいけれどまあ悪くない終わりだったかな―喜多みどり『亜夜子と時計塔のガーディアン 約束のチョコレート』

あらすじ・概要 英国に留学してきてレイのフォグ(下僕)としてこき使われている亜夜子。ある日、レイの親友が「切り裂きジャック」の容疑者として候補に挙がってしまう。調べるうちに判明した、切り裂きジャックの正体とは……。 男女バディものとして面白か…

男女バディミステリかと思ったら百合要素がすごかった―喜多みどり『亜夜子と時計塔のガーディアン 秘密のお茶会』

あらすじ・概要 イギリスに渡り、スタグフォード校に通うことになった亜夜子。スタグフォード学園の優等生であるレジナルドに助けてもらうが、彼は命の恩人であることを盾に亜夜子をフォグ(下僕)にしてしまう。レジナルドにこき使われるうちに、亜夜子は学…

大好きな人と合体したまま配信者魔術師と対決する羽目になってしまった―橘公司『王様のプロポーズ2 鴇羽の悪魔』

あらすじ・概要 もうひとつの魔術師養成機関<楼閣>と交流戦をすることになった<庭園>だったが、そこに魔術師向けの動画サイトで活躍する喰良という少女が現れる。無色のことを「彼ピ」と宣言した喰良は彩禍に勝負を挑む。しかし今無色は喰良と合体しているわ…

アルコールとメンタルヘルスから見る男性のジェンダー―松本俊彦『アルコールとうつ・自殺―「死のトライアングル」を防ぐために』

あらすじ・概要 女性よりも圧倒的に高い男性の自殺率。それにはアルコール依存症、もしくは依存症とは言えないまでも無軌道な飲酒行為が関係していた。アルコールとうつ、そして自殺の関連性を紐解きながら、アルコールと適度に付き合う重要性について語る。…

あるがままでは生きられない人々が行う「告白」―高殿円『カミングアウト』

あらすじ・概要 援助交際をする女子高生、ロリータファッションを卒業するか悩むアラサーOL、セックスレスに悩む主婦、夫の定年退職に何かをたくらんでいる妻。葛藤を抱えるキャラクターたちが、起こした「カミングアウト」とは 告白することが人生を変える …

神々や動物が語る、アイヌの生活、信仰、世界観―知里幸惠編訳『アイヌ神謡集』

あらすじ・概要 アイヌ民族でありクリスチャンでもあった知里雪惠は、アイヌの人々が歌い継いできた神謡をローマ字で表し、さらに日本語訳した。神々や動物たちが語る、アイヌの人々の生活、そして信仰や世界観とは……。

「多いのに法整備や交通網が遅れている」日本の自転車事情―馬場直子『自転車に冷たい国、ニッポン――安心して走れる街へ』

あらすじ・概要 自転車大国である日本だが、実は自転車にまつわる法整備や、自転車が走りやすい交通設備の点では遅れている。自転車事故を減らすためにはどうすればいいのか。海外の事例や、日本での成功例を挙げつつ、日本の自転車のこれからを考える。 ヘ…

美学の視点から見る視覚障害の人の世界のとらえ方―伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

あらすじ・概要 生物学の道を諦め、美学を志した著者は、障害を持つ人、特に視覚障害を持つ人の世界の認識に興味を抱く。「見える」ことが前提の社会で、「見えない」人たちはどのようにして周りの状況をとらえているのか。 「違いを面白がる」という可能性 …

鬼の歴史と女性やマイノリティと鬼との関係―小山聡子『鬼と日本人の歴史』

あらすじ・概要 日本人に怖れられ、またユーモラスに描かれてきた「鬼」。その存在はどうやって確立し、文化の中でどう扱われてきたのか。中国から入ってきた鬼の概念から、節分の成立、鬼とマイノリティの関係など、鬼と日本人の歴史について語る本。 女性…

死にかけの女性にガチ恋する主人公が世界を救う―橘公司『王様のプロポーズ 極彩の魔女』

あらすじ・概要 瀕死状態の女性に一目惚れした少年、無色。無色はその最強の魔術師女性彩禍と融合してしまった。彩禍を守るため、魔術師の学校に入学することを受け入れた無色は、最強の能力に戸惑いながらも彩禍として生活する。 リアリティはないが作品の…

