ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

子ども

『さよなら、子ども虐待』細川貂々・今一生 創元社 感想

あらすじ・概要 日本における子ども虐待は減ってはいない。子どものために何ができるのか。核家族化し、閉鎖的になる現代の家庭で、虐待を防ぐ対策について考える。親、子ども、地域社会が虐待をせず幸せに暮らせる世界を目指す。 まんがでわかる子ども虐待 …

【お金がない中で貧困を隠す子どもたち】NHKスペシャル取材班『高校生ワーキングプア「見えない貧困」の真実』感想

あらすじ・概要 貧困の中にいる高校たちがいる。進学費用を払えない、奨学金という借金を背負わされる、制服や体操服のおさがりを他人にねだる……等、苦難を続けている高校生たちに、NHKスペシャル取材班が会いに行く。 貧困の中で貧困を隠す子どもたち 貧困…

【ヤングケアラーとなった少年の苦しみと後悔】美齊津康弘・吉田美紀子『48歳で認知症になった母』感想

あらすじ・概要 ある日から、母親の様子がおかしくなった。徘徊したり、一日中ひとりごとを言ったり。アルツハイマー型認知症と診断された母は、有効な治療法もなく、どんどん悪くなる一方だった。著者は徘徊する母を連れ戻したり、排泄の片づけをするうちに…

【ブロマンスをやりつつ子どもへの対応について考えさせられる】ディズニーアニメ『モンスターズ・インク』

あらすじ・概要 モンスターが暮らす世界。モンスターたちは人間の子どもの悲鳴をエネルギーとして暮らしていた。サリー(サリバン)は、人間の子どもを驚かせ、悲鳴のエネルギーを回収するのが仕事。しかしある日モンスターの世界にひとりの人間の女の子が迷…

【災害を経験した子どもたちの心を守り育てる】冨永良喜『大災害と子どもの心 どう向き合い支えるか』

あらすじ・概要 3.11を始めとする、災害は子どもの心に何をもたらしたのか。被災地に心のケア要員として向かった人々の視点で、トラウマや親しい人の死の受容について考える。傷ついた子どもたちの具体的なケアの内容とは。 安易な気持ちでアンケートを取ら…

【子ども~思春期時代に読んだ本と進学校での青春】はるな檸檬『れもん、よむもん!』

あらすじ・概要 はるな檸檬は、子どもの頃から読書好きとして暮らしてきた。夢中になった児童文学や、高校生時代に友人と読んだ過激な内容の小説。大人になった今から振り返る、あのころの本を語るコミックエッセイ。 疎外感を覚える思春期時代の若者にとっ…

小六にして中学受験をしたいと言い出した息子を応援する夫婦―細川貂々『なぜか突然、中学受験』

あらすじ・概要 漫画家・イラストレーターの細川貂々と専業主夫のツレの間に生まれた息子、ちーと君。小学6年生になった彼は突然中学受験をしたいと言い出す。戸惑いながらも、夫妻は息子の受験勉強を応援するために奔走する。 本人がやりたいことをどう応…

ベビーシッターになった保育士の奮闘記―さいおなお『3時間だけママを代わります! 駆け出しベビーシッターの奮闘記』

あらすじ・概要 保育士だったが、日々の雑務に追われ、「もっと子どもと向き合う仕事がしたい」とベビーシッターになった著者。ベビーシッターの仕事の内容から、子どもと付き合う上での悩み、保護者とのやりとりなど、子どもを世話する仕事について語る。 …

宗教ゆえに倫理観が狂い子どもを傷つける親―いしいさや『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』

あらすじ・概要 子どものころ、母親の宗教に付き合わされていた著者。頻繁に行われる集会や、布教活動で自由な時間が少なく、また、友達付き合いや男女交際も強く制限される。普通の生活が送れない辛さに、徐々に宗教に対して信頼を失っていった著者は、棄教…

出会いから看取りまでを描いた「実家の犬」の思い出―たかぎなおこ『うちの犬、知りませんか?』

あらすじ・概要 著者が小学生のころ拾ってきた犬、ムク。最初は反対していた両親も、情に流されて飼うことに。家族にはなついているものの、他の人間には気難しくわがままなムク。しかし著者とムクは、文句を言いながらも楽しい時間を過ごす。やがて著者が上…