図書委員男子ふたりの謎解きと繊細な友情―米澤穂信『本と鍵の季節』

あらすじ・概要 「僕」こと堀川と松倉は、図書委員の高校生。堀川は、松倉と一緒に学校や町で起こる小さな謎を解いていくこととなる。開かずの金庫の鍵を開け、自殺した学生が読んでいた本を探すなどするうちに、堀川は松倉の態度に違和感を持つ。やがて松倉…

自死遺族の苦しみとこれからできる支援―杉山春『自死は、向き合える 遺族を支える、社会で紡ぐ』

、 あらすじ・概要 生きる苦しみによって自ら命を断ってしまう人がいる。自死の悲しみは、当事者だけではなく家族も襲う。自死遺族たちが受けた差別や社会への疎外感、また対策について述べる。自死する人を減らし、自死遺族たちを支援するために、社会は何…

発達障害の夫が壊れかけた家族を再構築する―遠藤光太『僕は死なない子育てをする 発達障害と家族の物語』

あらすじ・概要 大学を出てすぐに若くして結婚し、子どもをもうけた著者。しかし強いうつ症状に襲われ、復帰と休職を繰り返してしまう。家族がばらばらになりそうな中、著者は自分が発達障害であることを知った。発達障害の特性を考えながら、家族を再構築し…

介護殺人の恐ろしさと、防ぐために世の中は何ができるか―毎日新聞大阪社会部取材班『介護殺人 追い詰められた家族の告白』 

あらすじ・概要 社会問題になっている介護のこと、そして思いつめた結果介護していた相手を殺害してしまう人がいる。毎日新聞大阪社会部取材班は、介護殺人をしてしまった人々に取材を申し込んだ。重たい口を開いた彼らが語るのは、壮絶な介護の実態だった。…

トンチキとリアルが交差する京都ファンタジー―森見登見彦『夜は短し歩けよ乙女』

あらすじ・概要 とある乙女に一目ぼれした「私」。「私」は乙女の視界に入ろうと彼女を追いかける。一方乙女も、夜を歩くうちに京都で起こる不思議なできごとに巻き込まれ、その中で大活躍する。 小説でないと生まれえないシーンがある 基本的にリアリティの…

科学者だって間違うしその場の雰囲気に流される―藤野豊『強制不妊と優生保護法 "公益"に奪われたいのち』

あらすじ・概要 障害者やハンセン病の人々に不妊手術を施した悪法、優生保護法。その法律はどのように作られ、どのような歴史をたどったのか。優生保護法の現在までを振り返りながら、優生主義の恐ろしさ、愚かさを伝える本。 科学者だって過ちを犯す 薄い本…

コンビニ夜勤をする吸血鬼が女子高生の問題を解決―和ヶ原聡司『ドラキュラやきん!』

あらすじ・概要 吸血鬼の虎木は、コンビニ夜勤をしながら人間世界で生活していた。そんな虎木の家にシスターが転がり込んでくる。彼女、アイリスは人ではない存在「ファントム」を狩る存在だった。そんな中、コンビニ店長の娘が怪しげなライブハウスに通って…

政治学者が学問的正論が通用しない「PTA」の世界で気づいたこと―岡田憲治『政治学者、PTA会長になる』

あらすじ・概要 政治学者・岡田憲治は他人からの強い推薦によってPTA会長になるが、そこは非効率、非論理的な活動に満ち溢れていた。会長としてPTAのスリム化を目指すが、そんな著者に反発する人も多く……。保護者による「自治」の中で、人間同士の政治を考え…

「政治をやる障害者」が語る戦略的にマイノリティ向け制度を作る方法―伊藤芳浩『マイノリティ・マーケティング――少数者が社会を変える』

あらすじ・概要 聴覚障害者として、NPO「インフォメーションギャップバスター」で活動してきた著者。この団体は聴覚障害者向けの電話リレーサービスや東京オリンピック開閉会式におけるテレビ放送の手話通訳の導入を実現させてきた。300人に1人の聴覚障害者…

もっと童話要素の強いまま突っ走ってくれればよかったのに―三方行成『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』

あらすじ・概要 遠い未来、人間が人格をデジタル世界にコピーしたり複製したりが可能になった。「トランスヒューマン」と呼ばれるようになった人類は電脳世界と現実世界の両方で新しい人生を謳歌する。そんな中に、姫君や翁がいて……SF世界で童話パロディをす…

古代日本の世界で少数民族の少女と大王の血を引く男が出会う―円堂豆子『雲神様の箱』

あらすじ・概要 双子の姉の罪をかぶって土雲の一族を追い出され、雄日子という男に仕えることになったセイレン。セイレンは固定観念に囚われない雄日子の人格に惹かれていく。一方で、大王の政治に不満を持った人々によって、政治の世界は不穏さを増していた…

清少納言から中宮定子への熱烈な主従愛―冲方丁『はなとゆめ』

あらすじ・概要 宮中に出仕することになった清少納言は、そこで中宮定子の聡明さ、優雅さに惹かれる。中宮定子や貴人たちとの交流に、頭のいい清少納言は機転を利かせて雅に答え、それを評価される。しかし次第に、藤原道長の権力が、中宮定子にまつわる人々…

「わたし」が小さくなって大冒険―田中ロミオ『人類は衰退しました2』

あらすじ・概要 妖精さんが作った計量スプーンを手に入れた「わたし」。それを頭につっこむと、みるみるうちに体が小さくなった。「わたし」は小さいまま外の世界で大冒険をする。「わたし」と「助手さん」の出会いを描くタイムスリップストーリー含む二編を…

男性の視点から男性の暴力を阻止するためにできること―多賀太・伊藤公雄・安藤哲也『男性の非暴力宣言 ホワイトリボン・キャンペーン』

あらすじ・概要 性的暴行、DV、セクハラなど、女性はさまざまな暴力にさらされている。しかしそれに異議を唱えるのは、同じ女性ばかりだった。ホワイトリボン・キャンペーンは男性が当事者として男性の暴力に反対し、女性や子どもへの暴力をなくそうと活動す…

介護職はなぜ不足しているのかと、日本の介護のこれから―結城康博『介護職がいなくなる ケアの現場で何が起きているのか』

あらすじ・概要 少子高齢化によって、介護需要は高まる一方なのに、介護の仕事をする若者は増えない。労働条件の悪さや、介護施設内での暴力、介護施設でのパワハラ・セクハラ、外国人介護職への支援の乏しさなど、現状の問題を語る。介護から見えてくる、高…

【ヒット作も名作も】映画化された小説おすすめ15選

ChatGTPに「読書ブログのまとめ記事のアイデアを出してください」と頼んだら「映画化された小説のおすすめ」を提案されたのでまとめました。 そういえば今まで書いたことのなかったまとめでしたね。提案されるまで気づきませんでした。 以下、映画化された作…

障害者の大量殺人事件から優生思想に警鐘を鳴らす―保坂展人『相模原事件とヘイトクライム』

あらすじ・概要 障害者施設で19人が殺害された相模原障害者施設殺傷事件。その事件は多くの障害者とその家族、支援者らに衝撃を与えた。著者は障害のある人の意見を聞いたり、過去の優生思想が起こした事件を語ったりして、優生思想の罠に囚われないよう警鐘…

人類が衰退した世界でのほのぼのブラックSF―田中ロミオ『人類は衰退しました』

あらすじ・概要 人類最後の最高学府を卒業し、故郷に戻ってきた「わたし」。そこで調停官という仕事に就くが、実質お飾りの役職らしい。調停官の「わたし」は今地球を支配する新人類、「妖精さん」にコンタクトを取り、交流していくが……。

実際に培養肉を研究する学者が語る培養肉の将来性と課題―竹内昌治・日比野愛子『培養肉とは何か?』

あらすじ・概要 畜産による環境汚染や、動物福祉の問題から注目され始めた培養肉。日本国内で培養肉の研究を行っている著者が、研究の進捗状況とこれからの課題、さらには培養肉を研究するメリットを語る。「動物を殺さない肉」が描き出す、未来の社会とは………

日本の法律やシステムのせいで困難に立たされた外国人たち―安田菜津紀『隣人のあなた 「移民社会」日本でいま起きていること』

あらすじ・概要 日本に逃れてきた難民、働きにやってきた技能実習生など、日本には様々な外国人や外国にルーツを持つ人々がいる。しかし一部の人たちは日本の法律やシステムのせいで、苦境に立たされている。困難に巻き込まれた日本に住む外国人たちを紹介し…