「頑張れない」「我慢ができない」子どもたちをどう助けるか―宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』

あらすじ・概要 少年院の子どもたちに児童精神科医として携わった著者は、そこで反省できない、努力できない子どもたちに出会う。どうやら彼らはそもそも認知能力や知的能力が低く、自分をコントロールすることが苦手らしい。少年たちを社会に戻すために何が…

団地という場所でたくましく育っていく子どもたち―松田奈緒子『スラム団地』

あらすじ・概要 幼少期を団地で過ごした著者。そこは、訳ありの子どもたちや大人たちが暮らす場所だった。自らも借金を抱えた父親と付き合いつつ、トラブルや悩みを抱えていてもたくましく生きていく団地の人々を描くコミックエッセイ。

世界観や設定はよかったけどやや惜しい―廣嶋玲子『鳥籠の家』

あらすじ・概要 仲良く家族と暮らしてきた少女、茜は、両親を借金から救うために、名家天鵺家に引き取られ、若君鷹丸の遊び相手となる。天鵺家は、謎の風習に満ち溢れた家だった。過剰に虫を怖れ、鳥を貴び、跡継ぎを守るために繰り返される儀式。鷹丸と仲良…

少女は己の生を肯定するためにエッチな本を探す―倉金篤史『PiNKS』

あらすじ・概要 性の目覚めを迎えつつある小学5年生・弥彦は、隠れてエッチな本を買ったところを更紗に見つかる。更紗はエッチな本を「人の愛と美と性を記録した禁書」だと思っており、更紗に振り回される形で弥彦はエッチな本を探す羽目になる。更紗がエッ…

二次性徴を迎えた小学生が「幼馴染と同じではない」ことに悩む―ぴのきみまる『ひみつのはんぶんこ』

あらすじ・概要 楓と塁は物心つく前から一緒の幼馴染。しかし楓は、二次性徴を迎え、自分の体の変化に戸惑う。胸が膨らみ、更衣室を分けられ……。「いつでも一緒」の日常が崩れ、塁との距離感がわからなくなったことで、楓は「塁のようになりたい」と思うよう…

少年がマンションの管理人からクンフーを学んで大会で勝つ―『ベスト・キッド』(2010年版)

あらすじ・概要 親の転勤で中国に引っ越してきたドレは、周りの環境になじめず、地元のクンフー少年たちにもいじめられる始末。ある日いじめられているところをマンションの管理人ハンに助けられ、彼がクンフーの達人であることを知る。クンフー少年と大会で…

パブリックスクールの成り立ちとイギリス文化に与えた影響―新井潤美『パブリック・スクール―イギリス的紳士・淑女のつくられかた』

あらすじ・概要 イギリスにおける名門寄宿学校、パブリック・スクール。何度もフィクションの題材にされてきたそれは、どのようにイギリス文化に影響を与えたのか。パブリック・スクールの始まりと発展をなぞり、現代のパブリック・スクール事情についても語…

虚言癖のある母親を訴え返して学校と部活の無実を証明する―福田ますみ『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの戦い』

あらすじ・概要 長野の丸子実業高校で、バレーボール部の男子部員が自殺した。母親、高山かおりはいじめが原因だと怒り狂い、高校を相手取って裁判を起こす。だが、母親の主張のほとんどは虚言だった。丸子実業は逆に母親を訴え返し、部員と学校の無実を証明…

マジョリティの価値観で書かれた発達障害本ってつらいな―岡田尊司『自閉スペクトラム症 「発達障害」最新の理解と治療革命』

あらすじ・概要 先天的なものであり、治癒が難しいとされてきた自閉スペクトラム症。しかし最近の研究で、発生には環境要因が強いことがわかってきた。自閉症の子どもを支えるため、親や周囲は何をすればいいのか。最新の情報とともに、周囲ができる治療方法…

童顔の女優が、SNSで知り合った男性とテレビ通話するとこうなる―『SNS 少女たちの十日間』

あらすじ・概要 オーディションで選ばれた三人の童顔の女優たち。彼女らは子ども部屋のセットに入り、12歳と偽ったSNSアカウントからコンタクトを取ってきた男性と会話する。プロフィール上は12歳の少女たちに、性的な言葉や性器の写真を送り付けてくる男性…

乳幼児の母が自分を取り戻していく―ふるえるとり『母ちゃんだってほめられたい』

あらすじ・概要 著者は出産したことを機に、趣味から離れていた。離乳食を食べないことや、イヤイヤ期に悩まされながらも、子どもを育てる楽しさ、いとおしさを感じていた。著者は娘が昼寝をした時間に刺繍に挑戦し、再び自分の趣味に向き合うことになる。

夫婦が1歳の子どもを連れてフィンランドを旅する―ナシエ『子どもと旅する北欧フィンランド』

あらすじ・概要 イラストレーターである著者は、子連れでのフィンランド旅を決意。夫婦ともにフリーランスであることを生かして、自由に予定を立て出発する。1歳の子どもを連れて見たフィンランドは、美しく興味深い、子どもにも楽しい世界だった。著者たち…

漫画家が思わぬ妊娠をして高齢出産―梅川和実『妊婦な日々。~漫画家梅川和実の妊娠体験記~』

あらすじ・概要 漫画家、梅川和実は37歳にして想わぬ妊娠をした。初めてのつわりに体をさいなまれつつ、夫とともに妊娠期間を乗り越えていく。ハードな漫画家仕事で切迫流産しかかったり、羊水検査の選択を迫られたり、「妊娠」の悩みを描くコミックエッセイ…

愉快なゴーストたちと事件を解決する、生と死のノベルゲーム―『アンダーワールドオフィス』

あらすじ・概要 無口で気弱な少年、ユージンは、地下鉄で不思議なゴーストたちと出会う。彼らに貸しを作ったユージンは、ゴーストたちの集まり「アンダーワールドオフィス」の仕事を手伝うことで貸しを返すこととなる。彼らは悪夢を見ている人を探し出し、そ…

ASDたちは異なる言語感覚で生きている―松本敏治『自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く』

あらすじ・概要 「自閉症の子は津軽弁を話さない」妻の何気ない一言から、自閉症の子どもの方言使用について調べ始めた著者。データは確かに自閉症の子どもは方言を話さない傾向を示していた。それはなぜなのか。自閉症の社会的な障害をヒントに、自閉症と定…

これが高知能発達障害家庭だ―寺島ヒロ『うちのでこぼこ兄妹 発達障害子育て絵日記』

今日の更新は、寺島ヒロ『うちのでこぼこ兄妹 発達障害子育て絵日記』です。 あらすじ・概要 漫画家の著者の家には、ふたりの子どもがいる。彼らはふたりともASDの診断を受けていて、不思議な行動をする。体内時計の不具合、朝起きられない、学校での立ち歩…

自殺志望の子どもたちが13人目の死体の謎を解く―『十二人の死にたい子どもたち』(実写映画版)

今日の感想は、『十二人の死にたい子どもたち』(実写映画版)です。 あらすじ・概要 集団自殺を行おうと廃病院に集まった12人の子どもたち。しかしそこには、13人目の死体が横たわっていた。全員が賛成しないと集団自殺は決行できない。12人の子ども…

百合に限りなく近い百合否定映画―『思い出のマーニー』

あらすじ・概要 札幌にいた杏奈はぜんそくの治療のため、湖の側の家に預けられることになった。杏奈はそこで、マーニーという不思議な女の子に出会う。湿地を見渡す大きな洋館、湿っ地屋敷に住んでいるという彼女は、杏奈と仲良くなる。しかし、マーニーの素…

カルトよりも著者にカルチャーショック―高田カヤ『カルト村で生まれました』

今日の更新は、高田カヤ『カルト村で生まれました』です。 あらすじ・概要 幼少期から思春期を「カルト村」で過ごした著者。そこは農業をベースとした共同体だった。子どもなのに強制労働、振るわれる体罰、理不尽なルール。その中でも子どもたちは案外たく…

親が自殺した子どもたちがその後を自ら語る―自死遺児編集委員会・あしなが育英会編『自殺って言えなかった。』

今日の更新は、自死遺児編集委員会・あしなが育英会編『自殺って言えなかった。』です。 このところ感想の書き方が変わっていたんですけれど、パソコンを開く時間が取れずスマホで書いていたからです。しばらく見やすさと書きやすさが両立できるテンプレを模…